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118月3日に印刷出版研究所との共催で「BCP(事業継続計画)特別セミナー」を日本印刷会館で開催した。テーマは、「社員と会社を本気で守る〜BCPこそ企業価値向上のカギ〜」。印刷出版研究所編集部の金澤克明編集長による印刷業界にとってのBCPと業界内における事例紹介のほか、福島市で実際に震災被害に遭った日進堂印刷所の佐久間信幸社長(東北フォーム印刷工業会会長)が、事前に策定していた緊急時対策が震災時にどのように機能したのかを報告。続けて、BCPの第一人者である眞崎リスクマネジメント研究所の眞崎達二朗代表がBCPの基礎から、中小企業がBCP策定時に持つべき視点などを解説した。震災によってもたらされた広域被害は、企業に改めてリスク管理の重要性や自社の事業継続性を見直す機会を与えた。企業にとってのリスクは、人や設備の問題など内的要因に加えて、顧客特性や経済環境などの外的要因にも左右される。これらは当然、印刷業界にも当てはまるものだ。平常時からの意識付けが早期復旧に貢献日進堂印刷所は昨年創業65周年を迎えた。社員180名を擁し、福島市に本社、郡山、仙台、東京の3ヵ所に支店を持つ。佐久間社長は3月11日の東日本大震災発生当時を振り返り、次のように語った。「震災が当社の業務に与えた被害は比較的少なく済んだが、その後明らかとなった原発問題が今も後を引いている。震災直後の社内では、棚のものが落下、デスクなど固定されていなかった備品が動いたほか、天井に埋め込んでいた空調設備が抜け落ち、各所の壁が壊れるなどの被害があった。工場では、フォーム印刷機の交換胴が落下したことによる損害が大きかった。見栄えより実を考え、多少の汚損箇所には目をつむり、社内で業務に差し障りのある箇所や安全性で問題のある点を優先して復旧に取り組んだ」地震発生時の避難状況については「日頃から行っていた訓練の成果が表れた」という。これは、火災時の消防活動を想定して実施してきたものであるが、避難経路の周知徹底や状況に応じて個人の裁量で臨機応変に動けるように、部署単位で緊急時のリーダーを明確にしていたことが功を奏した。東北地方では、震災後に電気、ガス、水道などのライフラインが一時断絶する事態に陥ったが、日進堂印刷所では、工場に高圧電流を入れていた関係やLPGガスを社屋地下に配置していたことにより、迅速に最低限のライフラインを確保することできた。ただし、従業員の安否確認には、いくつかの問題があった。本社内で勤務していた社員の無事は確認できたが、電話回線が不通になったため、各支店や外回りをしていた従業員の安否確認に時間を要したためだ。「最終的には全員の「BCP特別セミナー」を開催フォーム工連・印刷出版研究所主催