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5「新年あけましておめでとうございます」と申し上げるのがはばかれるような昨年の大震災とそれによる原発の放射能事故は、いまだに復興の足取りも遅く、東北地方の皆様にとって日々のご苦労と復興への不安は計り知れないものと推察されます。その中にあって震災後の皆様の一致団結した冷静な行動は世界の多くの国々から感動と共に賞賛された「絆」は昨年の言葉となりました。最大の苦難にあっても自我を捨て他者に手をさしのべ互いに助け合う様子は、報道を通じて広く日本人の美しい精神社会を思い起こさせてくれました。年頭に当たって先ずは、東北地方の皆様の一日も早い復興と安心な生活が戻ることをお祈り申し上げます。さて、ビジネスフォーム印刷業界にあって昨年は、多くの倒産や廃業の暗いニュースが多く伝えられました。情報処理の世界が急速なIT技術の変化によって市場の縮小は、数年前から予測されていたことではありますが、あの大震災によって更に紙離れが加速したように思われます。これはかつての石油ショックの際にも見られましたように、用紙不足を契機にユーザーは紙数の削減に工夫し、現在は封書から密閉ハガキに変更して、郵送・配送費の軽減指向が急速に広がっています。このような市場の急速な縮小は、大手を含め過当な受注競争を招き、極端な低価格受注によって自社の収益を低下させるだけでなく、協力会社の経営を圧迫して、倒産・廃業に至らしめているということはなかったのでしょうか。大震災時の際に皆が共に生きるために助け合った心を我々産業人としても持てないものでしょうか。それぞれの企業が規模や能力に応じた受注をし、開発した商品を尊重しあって、大手も中小もそれなりに生きていけるよう協力はできないものでしょうか。一部では無用な競争をやめて設備や技術の相互利用をしようといった動きが出始めていますが、このような考えをもっと進めていきたいものです。自転車やマラソン競技などでは、風よけのために先頭を譲り合って互いに体力の消耗を避けながらレースを行うそうです。勝利という目的のために、競技中に協力し合うという行為があることを私は知りませんでした。「リスペクト」…相手を尊重し認め合うことと私は理解しています。スポーツの世界で行われている協力は、将に「リスペクト」の精神から生まれているのだと思います。社会生活においても企業間においても「リスペクト」の心を持ち、互いに適度な利益を得て、それぞれの社員の皆様に安定した生活を提供できることを願ってやみません。日本フォーム印刷工業連合会副会長瀬戸良教株式会社昇寿堂取締役社長共に生きる知恵と心を持って年頭所感