日本フォーム工連・資材委員会・セミナー記録


粘着紙の物理特性とアプリケーション(中編)

 講師 野崎 聡 氏 リンテック(株)東日本営業本部営業技術部係長

    川崎雅弘 氏 リンテック(株)東京支店LVIP営業部サプライグループ

平成12年2月17日 東京・茅場町「鉄鋼会館」

 そこで、業界別の使用比率を見ていただきたいと思います。
 図9は一昨年の図になります。手前どもが出荷している製品がどの業界で使われているかという図になります。図からもわかるように食料品が35%とかなりな大きさを占めてします。スーパーでもよく目に付くと思いますし、お宅の冷蔵庫の中にもお肉やお魚のトレイに貼られているラベルとして一度は目にしたことがあると思います。最近の傾向ですと、電気や流通管理の部分が増えてきています。


 ラベルが今後どのような方向に伸びていくのかというところをお話したいと思います。
 注目しているのが、「セキュリティ」と「VIP」です。
 時効を迎えてしまったために、犯人を捕まえることができず、悔しい思いをしたという警察のコメントを見たんですけれども、いわゆる「グリコ森永事件」です。私くらいの年代のかたは覚えていると思いますが、グリコ製品の中に、青酸カリを入れるぞと言って脅したというあの事件です。このときに、グリコ製品には一つ一つ、この図にあるような改ざん防止用ラベルを貼って、開けると「開封済み」という文字が出てきて、開けたことがわかるラベルとして採用されました。早いもので15年位前ですが。最近ではあまりつかっていませんが。
 今はどんなところで採用されているかというと、パソコンのソフトとか、パソコン本体もそうですが、開けると「開封済み」という文字が現れ、改ざん防止効果を上げてきました。いわゆるバージン性を高めるとか、セキュリティ性を高めるといったところとして、最近のキーワードとなっています。ビデオレンタル屋さんへいって、受付を通らないで帰ろうとすると、ブッーっとなります。あれも一つのセキュリティです。これらをラベルで加工しましょうという計画も、当然あります。
 このセキュリティにまつわる話をしたいと思います。私が研究所にいた頃ですから、今から3年位前、埼玉県警の方が訪れて、「今度、大宮に皇太子が来るので、警備対象のうち、マンホールとか、配電盤とかの工夫ができないか」と尋ねられました。剥がした後がわかったり、剥がそうとすると音が出たり。何か工夫がないかと言われました。そこで、手前どもの「TEラベル」を紹介しました。実際にラベルサンプルを隣の工場に行ってちょこちょこっと作って差し上げました。マンホールのふたに4ヵ所貼ってあったり、配電盤のところに何ヵ所か貼ったそうです。剥がすと剥がしたことがわかるので、非常に使いやすかったとの報告を戴きました。私もそれから2日後位に現場を見に行ったのですが、まだ、貼ってありました。こんなことにも使われるんだと、改めて感心した次第です。
 もう一つのキーワードとしては「VIP」といわれる、可変情報がありますが、これについては後で川崎の方からご説明いたします。
 最後に粘着製品で変わったものをご紹介します。
 オーロレインボーといって、ブラックライトをあてると光る粘着製品です。この写真は常磐自動車道の三郷インターの料金所で使われているものです。一説によると料金所の渋滞はこの料金表が見えないためだとも言われていて、少しでも手前でその料金が確認できると、料金所に着くまでの間にお金を用意する事ができるので渋滞を緩和できると聞いています。通常はペンキ等で看板を作りますが、このオーロレインボーはブラックライトをあてると発色するというフィルムを使っています。従って、通常のライトをあてるタイプよりも数倍遠いところから確認できるといわれています。最近では他の高速道路でも採用になったなどという話をきいています。また、このような料金表だけでなく、普通の看板でも採用されています。JR新宿駅南口に「JR新宿駅」と書いてある看板がありますが、これも最近このオーロレインボーになりました。手前どもの研究所にも大きなこのオーロレインボーで作った看板があるのですが、ずいぶん派手に作っているものですから、看板を掲げた最初の頃には、どこかのホテルと間違ってカップルが入ってきたなんてエピソードがありました。
