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16トピックスや、衣類にプリントするデジタル捺染など、インクジェット技術の様々な応用展開が今まで行われてきた。バイオ・医療分野ではインクジェット技術を用いることで、微量な液滴をドット形状で高速かつ大量に形成して、病気などの診断に使われるDNAチップを作ることも可能になっている。また、インクジェットで細胞を指定した位置に的確に打つことで、細胞のシートをつくり、最終的には人工臓器をつくるなどの再生医療への応用も見えている。オバマ大統領の一般教書演説などの要因もあるが、現在、脚光を浴びているのが「3Dプリンター」=「3次元造形技術」だ。建築から教育、自動車、医療など、その応用分野は非常に幅広い。そして何よりも注目され始めたのは、3次元造形における低価格・高性能・多様化が実用レベルにようやく達したことにある。3次元造形にはさまざまなタイプがある。ABS樹脂を使った熱溶解積層タイプ「インクジェット時代がきた!」日本のこれからの「ものづくり」の原点は!9月27日、東京汐留のトッパン・フォームズビル1階ホールで「インクジェット時代がきた!“液晶テレビも骨も作れる驚異の技術”」と題し、約180名が参加して特別セミナーを開催。大きな飛躍を続けるインクジェット技術を通じ、二十一世紀の「ものづくり」の原点を学んだ。講師の(株)マイクロジェット社長・工学博士である山口修一氏は、苦難に満ちたインクジェット開発の道を30年歩んできた大ベテランで、多くの企業や大学で講義を行っている。今回の講演タイトルは「インクジェット時代がきた!」としているが、「インクジェットものづくり時代がきた!」と表現した方が相応しいと前置きをして次のように説明した。「東証一部上場企業1,730社のうち、200社以上がインクジェットに関係した研究開発をしている。この事実はインクジェットに対する注目力だけでなく、今後もまだまだ伸びていく技術だ」と言える。インクジェット技術の特徴として、マスクや版を必要としない(マスクレス)、必要な部位に必要な量だけ塗布できる、機構やシステムがシンプル、などの要素が挙げられる。さらにこの技術は、省資源・省エネルギー・省スペース・省廃棄物といった長所に加え、オンデマンド(必要に応じた製造)の多品種少量生産に最適である。これこそ二十一世紀の社会が求める「ものづくり」の方向性と一致していると、インクジェットへの取り組みを話す。有機EL素子をはじめとした電子デバイス特別セミナー講演する山口修一氏