日本フォーム工連・技術委員会セミナー記録


やさしいEビジネス      
中編

―業種別事例に見る印刷業とEビジネスの共存―

講師 堀田和雄 氏 日本ユニシス(株)asaban.com事業部 事業部長

平成12年11月15日 東京・茅場町「鉄鋼会館」

 

 では、情報活用の主体が顧客に移ってしまうと一体どういうことになるか。まずインターネット自体の効用、これはもう既にご存じのとおり、これ自体があるものですから、情報の取得から始まって、閲覧、取得、活用というのは、かなりこれで光明が出てきたわけです。それから、特に米国では情報公開というものがかなりかっちりと決められていますから、ものすごくオープンになっています。それから個人、法人問わず、ホームページみたいなもので主張、その他、問いかけるといったことはありますし、それをもう少し大がかりにしたポータルがある。それから、インターネットを主体に友人、知人の中のコミュニティが非常につくられている。この辺でもさらに騒がしくなるわけです。それから、年末からもう始まりますが、デジタルテレビのすさまじいチャンネル数があります。ですから、映画とかスポーツのみで満足される方はいいことばっかりだと思いますけれども、実にすさまじい情報量が出てくる。したがって、顧客サイドとはいえ、明らかに情報過多になるに違いないというふうに置いています。
 置いたはいいけれども、どうなっちゃうのということになるわけですが、たくさん例があるので、とりあえず4つぐらい書いてみましたけれども、1つは投資信託。何で投資信託と書いたかといいますと、株とか、為替とか、この辺はもういささか、皆さんご存じだと思うので、投資信託というとまだ割とひっそりしたような金融商品なわけですが、インターネットを活用して生きている投資信託を見ようとしますと、市場に出ている商品は8,000本もあるんです。ですから、幸い56個しか知らなければ、その中の優劣で満足して買ったかもしれないけれども、8,000もあったら比較なんかもうできないんですね。ちょっとしか知りませんと、その中で、貯蓄性に富んでいる、確かに富んでいるね、これを買ってしまうわけです。でも、8,000なんてあると、そこで貯蓄性に富んでいるといったって、本当にどうかというと、また違うその比較が要るということになるわけです。そうしたら、だれかに聞かないとわからないなというふうにきっとなる。
 それから、
2番目にB to C商品と書いてありますが、町の中で買える品物について情報過多になる。どういうことかということですが、低価格表示って、絶対額だけでしたら、買いたい目的がある以上は、これが安い、これがいいというふうに一発で決まるわけですが、あいにくそうではありませんで、季節キャンペーンですとか、日時の特定キャンペーン、この日時というのも、受け付ける日時特定もあればあ、実行する日時特定もありますし、それで躊躇しているうちにどんどんそれが終わってしまったりもするわけです。そういうようなことがあったり、それから抱き合わせのキャンペーンがあったり、マイレージのボーナスがあったりといったことで、本当は有利な話ですけれども、情報過多ぎみから見ましたときに、これはやっぱり難儀なことなんです。
 それから、違う種類でいきますと、車。日本の車はまだこうなっておりませんが、米国は徹底的にここの書いたようなことになっていまして、ユーザーからそのメーカー、もしくは、車種に対してクレームというのはもともと出ているわけです。企業が預かる顧客からのクレームデータベースはもうだいぶ前から公開をしているわけです。そうすると、買う人は、こういうものが好きな人は自由に見られるわけです。そうすると、重箱の隅をつっつくようなたぐいから、ブレーキを踏んだときのレスポンスなど、いろんなことがわっと書いてあって、その中で自分が活用したいものをつかみとっていくことになるんだと思いますが、まあそんなことなんですね。それから、友の会の掲示板みたいなものがあったり、車の私的コミュニティもあったり、とにかくあら探し当然の情報がわっとある中で、ヒントをつかみとろうとするわけです。
 先ほどの投資信託で言い忘れましたけれども、投資信託に限らず、金融とか生活に関係する分野について今言われていますのは、やたら情報が過多になったときに、指針がないものですから、自分の指針をだれかに委託しても、何とも言えないんですね。したがって、問題意識を持つ人が希望していますのは、自分が関係するテーマについて健全なディスカッションの場がインターネットで、広場になっているとありがたい。その広場の中の健全なディスカッションをわきで聞いていて、自分流儀を探したい、こういう感じが随所にあります。ですから、これを見たときに、ただ自然の話でもってほうっておくのか、積極果敢かといったあたりに差が出てくるんだと思うんです。