 ラベルのお話をしてきましたが、粘着製品だけではラベルとして成り立ちません。印刷が施されて初めて商品の顔ともなるラベルができあがります。最近では「VIP」に代表されるように、印字されたラベルも多く見られるようになりました。単にラベル一つとっても、これらの技術があることがわかっていただけたでしょうか。また、ラベルを被着体に貼る方法として、ラベリングマシーンという機械を使ったり、その周辺の機械技術というのも見逃すことができません。リンテックでは粘着技術をはじめとして、最終的に商品に貼り付ける機械まで幅広くご紹介できると思います。本日お話しましたものについては、一般的なお話をしましたので、実際のお仕事の中で出ますご質問やご要望につきましては、直接お尋ねいただければありがたいと思います。
 続いて、LVIPについて川崎のほうからお話させていただきます。
 まず、印字ラベル素材にLVIPという名前をつけさせていただきました。先ほど野崎が話していたのはどちらかというと印刷用のものになりますが、これからお話しするLVIPに関しては印字用がメインになります。情報用途として使用されることが一番多いと思われますが、皆さん情報のプロの方が多いので、粘着が付いた情報用のサプライ、こういった内容を中心にお話させていただければと思います。
 今日は、LVIPの考え方、VIP市場、ラベル製品に関するBF業界の動き、各種VIPプリンターの仕組みと性能、こういった順番でお話させていただければと思います。
 まず「LVIP」とは、リンテック・バリアブル・インフォメーション・プリンティング(リンテックの可変情報印字)の略です。可変情報VIPとは、一枚一枚あるいは少ない範囲で情報をどんどん変えていくための素材、私どもはサプライとかメディアという呼び方をしますが、リンテックで扱うこういったものの総称になります。構築目的としては、ただいま野崎のほうで話していたスーパーステック(Super Stik)というものの中から、印字用のものを抽出してこれを1つの分野として形にしたということです。
 皆様はたぶんご存じだとは思いますが、こういった講演をさせていただくと「印字と印刷の違いとは?」という質問が多くでてきます。今使用しているパソコンで、プリントアウトをする際には「印刷」という項目がでてくるのですが、実際には「印刷」ではなく「印字」というふうに私どもは呼んでおります。この2つの違いですが、版をおこすものを「印刷」、版をおこさないものを「印字」と区分けしております。
 LVIPの考え方、これを図10にまとめてみました。LVIPを構築するにあたり必要な項目として、まずプリンタ方式があります。この次ぎにまた図式がでてまいりますが、いわゆるニップ(NIP)のノンインパクト・プリンタと言われているものの方式。次ぎに環境。これは印字する環境とか、使用する環境とかこういったものです。そして用途。こちらのほうは環境と重複してくるところもあるのですが、先ほど野崎が申しましたように長く使うのかあるいは短いのか、対擦過性は必要なのか、そういった意味の用途です。サプライにバーコードを入れることが非常に多くなってきていますが、それを読みとる機械のスキャナー、コスト、そしてエコロジーと、高度な次元での妥協などという言い方をしていますが、この6つの観点をそれぞれ見比べてバランスのとれたところを形にしたものがLVIPです。

