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11ことを考えなさい」というような話をしています。そのなかにあって“現場力”という問題です。まず“現場力”をつけない限り、企業経営はやっていけない。“現場力”というのはどういうことかというと、御嶽山で明暗を分けてしまったことに通じるところがあります。それと同じことを我々は常日ごろ、営業が得意先でやっているわけです。その時に、その若い営業がどういうふうに判断するか。その判断と僕とイコールでなければいけないわけです。「会社に帰ってから社長に相談して返事します」なんていうことは絶対言うな、と。これが、僕が言っている“現場力”ということなんです。そのために僕は「君の判断を尊重するよ」というようなことを言っています。それと「差別化」です。「差別化」というのは、あらゆるものにサービスの「差別化」。ここでも皆さんに言っていますが「差別化された商品」に対してはお互いに尊重し合おうよ。せっかくつくったものだから、他人のつくったものをまねてやるということはやらないで、そのつくった人にお願いすればいいわけですから。製品やサービス視点の「差別化」これを大切にしていく。そうでないと秩序というものが崩れていく。それとやり続けてきたのが「財務基盤の強化」です。先月のフォーム工連の理事会挨拶でも僕は言ったと思いますが「財務基盤は強化しておいたほうがいいですよ」と。これは今の1万6,000円の日経平均が将来、幻であったと思っていただいたほうがいいかと思います。日本の実力は、1万5,000円、1万5,800円くらいがせいぜい。そうすると、もうちょっと下がると、民主党政権のころとまったく同じになる可能性があるんです。それを今、一生懸命建て直しを図っているわけですので、それがうまくいっているかというと、そういうことは決してないようです。なぜならば、日本の不良債権は世界で27番目で、返すあてのない国債を引き受けているのは日本の場合、銀行がほとんどですので、文句が出ないけれども、ギリシャでは国がつぶれるかつぶれないか、というような大騒ぎになったのが去年、一昨年でした。そのときのギリシャの負債の比率は176%ですよ。176%であれだけ大騒ぎしたのに、日本の今の現状国のトレーダーと話して得た結論ですが、「日本の印刷業界は信じられない。抜本的にどういうふうにやろうかというようなことを、統一をとって頑張ろうというような雰囲気が感じられない。このままで行くと印刷業界は衰退するだろう」というような目で見ているのは間違いないのです。そこを、フォーム工連の会長の名刺を出しながら、「フォーム工連は違うんだ。我々の世界は、好景気・不景気に左右されない独特の世界で仕事をしている」と。彼らは常に凸版印刷と大日本印刷とトッパン・フォームズの営業利益率と比べたり、ROE(株主資本利益率)を比べ、企業の収益性で判断するのです。当社は、営業利益、ROE、その他の指数に関しても業界ナンバーワンが結構あるが「これは、どうしてですか」と聞かれたのです。これに対して僕は、フォーム工連企業の我々が通っている企業の部署は、普通の人が通えない部署に通うことができている。これがまさに「フォーム工連企業の強みである」という話をしています。彼らは非常に納得していました。例えば企業が、景気が悪くなると、予算を削減するのは、広告宣伝費とか、そういうところですよね。我々が行っているところは、企業の背骨の血液にあたる、事業企画とか、システム開発とか、そういう部署に通っているわけですね。そういう部門はなかなか経費が削減されない。そういう意味では、頑張れば頑張るほどいろいろな提案ができる部署で、将来決してマイナスの傾向にはならないだろう。そういうような話をしています。彼らはそれを非常に同感してくれて、トッパン・フォームズという名前を代表して、フォーム業界を応援してくれていると僕は思っているのです。僕はIRに行くときに、フォーム工連会長の名刺を見せています。こういう立場で来ています。だからこういう理解をしてください。全体のためにセールスをしているつもりなので、ぜひとも自分たちの強みというものを、もう一度よく理解してやっていきたいなと思っているんです。ちょっと今日は時間をいただいて、ぼくがこの数年間トッパン・フォームズで言い続けてきたこと、一つは「企業体質の変革」です。「当社だけがよければいい」というのではなくて、「業界という