日本フォーム工連・2001年アメリカ研修の旅報告


PRINT'01とフォーム印刷工場見学 並びに IBFI特別セミナー受講
 

 

 日本フォーム印刷工業連合会の2001年アメリカ研修の旅が、9月4日(火)から15日(土)までの12日間の予定で実施された。今年度の海外研修旅行には会員13名が参加し、米国シカゴ市南郊のマコーミックプレイスで開催されたPRINT'01の見学をメーンテーマに、併せてIBFI特別セミナーの受講並びに米国フォーム印刷工場の見学を行った。なお、11日(火)に発生した米国同時多発テロのため、最終スケジュールのサンフランシスコ行きは中止となり、また、空港閉鎖の影響で帰国は17日(月)となった。

研修団メンバー

団  長 加賀 健造  株式会社イワニチビジネスフォーム 常務取締役
リーダー 槌谷 英輔  ツチヤ印刷株式会社        常務取締役
リーダー 須永 兼正  光和ビジネスフォーム株式会社   営業部次長
     岡谷 岩雄  株式会社ビーエフ         課長代理
     斎藤 勲   株式会社恵和ビジネス       取締役営業本部長
     菅野 僚一  株式会社ミヤコシ         営業所長
     関  章一  日本紙パルプ商事株式会社     課長
     上田 敦司  株式会社イセトー         営業部副部長
     園  博行  株式会社岡本           課長
     鳥井 康史  株式会社太陽堂印刷所
     永尾 計典  株式会社太陽堂印刷所
     守舎 雅敏  共同印刷株式会社         課長代理
     大井 康之  光ビジネスフォーム株式会社    係長
添乗員  大田 好   ヤマト運輸株式会社

 

PRINT’01 見学報告    シカゴ・マコーミックプレイス    9月9日・10日

 

 世界最大規模を誇る国際総合印刷機材展「PRINT'01」が、9月6日から13日までの8日間、米国シカゴのマコーミックプレイスで開催され、研修団は9日・10日の2日間にわたり見学した。1997年以来4年ぶり、通算7回目となる今回のPRINT展は、約9万3千平方メートルの会場に約850社の新製品が発表された。同展の特徴は、前年のdrupa2000で発表された新技術が実用システムとして登場することにあり、比較選択の絶好の場となっており、e-ビジネス、デジタルワークフロー、CTP、デジタル印刷機、DI印刷機などの最新機器が出揃った展示会となっていた。大規模出展社は、ハイデルベルグをはじめ、ゼロックス、MANローランド、小森コーポレーション、KBA、三菱重工業、富士写真フイルム、アグファ・ゲバルト、クレオサイテックス、インデイゴ、'ミューラマルティニなど。ビジネスフォーム関連は、DIDDE,SANDEN、ミューラマルティニ、ティムソン、TAMARACKなど。最大の関心を集めたのは、やはりデジタル印刷機やDI印刷機で、可変情報の出力、小ロットのカラー印刷の如何にかかわらず、これら印刷機はデジタルワークフローにしっかりと組み込まれていた。ビジネスフォーム関連については、あまり変化が見られなかったが、メンバーカードなどの加工機、BBタイプ印刷機の新しいメーカーの出展等もあり、今後の発展の要素は見ることができたと思う。また、商業印刷とビジネスフォーム印刷の垣根がさらに低くなったとの印象を強く受けた。

SANDEN QUANTUM 1500SP Blanket to blanket

両面同時印刷するのでユニットスペースが少なくて済む。見当精度がこれまでより向上する。
デメリットとしては表裏の色数が限定されること。

三菱DIAMOND UV・フィッツシーター仕様

商業オフ輸がべースのためスピードが速いので生産性が向上。従来のヒートセットインキと違いUVインキを使うことでプリンターで印字が可能。
フォーム印刷の分野に使用が可能。

TAMARACK Vista Patch Application System

フイルムを張り付け、窓付きの箱を加工する機械。
hunkelerのようなシリンダーではなく、ベルトを使った独自の方式でコストダウンを実現した。

MAN ROLAND DICO WEB

インキを使ったデジタル印刷機(デジタル・オフセット印刷機)で、印刷品質は従来のクオリティを維持している。イン・プレスのイメージ作成と消去ができ、プレートの必要がなく、印刷機の切り換えが早くコスト効率が高い。
機械デザインがフルカウリングされ自動オープン機能を持つ。

HEIDELBERG NexPress2100

特異な反転構造を持つフルデジタル両面バリアブル機。
エンジン部が完全にばらせる構造でメンテナンスが容易。
トナーによるデジタルプリント方式のオンデマンド印刷機。
500枚程度の市場を狙った機種で、アメリカ国内で4台売れている。価格は35万$。