 先ほどのプリンタ方式ですが、図11に示す通りオンデマンドと一言で言っても、ガラガラと音を立てながら印字を行う「インパクトプリンタ」と呼ばれているもの、あるいはニップと呼ばれている「ノンインパクトプリンタ」などがあり、後者の「ノンインパクトプリンタ」のほうが、LVIPのメインの製品になってまいります。ニップの下に、インクジェット方式・サーマル方式・電子写真方式と、大別して3つの方式があると考えております。簡単に言ってしまうと、インクジェットを皆さんでお使いになっているとすれば、サイテックスさんのを使われていたことがあるでしょうか。そういった方式ですね。サーマル方式は、熱転写と言われているもの、あるいはダイレクトサーマルと言われているものがあります。ちょっと毛色の変わったところでは、プリクラなどで使われていた昇華型などというものがあります。これは、電子写真方式、いわゆるコピー、LBPの類です。電子写真というよりも、レーザービームプリンターという形で書いたほうが皆さんはおわかりになるかもしれません。この3つの方式をメインで行っております。

 では、VIP市場はどれくらい伸びているのか私どもが調べたところを、図12でご覧ください。1970年代くらいから、いわゆるラベルというものがどんどん増えてきたといわれ始めました。85年を境に、VIPラベル、可変情報のラベルがどんどん出てきています。95年には、ラベル使用量は2億uという数字まで上がっております。この中で、どれぐらいの割合で使われているのかというのが次ぎの図13になります、これは、欧州の2000年の予測です。約37億uのラベルが使われるだろうと予測されています。そのうち45%VIP、いわゆる可変情報が何らかの形で入ったものです。例えば、小さいものですとロットNo.、あるいは品質を管理するバーコードであったり部品を管理するバーコードであったりと、そういった何らかの可変情報が入るものが45%になるだろうという予測が立てられています。実際には、まだここまでの数字にはなっていないというのが正直なところですが、当たらずとも遠からずといった伸びになっていることは間違いないと思います。

 昨今言われております第3次産業革命と呼ばれているものは、よく新聞に載っていますIT(情報技術革命)や、EDI(電子的データの交換)、POS(販売時の物品管理)の3つで情報を管理していきましょうということですが、POSはちょっと無理かなというところもありますが、他の2つにはラベルを絡めることができるかなと思っております。皆さんがお仕事をされているところで、ラベルというのは大体この辺をメインに使われていると思います。
 図14にフォーム印刷製品別シェアという書き方をしました。これは私がある本を見て調べたもので、実際に目で見た数字をここに並べてみました。連続帳票、カット紙、一般帳票、ストックフォーム、OCR、そんなものがある中でタックラベルは約5.3%のシェアを占めています。5年前あるいは10年前には、1~%という数字でその他の分類の中に含まれていたものが、タックラベルという1つの分類として入ってきました。今日ではだんだん成長してきたということだと思っております。

 次ぎに、それぞれどれぐらい伸びているかという話が図15になります。タック関連複合商品、粘着ラベルの2つにあえて分けさせていただきました。粘着ラベルのほうは約8%、タック関連複合商品については、約20%の伸びになっているという数字がでております。これをご覧いただいても、タックというものも徐々に市民権を得てきたかなと思っていただけると思います。また、先ほど野崎が申しました銘板と呼ばれる印刷または刻刷で打ちつけていたようなものも、剥離紙から手で剥がして貼ったり、機械で貼ったりというもの(タック)にどんどん変わってきています。タック関連複合商品の最たるものは、宅配便の伝票のようなものかと思います。

 先ほどからバーコードと申し上げておりますが、バーコードラベルの利用分野と分類をお話させていただきます。これはフォーム関係というわけではないですが、私どもが実際に販売しているものです。当然フォーム業界に販売しているものもあり、ロール巻きで出荷するものや、ラベルプリンタと呼ばれるもので打ち出したものなど、こういったものが何に使われているかということをお話いたします。
 まず、流通系と工業系と運輸系の3つに大きく分けられます。流通系のメインは値札です。スーパーに行かれたときの値段のラベルです。あるいは「50円割引」「半額」といった値引きラベルの類です。タグというのは粘着ではないのですが、服に貼られているものです。これにバーゲン時季になりますと「1980円が1300円ですよ」といったものを上から貼ったりするようです。小売店向けの荷札ラベルとは物流のラベルです。物流というと、本来、ある流通センターから流通センターまでというところが多かったのですが、今では店の中での物流という意味合いのもや、流通センターからお店までに使われているラベルなど、この辺を総称して、物流・PDラベルなどという呼び方をしています。こういった使われ方の他に、荷札ラベル、POP用ラベルなども昨今出てきています。
 そして工業系のラベル。これは、工程管理、在庫管理、EDIC3ラベルが入ります。Dラベル、C3ラベルと書きましたが、皆様のお手元にございます資料の一番後ろにレーザービームプリンターで実際に打ち出したサンプルを添付してあります。手元のソフトをちょっといじるとこんなことができてしまいます。これは、ミシン目加工と抜き加工がすでにしてあります。これを剥がして段ボールに貼ったり、製品に貼ったりと、身近にあるようなプリンタでこんな仕事ができるようになってきております。
 運輸系では、宅配用のラベルが一番代表的な例になるかと思います。こう言ったものを私どものほうで粘着を供給させていただいたり、これに複合材料を供給させていただいてものをつくり上げております。
 ここまで、こういった市場はないだろうか、あるいはこういった市場ですよ、こういった使われ方をしていますよ、というお話をさせていただきました。ここからは印字方式別のマンガと、これに関する設計ポイント、こういうところをポイントとしてものをつくり上げているというお話をさせていただきます。なんでこういったお話をするかといいますと、知っている方はこんなのはもう知っているよという内容ですが、こういったバックボーンがあってものをつくり上げているのだというところを汲んでいただければと思っているからです。
 まず、溶融型というタイプ(図16)。これは銘板用などによく使われているものです。リボンとサプライのマッチングでバーコードを印字したり、あるいはこの頃では、解像度の高い銘板の細かい文字や、意匠性のあるマークなどもリボンで印字できるようになっています。加熱体(ヘッド)で、インクリボンのインクの部分を溶かすことによって相手に点着をさせます。点着したリボンは当然溶けて再硬化しますので少々の擦過では取れません。後で出てきますが、ワックス、セミレジン、レジンと呼ばれている3種類のリボンによって擦過性、刷り上がり、値段が違っています。

