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14トピックス明らかである。1995年から2000年は「新しいメディアへの能力投資」の時期と呼ばれ、顧客の資金は印刷から非印刷へ流れてしまった。「ジェネレーションX」は読書からテレビに、手紙から電話に変えたが、「ジェネレーションY」はメールやインスタントメッセージや携帯テクスティングやソーシャルメディアを好んでいる。子供たちは今も本を読んで育っているが、同時にテレビやコンピューターやiPhoneとともにも育っている。印刷メディアの凋落はインターネットの到来以前から兆候があった。数十年にわたって親や教育者などは、テレビが読む能力や書物への愛情を蝕むとして嘆いてきた。出版業界も新しいメディアが読者を吸い上げてしまうと批判してきた。このことはある程度あたっているが、新聞はテレビの登場に対しても良く健闘し続けた。ニュース放送の黄金時代においても、新聞の発行部数は増え続けた。CNNが登場した1980年からの数年間は、新聞は増加しなかったものの堅調だったが、1980年代のケーブルTVの家庭への浸透と、TV世代が大学生に成長したことによって、1973年にピークであった新聞発行数は衰え始める。1991年のWWWの登場する前に新聞は既に衰退期にあり、雑誌も1990年から2004年の間に創刊数が増加し、アメリカの人口も18%増加したが、雑誌の全発行部数は1%落ち込んだ。ソーシャルメディアは流行りではないインターネットの普及率を考えてみよう。広告・対効果についての予測はどうなのか。このキャンペーンで「印刷の国」が救えるのか?これでは印刷の認知を高めることはできなく無意味である。ユーザーは印刷のことを良く認知しており、だから印刷を利用することを止めてしまったのである。彼らは印刷物で詰まったリサイクル箱を毎週道の端に運んでゴミとして出しており、郵便箱に印刷物が一杯に詰まった状態になっているのも知っている。彼らは「郵便箱にジャンクが一杯入っているので、郵便物不必要法を支持することにするよ」と言うだけである。マイケル・フェルプスは「インターネットはサーフィンするけど、印刷には溺れてしまうよ」と皮肉をもって言うかもしれない。「人々は印刷を知っているがゆえに利用しないのである」。この言葉がこの本の一貫したテーマである。IT以前に印刷は凋落の兆しがIT時代が到来した1990年代から2000年代、印刷業界はメディアや文化の明らかな変化のシグナルを無視した。それは良き時代はいつ終わるか、ということへの認識の甘さである。1990年後半に印刷ビジネスはブームを迎え、ドットコム企業が大量に現れドットコムブームに導くため、雑誌広告や、チラシ広告を多量に行った。しかし、我々は「印刷の価値」を、電子的コミュニケーションが育つまでの「束の間の価値」であることを知らなかった。つまり、印刷業界や出版業界は、自らを破壊する種を自ら撒いてしまったことになる。これはドラマのような話であるが、真実でもある。2001年の景気後退の中、企業は経費の節減に努めた結果、オンラインコミュニケーションの発展を急がせた。さらに、2008年から2009年までの景気後退時期でも同様の現象が見られる。これらのトレンドは、コンテンツクリエーター(グラフィックデザイナーや広告代理店や出版社やインターネットディベロッパー)を継続的に調査していれば、印刷業界の外側で起こったこの変化を掴めた筈である。この時期、印刷発注を決めていた顧客は、非印刷の方向に向かっていたのは