TIMSONS

ZERO MAKE-READY Non-stop profitability
紙は流し続けて2つのユニットを切り替えることでノンストップ。

富士写真フイルム MyFujifilm.com

インターネット上のWebサイトに展開するサービス。会員は複数のサイトとネットワーク上でプロダクションフローが実現できる。インターネットを通じて有益なソリューションを提案することによりビジネスチャンスをさらに広げるツール。
現在、アメリカ国内で試験的に運用されている。
また、富士・ハイデルなどが、バイオレットレーザー対応のCTPプレートセッターを発表しているが、PS版から樹脂版への転換は、精度の面でまだ4色ものには適応できていない。

ゼロックス

2000シリーズの進化形である3rd Generationの新型デジタル印刷機「DocuColor iGen3」を発表。従来の粉砕式トナー製法とは異なる顔料とワックス粒子を結合させる乳化重合凝集法技術により、大きさや形状が均一な超微粒子で高画質な画像を再現。印刷機構は、転写ベルトが縦型に回り、大容量スタッカーが二列並んだ方式。大型で高速なモデルである同機は、両面印刷ができ6000枚/1時問の生産能力をもつ。

その他

展示メーカー各社との話の中で、日本はサービスにお金を出さない国であることが話題となった。例えば、クイック印刷や高品質印刷などは、アメリカでは特別なサービスとしてお金が支払われている。日本もサービスは有償であるという考え方が一般的になるよう、なお一層の努力が必要であると感じた。

 

BF印刷工場見学報告    ニュージャージービジネスフォーム社(NJBF)

 

 先ず、NJBFの製品を大別すると2つに分類できる。

   @従来からの製品トラディツショナルフォーム
   A新しいプロダクトのインテグレーテッドフオーム

トラデイッショナルフォームについては当たり前の内容ですが、項目を上げると

  1. CutSheets:UV乾燥インサータプリンタ用紙、ファイル穴、レーザー特性、OCR
  2. Snap Out Forms:4色刷り10P ナンバー ファイル
  3. Continuous Forms:4色刷り8Pまでナンバーファイル
  4. Check Printing:セキュリテイーを付加(マイクロ文宇・アラビアナンバー・複写判別・DOCU-CHECK Brand Security Papers・スクラッチ・ホワイトインキ・4色)
  5. Composition Forms:製本・Z折り Desensitized Ink Printing・急ぎ(1・2or5日)
  6. Jumbo Rolls:最大直径50インチ
  7. General Products:全てのプロデュース

これらの製品は、NJBFの全体売上げの内の70%です。その他がインテグレーテッドフォーム等ですが、その割合は年々増加しているそうです。NJBFでは様々なインテグレーションソリューションを展開しています。それらをまとめると以下のように分類出来ます。

 

A) インテグレーテッドカード

帳票類と会員証が一枚の用紙上に統合されたもの

●用途例

Phone Cards
Membership
Cards Club
Cards Security Passes
Hospital ID Bands
Business Cards
Rolodex Cards
ID Cards
Frequency Programs
カットシート・連続・複写・ロールで供給できる

B) インテグレーテッドラベル

帳票類とラベルが1枚の用紙上に統合されたもの

●用途例

Warehouse forms
Trucking & Tracking forms
Hospital Forms
pharmacy
X-ray
admissions
Mail Order&Direct Mail Forms
カットシート・連続・複写・ロールで供給できる

C) インフォシール事業

水糊を使った封筒製造機の販売ですが、帳票的にはインテグレイテッドフォームに分類出来ます。糊が特殊で日本では見かけないタイプ販売機種は3種類、処理能力によって分類されている 最大の特徴は水糊で強力な接着

@Tabletop Folder Sealer Model 3600 毎分60枚処理(カットシートのみ)

AThe Mid-range System:One-Step Productivity 毎分180枚処理(カット・連続)

BThe High Performance System 毎分500枚処理(カットシートのみ)

●実際の用途例

amazon.comのキャッシュバック帳票。帳票に$100のクーポンを付けてそれをインフォシールで加工し郵送する。
Form/Label and Form/Card Combinationsの利点は以下のように考えられます。

  1. コストダウン(プラスチックカードと比べた場合)
  2. 業務の簡素化
  3. カード・ラベル発行・発送の時問短縮
  4. セキュリテイー(ホログラム等を付加できる。)
  5. データマッチング(カードを発送する場合、名寄せが無くなる)

 