 サーマルトランスファー、熱転写の設計ポイントというのは、どういうところをポイントにしているのでしょうか。まず、バーコードプリンタと呼ばれるプリンタも多いように、バーコードに使われることが非常に多いです。
 これに関して、フェンスバー、ラダーバーの検証グレードというものがあります。バーコードと呼ばれているものは皆さんご存じだと思いますが、紙の流れに対して並行なもので家の庭にあるフェンスのように見えるものをフェンスバー、逆に紙の流れに対して直角のもので梯子(ラダー)のように見えるものをラダーバーと言います。人によっていろいろな呼び方がありますが私どもはこういった呼び方をしております。
 このバーコードの検証グレードにアンシー(ANSI)というものを使っております。ANSIの説明は後ほどさせていただきますが、バーコードがどれぐらいの品質をもつものなのか、あるいはある一定の条件を加えた後でそのバーコードがどれぐらいの性能を持っているのか、こういった検証をするものです。
 設計のポイントとしては、転写感度といって、相手にどれぐらいうまく印字がのっているかというのが1つです。また、文字の適正というものがあり、これはどれくらい小さい文字まで印字できたかということです。そして高速での印字性。これは経済性やどれだけヘッドの負担を和らげられるかということに関わってきます。次ぎに筆記捺印性です。これは、皆さんのご自宅に書留などが届いたときに印鑑を押したりサインをすることがあると思います。そのような場合の為に必要になってきます。
 サーマルトランスファーの特徴として、擦過、耐熱といったいわゆる耐久性に優れているということがありますが、それが実際にどれくらい優れているのか、また耐溶剤性はどれくらいの性能があるのか、こんなところを加味して製品をつくりあげております。
 では、先ほどの「ANSIとは」ということですが、これはアメリカの規格協会で行っている規格です。X3・182という項目がバーコードの規格になります。具体的には、エッジの決定、つまりエッジの部分がどれぐらいきれいに切れているかということや、最小反射率や、白と黒とのコントラストなどを評価して、ABCDFという評価を出します。あとは、当然読み込み側のスキャナーの感度も影響しますので、必ずAでなければいけない、あるいはCまででなければ使えないということではないのですが、評価は高ければ高いほど良いということにはなるかと思います。しかし、コントラストの評価ということを言いましたが、銘板用などは地色が鉄の色になっているため白と黒とのコントラストではなく、銀と黒のコントラストでの評価になってしまい、コントラストをとりずらくC評価になってしまうという例もあります。あくまでも1つの目安として、バーコードがどれぐらいの性能を持っているのかということを評価したものになります。
 レジン系とワックス系のリボンの特徴をざっとまとめてみました。まずワックス系のリボンについてです。ワックス系は柔らかいものになります。ワックスというと靴墨とか、野球のグローブにつけるワックスなどをイメージしていただけたら良いと思いますが、そのようなものが練り込まれていますので、転写性は非常に良好です。コストも非常に安いのですが、反面擦過性や擦傷性、耐熱性が悪かったり、耐溶剤性が若干悪かったりということもあります。逆にレジンとかセミレジンと呼ばれている樹脂系のリボンに関しては、転写性は、若干ワックス系より劣るのですが、その他の耐性が非常に良好であるという性質があります。
 例えばコストを安くしたい、大量発行をする、水には濡れない、耐久性はそれほど必要がないという場合にはワックス系のリボンを使用します。反対に、コーションラベルや銘版用ラベルなど、剥がれ落ちて印字が消えてしまっては困るものには、樹脂系のリボンを使うことが多いようです。
 私どものLVIP製品は、製品名の最初に「L」のあるものは、紙系の表面基材になります。当然、粘着がついているものです。LR1110に関しては、物流用のラベルで使われることが非常に多くなっています。LR9200は擬似接着というものです。書留などに使われていて一度剥がしてしまうともう二度とつかないというラベルを見たことがあると思いますが、そういった材料です。「F」が製品名の最初にあるものは、フィルム系の表面基材です。特徴的なものをざっと挙げてみます。警告ラベルに使われているFR101350は、黄色の基材に黒で印字をしてコーションラベルにしています。FR531185は、いわゆる合成紙といわれるものです。紙よりは性能が欲しくてもフィルムのようにコストが高いものは困るといったときに使用されます。他には、白PETFR141150、銘板用レベルに使われるFR161350といったものがあります。かなり特徴的なものとして、製品名の最初に「H」がついているHR521025というものがあります。これは耐熱ラベルで、約300℃近くまで耐えられるようなラベルです。先ほど野崎がお話したシリコーン粘着剤を使っています。
 次は、ダイレクトサーマルです(図17)。感熱という呼び方をしたほうがおわかりになるでしょうか。身近なものとしてPOSレジからでてくるものがあります。昔は打刻された青い印字だったのですが、この頃では黒い印字がされています。ヘッドと呼ばれている加熱体を紙に押し付けることによってある程度の熱を伝達させます。それによって化学反応で、熱の伝達された部分が黒くなるといった方式です。この方式の特徴としては、リボンを使わなくていいので当然コストが下がります。大量発行ができますので、食品に貼付するようなラベルといったものに向いており、そういったものから使われ始めたようです。しかしこの頃は、多少擦過性が必要だった物流ラベルと呼ばれているものにも、こういったダイレクトサーマルのものが使われています。なぜかというと、擦過、こすりといったものにサーマルは非常に弱いと言われていたのですが、この頃では擦過性を上げたものがかなりでてきているからです。このように、物流用に使われているものも徐々に多くなってきております。プリンタの特徴としては、かなりコンパクトに作ることができますので、腰につけられるようなものもございます。

