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12トピックス新メディアを取り入れることで印刷業界は再生する「デジタル印刷機はわれわれのビジネスを」、「インターネットはわれわれのビジネスを」、「景気後退がわれわれのビジネスを殺している」、「誰ももう印刷の価値を理解しない」……、印刷業界は大きな痛みを感じているので、これらの言い訳をしている。しかし、この言い訳は本当にそうだろうか。病気そのものなのか、それとも兆候なのか。そして、重要なことは病気を治したり、兆候を軽減したりするために、何をすべきなのかである。果たして印刷業界への治癒薬はあるのだろうか。印刷ビジネスの問題はインターネットやその他の単一事象によって起きたのではない。印刷ビジネスの多くはインターネットが世間に認知される前に下降線をたどっていた。印刷ビジネスの問題はコンピューターを使ったコミュニケーション革命への無理解と、新たなニーズや課題を持った様々な市場への取り組みの遅れである。治癒薬が有るか、無いかに関しては、YESでもありNOである。治療方はあるが、そう簡単ではない。人間がウィルス感染の予防で少量のウィルスを注射することを行うように、印刷会社も害と噂される新しいメディアを注入し内部に取り込むことで、免疫力を持つかも知れないが、印刷業界にとって心地のよいものではない。破壊的なテクノロジーを使うことが、印刷ビジネスを立て直すということである。しかし、印刷企業が積極的に他のメディアを取り込むことができないのは良く理解できる。郵便局に荷物を頼んだら「郵便局員がEMSよりUPSの方が安いんじゃないですか」と言うようなものである。しかし、新しいメディアは本当に敵なのか。いや違うはずである。ビジネスの方法を変えなければならないことは明らかである。これは設備投資についてだけではない。メディア選択について、言い方をすれば「敵と寝る(SleepingwiththeEnemy)」(ジュリア・ロバーツ主演映画)ことである。つまり、印刷は多くのコミュニケーション媒体の一つにすぎず、真のコミュニケーション企業になるためには、戦略的にも総合的にも、すべてのメディアに精通しなければならないということである。印刷産業にとって気のめいるような10年だったが、さらなる10年を耐えられるだろうか。業界のトレンドがこのまま続けば、さらに厳しい10年になるだろう。しかし、それが我々の運命であってはならない。未来は必ずやってくるので、われわれは未来を破壊することができる。なぜなら印刷技術は本来破壊的なテクノロジーだった筈である。そして、われわれが本当に破壊すべきは新しいメディアのユーザーではない。破壊すべきは今まで導いてきた伝統的な知識である。市場が変化する時に伝統的な知識は破壊され、非伝統的な知識が印刷ビジネスを回復させ再建するのである。イノベーションは好奇心と適応力が乏しいビジ「DisruptingtheFuture」未来を破壊する―印刷業のやりがいのある市場へ導く知られざる知恵―理事会報告レポート「DisruptingtheFuture」概要会報のトピックスとして連続掲載している「北米印刷事情レポート」の中でだびたび引用され、11月1日に開催された技術セミナーの基調講演で講師の山下潤一郎氏にも取上げて頂いた米国業界レポート「DisruptingtheFuture」の概要を紹介する。