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27かき集めて、工場の生産能力を埋めたことである。埃も積もれば山となる。VistaPrintは、ネットとITが可能とした破壊的ビジネスモデルの典型例である。米印刷フランチャイズとProforma社北米印刷業界ではSirSpeedy、Minuteman、やAlphaGraphicsなどがクイックプリントのフランチャイズを展開してきた。現在北米で約2,800店舗、30億ドル規模。2006〜2010年の間、毎年4.8%と劇的に減少し縮小傾向にある。今年は2.5%の減少を見込んでおり、今後5年間は毎年0.7%減少とその傾向は変わらなく、2016年には27億ドル規模まで縮小していく見込み。BF業界団体のIBFIが無くなったのと同様に、既にNationalAssociationofQuickPrinters(NAQP)は消滅している。前項で取り上げたVistaPrintのようなW2P、OfficeDepoのような事務用品量販店で扱っている軽印刷の需要が萎みつつある。クイックプリントフランチャイズの多くは、製造原価と販管費で93%を超えてしまいビジネスモデルとして成り立たなくなってきている。一方、ディストロビュータフランチャイズを代表するProformaは確実に実績をあげている。その歴史は、クリックプリントフランチャイズより浅く、1978年に創業し勢力をつけてきたのはここ数年間である。表1が示すように、ここ6年間は、着実に売上げとフランチャイズ数を伸ばしている。特に、リーマンショック以降の景気後退期が目覚しい。一般的にフランチャイズは、景気後退期に労働人口が流動化(失業)するため、増加する傾向にあるのだが、Proformaの場合、それが顕著に出ている。クイックプリントフランチャイズとディストロビュータフランチャイズは、同じ印刷関連フランチャイズでありながら、そのビジネスモデルはまったく違う。特にProformaのモデルは独自性が濃い。Proformaの改革Proformaは、1978年にオハイオ州で創業し急成長していった。Inc.誌は、同社を3年連続「注目すべき中小企業」として高く評価。1985年に事業を拡大のためにフランチャイズをスタートさせたが、最初から順風満帆であったわけではない。従来のフランチャイズのメソッドに従って画一したビジネスモデルを全国展開しようとしたが加盟店舗は増加しなかった。フランチャイズはブランド、サービス、品質の統一性など、消費者に安心感をあたえるため、加盟者にさまざまな制約を課す。そのために参加加盟者に独自の経営判断が与られないデメリットがある。そこで2000年にフランチャイズの「画一されたビジネスモデルの大量展開」の金太郎飴の発想を捨て、ユーザーを満足させるためにバリューチェーンの参加者が独自の業務に専心しながら全体として最適化する体制を整えた。・画一されたビジネスモデルを様々な地域に広げようとする従来のフランチャイズチェーンの発想を捨てる。・加盟者と顧客の関係構築を企業戦略の主体とする。・本部を中核にするのではなく、参加加盟者、顧客、製造会社を中核に添える。・加盟者の独立性を尊重し、独自性を生かす。・本部は、自分の役割をわきまえて、参加加盟者と製造会社が成功するようサポート業務に専心する。安い開業資金と魅力的な報酬制度Proformaの大きな特徴の一つとして、安い開業資金と魅力的な報酬制度がある。クイックプリンタの開業費は、少なくとも150,000ドルを必要とする一方、Proformaは約29,000ドル程度で済む。販売を中心とした在宅勤務が基本なので、クイックプリンタのような店舗や設備への投資がない。印刷業界の再編と景気低迷で、毎年多くの従業員が解雇されていることと、安い開業費のため参入しやすいことがあいまって、特にここ数年間加盟者は順調に伸び、加盟者の大半は元大手印刷企業の営業担当者である。ロイヤリティは、売上の約6〜8%。加えてマ表1Proformaの売上とフランチャイジー数単位:百万ドル