 もともとこのEビジネスとか何とかという言葉の中に、実は双子で産み落とされているのが、Eビジネスと一緒にくっついているのが、Eコミュニティというのが言われるわけです。ですから、あっちこっちで、廊下でもって話し合うなんていったことと同じなものが、インターネットで飛び交うわけで、自分の私的広場があるわけです。Eコミュニティです。
 何年かすると、確実に日本でも言えそうなのは、あらゆる企業のホームページの大きな場所に、自分の取引先からの文句を掲載する場が出ると思います。それは勇気のあることですが、今だって知らないとこで言ってるわけです。例えば、お世話になっている電車、どこかから乗っておりますけれども、褒める人というのは基本的にいないんです、必須極まりない輸送機関ですが、やっぱりどちらかというと文句があるわけです。同じように、どんなことを営んでいても、文句というのはあるわけで、知らないで過ごしているのか、知った上でやるのかという差があるわけです。ここまで来ますと、今後の企業活動は、自分のホームページのど真ん中に、顧客がこう言ってますということを残らず書いてしまう。書いて、その顧客がぶつくさおっしゃってることに対して、インターネットだからぶつくさ言ってきてくれるんで、インターネットだからこそすぐ返してしまう。それで、対症療法というのはなくて、せっかくある観点で文句を言っているわけですから、その文句に要相談だと。相談を繰り返すうちに、それが製品のサービスに生かすような仕掛けをつくろうじゃないか、この仕掛けが商品じゃないかと言われているんです。まだ実感はありませんが、ほとんど米国ではこんなぐあいになってます。こういうふうに取り上げないだけなんですね。こういうことで、顧客側に情報活用の主体が移るというのは、まず身の回りではそういう現象になるだろうというふうに考えています。
 それから、4つ目ですが、昔は商売するときに、面談とか体面とか、フェース・トゥ・フェースで、実感をもって商売するわけですね。これは、インターネットですとそういうわけにいきませんから、ワン・トゥ・ワンという言い方に変えていますけれども、ネット越しですけれども、11でやるわけです。ここには、インターネットストーカーって、随分悪口を書いていますが、本当はコンピュータ屋さんはこういう言い方をしなくて、こういうものを愛さないといけないわけですが、しかし、相手のEメールアドレスがわかったが最後、どんどん提案するわけです。それで、役に立った場合は提案ですけれども、見境なくいろんな人が提案してきたという、これはもうストーカーに似てるわけですね。この辺も、これから明暗を分けていく1つの技術がもたらした現象なわけです。
 この辺もまだシステムが脆弱ですから、ちょっとしか買ってない人は、見込み客であると同時に、重要客ではないんです。1週間前でも少し買っていれば、見込み客よりも、実績豊富な大取引先なんていう、やむをえずバイナリなとり方をするわけです。今までは肌で感じたり、
TPOの中でもって、今後のお客になってほしいということで、指導もされましたし、一生懸命やるわけですけれども、そこのぐあいがそげおちてるわけです。今の技術は、今までやっていたようなことを、もっと巧みに情報を整理しようじゃないかというので、飽くことなく技術開発も進んでいるわけです。
 技術開発が進んでいるといった行く末は、人間同志でやるような、多感で多彩なことに、コンピュータシステムが近づくようなことになっているわけです。だから、なかなかうまくいかないと思いますが、そういう現象だと。したがって、情報過多の時代に明らかになる以上は、情報の整理とか仕分けの代行業が例外なくふえるだろう、こう思います。括弧内に「新たな仲介機能」と書いてありますが、大昔の商社だと思うんですけれども、それがインターネット時代の情報過多の顧客サイドに対してはこうなるだろう。そうすると、自分がいつも気にしたいような内容とレベルと項目をだれかにお金を払って委託すると、何か送ってくる。自宅に帰って、盲目的にテレビを何チャンネルかぴょんとひねることが多いと思いますけれども、同じように、自分が委託した代行業者の画面を出して、自分が気にしているものがどうなったかを見ようということにきっとなるに違いないという議論がかなり多くあります。あるいは、マイチャンネル機能とありますけれども、言い方を変えただけで、自分が希望するものをセットしておくと、それを、だれかが運んでくるというような寸法になります。こういう時代だということで、私どもはそういう仕事をするという専門業体をつくっていまして、これが
asaban.comという名前の事業になっております。
 このパートの最後になりますが、顧客サイドに主権が移るという以上は、企業にとっての研究の同盟とか、提携はどんなものになるか。目下のアライアンスは企業間同盟ということが主体ですが、情報主権が顧客サイドにシフトするのであれば、研究のアライアンスは企業対顧客だねということにないます。そうすると、すごく極端なことを言いますと、顧客がセールスマン的になると一番いいだろうな、こうなります。これは、先ほど触れたことにもかかわりますが、企業に執拗に食い下がるお客さんが自然にふえるわけですが、しかし、ネットでしかできない対応で、まあ仲間に入ってもらいましょうよということで、いずれ、ファンになっていただくという気持ちで臨むかどうかが違う。
CRMという言葉がありました、カスタマー・リレーション・マネジメントですが、これを積極的にEでもって進めるということを、学問的な枝葉を全部とってしまいますと、文句を言う人にはやがてファンになっていただくよという気持ちが、そんなことになっているわけです。
 こういうように、ネット革命、それからネットビジネス、
Eビジネス、IT革命、全部同じことを言ってまして、さっきから申し上げましたとおり、情報通信技術も目を見張るものになってきているわけですが、情報を活用する主体が相手に移っているといったことがもたらす変化はどんなものかといったあたりは、業種・業界によって個性がありますから、何とも言えないわけです。でも、そういうトレンドだというふうに今考えています。ここでは、幾つかのビジネスモデルの類型ということが言われていますから、少し触れておきたいと思います。
 まず、図5の上の左ですが、セラー・セントリック・モデルと書いてありまして、文字どおり、売る企業です。サプライヤにとって非常に都合のいいビジネスモデルといったものが世の中にやっぱり最初に出ました。あっちこっちですぐ言われますのは、例えば運送のフェデックスです。本当は、24時間、いろいろなお客様から今、自分の荷物はどの段階にあるかを知りたいと、答えたい。だけど、ありとあらゆるところをポイントにして答えないといけない。相当なシステムづくりと人間が要る。しからばということで、内部システムを開放してしまったわけです。ですから、社員もお客も同じことを使いますから、だったら問い合わせ、追求はやってくださいということなんです。ですから、売り手にとって都合がいいといっても、身勝手というのではないんです。高級な意味で売り手にとって都合がかいいということです。したがって、サービスコストがかからないわけです。最初のサーバーの開発は要るにしましても、運転については、開放してしまいすから、社員もお客の同じように使ってくださいということになります。その分だけ安い料金でやっていけそうだということになります。


