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21織編成し5S担当の区分けを行い、担当するエリアリーダーを設けた。各工場によって表示方法は若干異なるが、「見える化」を重視して担当リーダーまたは責任者の顔写真と担当するエリアを表示している。各リーダーには5S推進への取り組み資料を保管させる専用ファイルにも、しっかりと顔写真を入れた表紙をつけている。作成した担当エリアの表示プレートは、専用の掲示コーナーに設置して、そのエリアごとの報告スペースを設けている。各エリアでのビフォー・アフターの改善報告の掲示、エリア別の改善件数一覧表や月間の優秀5S表彰を掲示した。また、各エリアでのビフォー・アフターの改善報告のバックナンバーファイルを閲覧できるようにしている。このように取り組みの成果・結果を「見える化」することで、エリア間の競争心を引き出して、さらに5Sへの関心を維持させることに努めている。この他に「10分間5S」と呼んでいる活動を展開している。昼休み修了後の10分間を5S活動する時間と定めている。これは単にほうきを持って掃除をするというものではなく、計画的に機械周り、作業机の周りの整理・整頓の改善を積極的に行っている。その結果もビフォー・アフターとして報告させている。また具体的な活動事例を載せた「10分間5S推進ポスター」を各エリアに配布して、全員参加の5S活動を徹底するように心がけている。掃除をする際の用具についても、きちんと管理をしている。管理を怠ると、例えば、ほうきが足りない、モップが汚いままなど、5S活動以前の問題になってしまうからである。だから、用具入れはいつもきれいにしておくために「見える化ポスター」で注意喚起している。掲示物については、整理・整頓は、モノを捨てたり、取り出しやすくしたりするためだけではない。掲示物は水平垂直を意識して、高さを揃え、見た目をきれいにすることも重要だと考え実践している。ガムテープでの掲示は禁止し、マグネットやホッチキス等を利用している。また、長期間の掲示ではラミネート加工を施すなど、ルールを定めて実施の徹底を促している。これまでは5Sの基本的なルール化、実施の徹底などについて紹介してきたが、これ以降は5Sを推進する企画プロジェクトの事例を紹介する。●活動内容の「見える化」で効果を上げるまず1S(整理)の定点観測の合否判定をする企画は、エリア内でとくに整理されていない6ヶ所を選んで、事前に写真撮影し、エリアの左端の1列目に写真を表示する。1ヵ月単位で同じ場所を撮影して2列目以降に表示し、整理が改善されているかどうかを評価している。改善されていれば○をつけ、進行中は△、無着手は×という判定を行う。一度改善されていても次の定点で元に戻っていれば、評価は×になる。そして、3ヶ月以内に6ヶ所が全て改善されていれば、1Sは合格ということになり、次の2S(整頓)に進むことができるようにしている。6ヶ所以外の担当エリアの改善についても、毎月改善シートで報告するように決めている。改善の経過を「見える化」することによって、5S活動への関心が高まり、エリア間の競争意識も生まれ、会社全体が自然と活性化してきている。最終的に6ヶ所と担当エリアの改善がクリアできていれば、合格印に花マークを添えて企画を盛り上げることにしている。このように社員たちが自分たちの力で環境が改善されていることで、生産活動に良い結果が出るようになった。この企画のポイントは、一度クリアした改善の成果を後戻りさせないことが重要だと考え、後戻りを歯止めするためのポスターを掲示して注意喚起を促している。1Sが全部署でクリアになったところで、2Sも1Sと同様の活動を行い、ポスターを使って成果の継続を促している。2Sの整頓の活動では用具の置き場所を明確に表示したプレートをいろいろと改善した。今まで表示がなかったところはもちろん、従来の表示もいろいろとアイデアを盛り込んで見やすくした。これによって、作業の効率アップや事故の未然防止につながっている。また今期は新たな5S企画として、「5S改善ビフォー・アフター1000」を実施している。各エリア間の5S改善を年間で1000件実施して、その内容を掲示していくというものである。自主性にしないで、ある程度ノルマを課すことで、常に部署内で5Sを意識した行動の習慣化を目指している。