「フォーム印刷市場の動向とDPSの事業の展開」

フォーム関連の倒産



フォーム関連の倒産
 フォームの関連の倒産は、あまりいい話ではないですが、今年になってからもあちこちで具合が悪いという話を聞いています。これは去年1年間で一応表へ出てきた会社の名前を書きました。
 稲元印刷というのは、ご存じの方はいらっしゃるでしょうけれども、もともとフォーム屋さんではないのですが、郵政省とか、あちこちで活発に動いてやっていた会社です。登記上の本社は鎌倉にあったのですが、実質的には東京を中心で動いていました。これが1月です。
 コーリーというのは、茨城県にあったフォーム会社で、多色の下請みたいなものをやっていた会社です。ケイオーコンピュータも、茨城県で多色に近いことをやっていて9月です。コンピュータサプライは、ブローカー屋さんですから直接設備を持っていませんでしたが、東京にありました。これが11月。浮田工業は、ご存じの機械メーカーですから印刷業ではありませんが、歴史の古い大正11年創業の会社です。売上がガタガタに落ちてしまって結局、去年の11月です。
 陽光ビジネスフォームというのは、宇都宮にあったフォーム屋さんで、ここもセパブルといって角2の封筒を二つに割って長3の袋をつくるというパテントをやったり、あるいはフォームの耳に見出しをつけて引き出しやすくするというパテントを持って、皆さんにいろいろそういうお話をしたりしていた会社です。非常に活発でしたが、この会社も11月です。今年になってからティーディーエフ、元東京データフォームという会社ですが、ついこの間、破産という宣告が出たようです。
 もちろんいろいろ業態の変化というのがあります。売上が下がってつぶれてしまうわけですが、この中で一番古いのが浮田工業で大正11年。稲元印刷が昭和28年。あとは、ティーディーエフが47年ですから、だいたい51年ごろの創業です。51年というと、そろそろ30年になろうかというところでこういうふうになる。印刷業だけの統計というのは特別取ってありません。帝国データなどを見ても出ていないのでちょっと私はわかりませんが、印刷業というのは分類では製造業の中に入っています。印刷が単独ではなくて、印刷・出版ということになっていて、出版と印刷というのは業態が違い過ぎると思いますが、どういうわけかそういう統計の中に入っています。
 製造業は、ほかの業種とここのところの統計で幾つか変わってきたデータが出ています。それは何かというと、業歴の長い会社がたくさんつぶれているというのが実は製造業の特徴になってきました。帝国データの調査では、一般産業で創業30年以上の会社がつぶれる割合が二十四点何%。それに対して製造業だけが三十三点何%。つまり約10%近く製造業だけがキャリアの長い会社がつぶれている。それがここ2年の変化です。3年前にはほとんど製造業も一般産業も同じだった。ここ2年間で急激にそういう変化が起こっています。
 これは何かと考えてみると、印刷業の場合に当てはまるかどうかわかりません。ただし、製造業というのは、一般的に言えば、設備を持って仕事をやっているところが製造業ですから、もちろん機械工業みたいなのが一番多いのですが、考えてみると設備があるために業態の変化ができない。つまり、いろいろな変化に追いついていけないからこういう問題が起こっているのではないかということがいえると思います。創業 100年の会社がつぶれているというケースもあります。つぶれた会社だけを集計してああだこうだ言ってもしょうがないですが、一応そういうふうになっているということは、私どもの印刷業においても、やはり設備を持っていてその設備が時代にマッチしていくかどうか、変化についていっているかどうか、この辺が一つのポイントになるのではないでしょうか。