 これが、パソコンのモデルとか、あっちこっちで似たようなものがいっぱいありまして、いずれにしても、人手をかけないで、パソコン屋さんについても、お客さんに好きな機器構成を全部決めてもらって、意思表示もしてもらう、あとは届けるだけだというふうにするわけです。したがって、製品体系も、そういう簡単な手法に合うようなつくり方をしていくわけです。当然これはこれでブームを持ちました。
 次の時代に出てきたのが逆で、借り手主体のモデルがやはり浮上してきた。これは、生い立ちとスタンスが違うので、いい悪いの話ではありませんで、時系列にこういうふうに出てきたという話です。バイヤ中心ですから、当然買うほうにとっては、比較検討したいわけで、したがって比較検討するには、自分にとって納得できるような競合商品の比較ができるようなカタログがどこかにあるといったことが条件になるわけです。そういうことを提供するということになります。
 そして、一番右は、アグリゲター・モデルと言われていますが、文字どおり、集めてくるというモデルです。買う側でも片方の情報しか持たない、売る側も片方の情報しか持たないのであれば、両サイドの情報を真ん中に位置付けて集めてくるというお話になります。この辺は、きょう現在の総合商社が物理的にこの機能を持っているわけです。ですから、売る側、買う側の情報を持っていますから、コンテナもむだに走らないでもって、満載で行く可能性があるし、いろいろなことができるわけです。
 余談ですが、米国については、特に総合商社とか、スーパーゼネコンという業態は存在しないんです。総合商社は存在しませんから、ネットビジネスをするときに、そういうとりまとめ機能を一生懸命開発しているわけです。企業においても、総務部というのは特にはないんです。ですから、売ったり、買ったり、管理するといった機能を、非常に重宝がって使うためには、ネット上に、自分にとって都合のいい総務機能がつくようなものが非常に多いです。そこを吟味しないで、米国ではやっているからと日本に持ってきても、それ自身はあまりインパクトはないんですね。こんなようなことでもって、それぞれがすみ分けて、今おおよそ3つぐらいがアメリカにいるわけです。ここではこの程度にしておきます。