所 感

 当然と言えば当然であるが、アメリカのBF業界も日本と類似している点が多数見られた。例えば、従来型のビジネスフォームは、同社の場合1〜2%毎年減少しており、アメリカのBF業界の業態変化も相当進んでいること。また、同社が中堅以下の顧客を主体としていることにも関係していると思うが、小ロット・短納期化が相当進んでいること。カラー化、特に3〜4色ものが増加していること等である。原紙の在庫管理は、バーコード管理等によるジャストインタイムが徹底しており、経費面での合理化にも気を配っている。商品の紹介、受発注などはWeb上で行っており、会社案内などのパンフ類は作成していない。
 新しい事業分野については、自社開発ではなく、その分野の技術を持っている企業買収を前提に考えている。いずれにしても、顧客の満足度を満たす商品の開発、付加価値の高い商品の開発に注力している。新しいシステム、アイデア、特許を持っている者の強さとそれらを持つことが生存競争に打ち勝つ鍵であることを実感した。

 


IBFI特別セミナー報告
    9月9日 PM3:30〜5:00
 
シカゴ・ハイアットプリンターズロウホテル
講師:Mr.IVARS SARKANS(SARKANS and Associates/President)

 

 アメリカのビジネスフォーム業界の現状及び今後の展望については、NJBF工場見学での説明と概ね同様な説明があり、アメリカは少し先行してはいるものの、日本と同じような状況であることを改めて認識した。今後とも日本フォーム工連とIBFIの日米両BF団体が、緊密な関係を続けていくことが必要であると痛感した。以下にSARKANS and Associatesの会社概況を報告する。

@売上高 19億ドル

  内訳
  ・トラディッショナルフォーム  7億5千万ドル
  ・それ以外のフオーム      7億5千万ドル
  ・広告、宣伝等         3億ドル
  ・サービス           1億ドル
  (ドキュメントマネージメント、エレクトロニックフォームズ等)

A販売形態

  自社販売 50%。
  間接販売(個人で独立採算で営業を行っている)が50%である。

B商品の現況として

 アメリカの従来型ビジネスフォームは、毎年5〜7%が減少しているが、以下の商品で成長が見られる。

  ダイレクトメール         5%アップ
  カット紙・クイックプリンテイング 8〜12%アップ
  ラベル              8%アップ
  プラステイックカード       10%アップ

C今後の展望

 フォームの仕事は競争が激しく、価格アップが計れない。又、受注が小ロットになっており、今後の成長が望めない。オンデマンド・E-ビジネス・デジタルプリンテイング等で成長を計っている。

 

 


 

研修旅行を終えて

 この度の'01アメリカ研修の旅は、ワシントン、ニューヨーク、シカゴと7日目までは日程を順調に経過し、最終目的地サンフランシスコを目指すばかりとなっておりました。天候にも恵まれ、大国アメリカの魅力を余すところなく堪能しながら順風満帆の旅でありましたが、突如世界中を震憾させた忌まわしいテロ事件の勃発に遭遇し、行程の中断を余儀なくされました。
 不可抗力とは申せ、思わぬアクシデントとなりましたが、PRINT'01の視察を始め、旅の主目的である研修項目は全て果たし得て、日程は2日延びましたけれども、メンバー全員が無事元気に揃って帰国することができ、不幸中の幸いと思っております。
 この間御家族を始め、関係者各位には多大なるご心労を煩わせたことと思います。感謝を申し上げる次第です。
 足止めの間、団員の皆さんは、誰一人として動揺の色もなく、いつも通り行動されておりました。皆さん本当にご苦労様でした。研修においては、真剣且つ意欲的に取り組み、レポートを適確に手際良くまとめあげられ見事でありました。お互いに親交を深め合いながらの旅は有意義であり、大変愉快な道中でした。この旅で得た貴重な得がたい体験は、必ず皆様の将来のためにお役に立つことでしょう。今後のご活躍をお祈り致します。
 未曾有のハプニングに巻き込まれてしまったにも拘らず、私達が何一つ不安を抱くことなく平静に旅を終始出来たのも、偏にヤマト運輸(株)トラベル銀座支店の横溝係長、添乗員の大田さんの行き届いたご配慮のお陰と心より感謝とお礼を申し上げます。殊に事件の際には、全員の身の安全を第一に昼夜を問わず万全の対策を講じて戴き、大田さんの明るい笑顔は絶えず私共の気持ちを和ませ勇気づけてくれました。大田さん、本当にありがとう。大変お世話になりました。
 以上、取り留めもなく長文となりましたが、最後に主催の日本フォーム印刷工業連合会に対し、心より御礼を申し上げ、'01研修の旅のご報告と致します。

団長 加賀健造

 

 

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