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2新年明けましておめでとうございます。日本フォーム印刷工業連合会は、本年7月に設立50年を迎え、半世紀の長きにわたり会員各社の発展のために着実な成果を上げてまいりました。この間日本の産業の礎として大きく貢献してきたことは、私たちの誇りとするところです。また、この50年間活動を支えていただいた先輩諸氏、会員各位のご努力に敬意を表すとともに、新たな50年、100年をスタートさせるにあたり、日本フォーム印刷工業連合会をさらなる発展に導かなければならないという思いを強くしています。このところ日本企業の苦戦が多く伝えられています。これまで日本企業が強かったのは、多様で質が高く幅広い人材が存分に活躍していたからではないかと思っています。それでは現在、日本企業の組織についての考え方はどのようなものでしょうか。ここでは「最強組織」対「最適組織」という観点から考えてみたいと思います。「最強組織」とは、野球で言うとちょっと前の巨人のように、試合に勝つために他球団から強力なバッターばかりを獲得し、1番から8番まで助っ人外人やホームランバッターばかりを並べる。会社組織で言うと外部から優秀な人材を入れ、内部の平凡な社員を排除して組織作りを行う、強力な販売組織を作るために同業他社から優秀なセールスマンばかりをスカウトする、これは強いはずです。一方、「最適組織」はというと、チーム内の人間をやりくりし、バントのうまい選手、足が速く塁に出ると必ず盗塁ができる選手、選球眼がよくフォアボールが多い選手などをうまく組み合わせる。一見地味で弱いようですが、140試合を通じてみると最後には、優勝争いをするポジションにいる、そんなチームです。会社組織で言えば、現在の個々の社員が持っている能力・特性に注目し、それを最大限に活かす人材配置、適材適所を行って組織全体の機能を高めようとするものです。「最強組織」とはあくまでも他の組織や過去の成績と比べてみて、相対的な意味において最強なので、状況が変化したり、時間が経過すれば、簡単に最強の座を奪われてしまいます。また、その組織は優秀な社員ばかりを集めているので均一で相似的となりがちです。だから固定された一定の目的に関しては絶対的な強さを発揮するものの、環境が少しでも変われば最強集団であることが返って弱点にもなり得ます。「最適組織」の場合は各社員の持っている多様な能力・特性に注目して作られているので、組織の内容は多様的でかつ補完的なものになります。適材適所はモチベーションとイノベーションを生み出し、多様で補完的なゆえに強いチームワークを形作ることができます。現代のように非連続的な変化が急速に進行する時代にあっては、組織全体のバランスが保たれ、多様な内容を持つことで様々な局面に対応可能な「最適組織」のほうが、実は「最強組織」より強いのではないでしょうか。もともと日本型の強い組織というのは、「最適組織」であったはずです。今アメリカ型の「最強組織」に一時的に負けてはいますが、長い戦いを勝ち抜くのはきっと日本型の「最適組織」であると信じて日本フォーム印刷工業連合会会長櫻井醜「最適組織」こそ時代を超える最強集団年頭所感