 以上のようなモデルがどんどん進む結果、とにかく日米欧、関係なしにうまくいったEビジネスの企業というのはどんなことになっているかというのが図6です。

 まず、セルフサービスの限界がきているということが1つあります。先ほどの例から言っていますように、基本的にはインターネット主体で、何とかサイトという名前をつけて、ホームページに機能的なものをつくるわけです。そこでやりとりをするんです。したがって、ここにはパスワードの喪失と書いてありますけれども、こういう時代がどんどんはやりますと、どこかの
Eビジネスサイトに自分を登録して、それなりの方式でもってパスワードをもらうわけです。随分違うものですから、やっぱり人間ですから忘れたりする。忘れたら最後、かたってるのかと思いますから、そう簡単には企業は再発行しないわけです。そういうようなことでじたじたするわけですが、どうしようもない。
 それから、全部組み込まれた、アンケートみたいなホームページに、自分の氏素性からそういうのを全部、漏れなく入れないとエラーになってしまうんです。それでびっしり入れる。それで、受け付けが完了するわけですけれども、その後、どっちかの事情でもって、納品日をちょっとずらすなんていうこともあるわけです。そんなようなときに、従来でしたら担当者に電話すれば終わってしまうわけですが、全部
Eビジネス化していますから、そうしますと、そんなものというのはEメールでもってやりとりをするわけです。それは、事情を持つほうが積極的ですから、お互いさまなわけですね。したがって、商売が繁盛しているEビジネスサイトというのは、Eメール地獄にとらわれるわけです。やたらめったらEメールが来るわけです。今シリコンバレーで開発予算がたくさんついているのは、やたら来るEメールを賢く前さばきするようなEメール処理ソフトみたいなのがはやっているわけです。ですから、よかれと思ってつくったことが、世の中に出てきますと、余計なややこしいものも発明してしまうものですから、そこをまた改善するようなものが出てくるといったような、比較的イタチごっこ現象になっています。こういう事実があります。
 したがって、2つ目になりますが、コマースサイト。
Eビジネスをやっている事業者については、顧客サービス面に関してジレンマ現象に入っています。顧客のロイヤリティをどう勝ち取るか、要員の役割を縮小してコストをどう下げるか。金融機関を筆頭に顧客向け何とかサービスという、サービスという名前がついているものはもうほとんどゼロ円になっているわけです。内部構造を変えないでゼロ円にしますと、量が出た分だけ赤字になってしまうわけです。どうしようもないんで、要員の役割を縮小するわけです。ですから、いい悪い抜きに、セルフサイズ型に転化してしまうわけです。そうすると、この1行目にありますように、せっかく従来の体制でお客様をつくってきたといったことがどこへ行ってしまったんだ、こうなるわけです。サービス料金を安くするのか、どの辺がどうなのかといったこの問題は、対局をなす感じが多いんです。
 したがって、3つ目にありますように、何やら誘導販売と呼ぶコンサルティング的業務ノウハウ、ややこしいですが、うまくいくような商売の方法はないかねといったことが、今台頭しています。サービスを販売とマーケティングに組み込むようなもので、右の上にありますように、指導型顧客サービスと言えるような新しいモデルというのは、インターネットでつくりたいものだなというふうに言われています。
 その例が次になります。リアルとサイバーを組み合わせた1つの事例という言い方になるかと思います。たくさんありますが、きょうは若干Eビジネスを実感を持ってわかろうということも趣旨の一つなものですから、1例挙げておきます。図7は、私どもの存在は無関係で、しげしげとみていいなと思っている1つの例です。