 ダイレクトサーマル方式の設計ポイントとして、発色特性と言われているものの中の静的発色という評価があります。熱をかけて印字をした後、ある程度時間がたって印字が消えていってしまったり、あるいは周りの白かった部分が茶色になったりといったことがサーマルには起こり得るのですが、それがどれぐらい起こらないものなのかという評価です。また、動的発色という評価もあります。どれくらいの熱量をかけたときに字が浮き出てくるのかという評価です。これはヘッドにかかる影響を緩和する、あるいはスピードを出して大量発行をするというときに目安となる評価です。こういった2つの特性を調べております。
 あと、個々の保存性があります。耐水、耐薬品性というものです。もともとサーマルというのは保存性が弱いものなのですが、サーマルなりにどれぐらいの保存性があるのかということを調べています。お客様からこれを水につけたときにどうなるのかというお問い合わせをされたときに答えられないということのないよう、きっちり評価をしているということをご了解いただければと思います。また、プリンタのヘッドが壊れてしまうというのはよく聞く話でした。かつては、サーマル紙の紙粉や熱のかけ過ぎなどという物理的な要因が非常に多かったのだろうと思われていましたが、よく調べてみると、紙に含まれているイオンなどがヘッドに影響を与えるという話もでてきました。現状では、このイオンはここまでに抑えましょうという数字をもうけてものづくりをしております。
 LVIPシリーズの製品名でLDとありますが、Lの後のDがダイレクトサーマルのDとご理解いただければと思います。PP素材のラベルは物流用のものになります。値札ラベルや計量ラベル、高保存サーマルのラベル、耐アルコールサーマルなどというものもございます。医療業界などにはこういった耐アルコールサーマルなどをご紹介できればと思います。

次号へつづく

 

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