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25されていなく価格単価も高い。だが小ロットの仕事を掻き集めて社内の生産設備を満足させるには効率が悪い。VistaPrintは、W2Pに特化することにより、通常の印刷業者が見過ごす「長いシッポ」の部分を狙ったビジネスモデルを展開している。VistaPrintが狙う市場は、従業員10人以下のSOHO事業で、その中で特に力をいれているのが、従業員一人のマイクロビジネスである。欧米では、従業員10人以下のSOHO事業が約5000万社以上ある。日本のSOHO市場も大きく約500万社あるといわれており約1500万人が従事し、この市場は年間4%成長しているという。この市場の1社当たりの年間印刷物発注金額は約500ドルで、一回の発注金額は約30ドル〜70ドルと極めて少額である。しかし、潜在市場規模は非常に大きく約200億ドルに及ぶと推定されている。今までマイクロビジネスでの印刷物は、卓上プリンタを使うか、OfficeDepoのような事務用品店やプリントショップに原稿を持ち込み、印刷するしかなかった。しかし、VistaPrintはネットによりW2Pが可能となったため、飛躍的に作業コストの軽減に貢献したのである。VistaPrintの商品の絞り込み21世紀初頭にキノコのように出現したEプリントコマースベンダーの多くが消え去って行ってVistaPrintが何故成功しているのだろうか。VistaPrintのプロセスは名刺印刷に特化。限りなく人の関与を排除し、ほぼ完全に自動化することにより利益性の高い生産システムを構築した。同社の65%の粗利益は、通常の印刷業者の3倍。平均客単価が31ドルの小額でも高い利益を確保できる。単品勝負で急拡大したVistaPrintは、2006年あたりから徐々に取り扱い製品を広げていくが、マイクロビジネス市場の印刷物のニーズ特化し、レターヘッド、封筒、ハガキ、パンフ、ハンコなどの品種に限定した。名刺で培った高度に自動化された生産システムをこれらの製品に水平展開し、通常の印刷業者より25%〜50%安い価格で印刷物を提供することができている。VistaPrintは、「大量生産設備を用いて、少量の製品を販売していく」ビジネスモデルを築き上げたのだ。VistaPrintの生産システム同社独自の「ClicktoShip」ワークフローシステムを開発しデザイン、プルーフ、発注、プリプレス、印刷、断裁、梱包、出荷などを管理するための一環システムを構築した。そのプロセスの特徴は、@ITとネットによる集約化、A一環化されたシステム、B標準化、C自動化、である。受注の全てが同社で用意されたテンプレートベースで、数量、サイズ、用紙、画像、フォントなどが予め用意されている。一日あたり約12,000社から約300,000件のデザインが処理される。あくまでもSOHO市場が必要とする簡易印刷を狙ったビジネスである。サーバーからプリプレスシステムに送信。独自開発されたソフトにより、自動的に面付けされCTPで出力される。一回の印刷運転で100件以上の受注が一気に印刷され、一日あたり、約12,000件を生産している。印刷設備はインラインコータ付のMANROLAND7006色機が主力。VistaPrintの売上げの80%はオフセット印刷で、残りの20%がHPインディゴによるデジタルプリントである。一般の印刷業者で1時間かかっていた準備時間を1分まで短縮し、ヤレはたったの25枚と驚異的な生産効率である。15分間の印刷稼働で143件の受注を印刷するので常識破りの生産性である。41インチシートに印刷された製品は、CIP4やJDFに対応のPolarカッターで断裁されて、仕分け、集約、梱包され、出荷される。ポストプレス工程は若干人の作業が入るがバーコードにより管理し自動化されている。この自動化された一環生産プロセスにより33%の原価率を実現し、約10%の純利益を維持している。VistPrintのマーケットポジション