 マイプライムタイムという名前の事業がアメリカにあります。内容は、ここにありますように、ストーリー、文脈ですね。文章とか文脈を活用したショッピングを支援するような
Eビジネスがあります。ここでターゲットにしているお客様というのは、45から60歳強ぐらいまでをそれとなくイメージしているものです。今インターネットではやっているところというのは、ニフティもそうですけれども、若者がたくさん入ってきても、財布の中身があんまりないといったことがあるわけです。そういうことを見たときに、やっぱり目にとまった以上は、お金を持っている人のほうがいいに違いないと、こちらは思っているわけです。そういう根拠が3つほど書いてありますが、1つは、昨年のクリスマスシーズンにこの世代の人は、米国において全世代平均の3倍ほどの購入をしていたと。1人1,800ドルぐらい買っているというんです。それから、こういう世代の人は、米国の金融総資産の7〜8割を持つに至っていると。当然贅沢な旅行とか何とかしたことは体験していると。ですから、時間とチャンス優先な方なものですから、やたら安いとかといったことは関係がないわけです。そこに合わせてみた例だということです。
 ここの画面はわかりにくいので、口でお話しますが、今でも外国系のクレジットカードの会員になったときには、時折しゃれた会員向の小冊子を送ってくると思いますけれども、比較的あれっぽいタッチで、この世代がぐらっとくるような紀行文とか、随想とかといったようなものが書かれているわけです。例えば、脂肪でもってお腹が随分でちゃったねという人が、当然多数いるわけですけれども、立ったときにはぴたっとしていますけれども、座るときに、裏にまちが入っていてものすごく柔軟だとか、それから柄模様も非常にスマートに見えるとか、こうあるわけです。それから、鳥打ち帽子は知りませんけれども、そんな物から始まって、身につける物とか、そんな物について書かれていて、こういうものを使ってドライブしたら非常によかったぜなどと書いてあるわけ。そうすると、おれも買いたいねと。だけど、普通はそういう記事を見ると、いいなとは思いますけれども、探す勇気なんてもうないわけです。探せないし、買いにも行けないだろうといったときに、ぐらっときついでに、ひゅっとそれが、商品であったり、店であったりが書いてあるわけです。そこをクリックしたときには、ばっとそこへ飛んでいってしまうわけですね。
 そういうようなこととか、それから、若者とレストランに行きますといったときに、若者は、例えばステーキの場合に、コストパフォーマンスがいいものを喜ぶかもしれないけれども、本人にとってはもうほんのちょっとでいい、10分の1ぐらい食べればよくて、だから、値引きではなくて、食べた分だけのお金にしてくれませんか、そのかわり、高級なワインをたくさんとってみんなに振る舞うんだから、払うお金は随分払うぞ、そういう合理的な店というのはないものかねといったときに、次号では、いや、そういう店を私はつくりますよ。入っていける。そうすると、それが繰り返し紹介されて、予約ができる。そんなような感じの話があるわけです。
 そうしますと、その商品はどんなものかというのは、もはや聞かないわけです。自分がここでもって触れたときにぐらっときてますから、もう買いたいわけです。そういうようなことで、コンサルタトとかアドバイスとか、問い合わせみたいなものというのはかなりウエートが低くなっている。

 そういうことで、右の方にありますように、専門の編集グループが存在して、見るお客がいて、毎回出されるこういうメディアについて、リフレッシュとリサイクルをするわけです。そういうことでもって、顧客ニーズと自分の商売をマッチしていって、仲間によろず問い合わせの人間を置かないで済まそうと。それから、これに賛同した人が、品ぞろえに加担してくる。それで共存共栄をしていくわけですね。こういうフィーリグのものというのは、よく見ると、あっちこっちの業種に存在します。そういうことで、今後かなりひな型になっていくような、比較的しゃれていて賢いEビジネスの例だというふうに考えます。
 ここらあたりで1つの、中間的まとめですが、もう一度
Eビジネスというものと、それから市場というものを見てみたい。図8は血液型みたいなことを書いてありますが、どの業種・業界も全部共通だと思いますが、とにかく今の状態をリアルワールドだというふうに言えます。これをAAというふうに置きかえよう。それで、今あるままの状態で、その業界のその業務というものを、100%サイバーですね、インターネットの世界に置きかえようとするのがBBなわけです。ですから、コンクリートの壁に直球をぶつけるわけです。現状のリアルワールドの人がサイバーのほうに、AAからBBにぶつける。そうすると、ある根拠でバウンドしてどこかに落ちます。それがABだと。ですから、必ず習慣とか、規制とか、商品の流通とか、それから試行錯誤のあるないとか、いろいろな諸問題で、全部サイバーなんかへ行くわけがないんですね。これが、かなりAAに近いところまで戻ってくる場合もあれば、相当あっちへ行ってしまうのもあるし、これは業界ではなくて、業務単位のほうがいいと思っていますが、必ずそういう作用だと。それで、ぽつんと落ちたところが、ABという地点で、これは融合するわけです。現状と、それからサイバーのメリットのちょうどいいところがABですから、ここのところを営むということが、私どもが理解するEビジネスと言っています。ですから、コンピュータ屋さんが何かを売るという合言葉にはなりますが、違うと。融合地点から出発することをEビジネスというのではないかというふうに考えます。

 次に図
9は、ユーザーも、それから何も全部一緒に見たときに、とにかくEビジネスというものをどういう視点で眺めたほうがいいかどうかという話です。左側の3つの項目というのは、企業側にとっての目的です。ですから、まず左の最初というのは、企業においてより効率的な管理をもっとやらないといかんな、だからEビジネスをするんだというシナリオの1つ。企業の売り上げとか収益の増加をもっとしようと思うからこそEビジネスがあるんだと。それから、新市場をつくるか、入るかといったことが、Eビジネスの目的なんだ、おおよそ3つあると思います。

 このときに企業立案するときのゴールというのは、真ん中の縦列にありますように、デジタルで双方向環境になるともう約束されているわけです。ですから、我々も、確認しようがしまいが、何をするしないにかかわらず、あと
4年もすると、このおくれている行政の届け出もどんどん電子化してしまうんですよね。無差別に片っ端からやっていくわけです。帳簿やなんかは整いませんけど、それは全部デジタルになるからです。そういうことで、今はインターネットでいろんな通信ができますけれども、片方向を頻繁にやっているわけで、同時の双方向ではないんです。片方向だからうまくいかないものが、双方向だったら威力を持つという現状はたくさんあります。
 そういうことで、企業の効率的管理をやろうといったときに、あと3〜
4年後がゴールの、デジタル双方向環境だというふうに見たときに、知識を共有するような、何か窓口をつくろうとか、営業チャネルを、お客様と代理店の間で双方向のコミュニケーションを太らせようとか。先ほど、顧客自身によるセルフサービスが限界だとありましたけれども、スーパーハイウエーで、デジタル双方環境になったら、また話は変わってくるんです。そういうようなことがあるので、これを盛りつけると相手先をひきつけることになるかもしらんねと。これを動機に実行環境を考えるなんて話が随分とあります。
 10は、宣伝ではありませんので、私の部門の位置づけですが、日本ユニシスとして何をするのかといったときに、私ども自身も、人さまにコンピュータシステムをお世話して、開発して、納めるといったことばかりではなくて、事業をするといったときに、中立的な名前がいいということで、asaban.comいう名前にしてあります。日本ユニシスの事業そのものを乗っける環境をつくりましたけれども、こういうEビジネス環境をつくることが大変な会社が実はものすごくあるわけです。企業間でやりとりしますから、どちらかがどちらかの分を持つなんてわけにいかないんです。だったらアウトソースしなさいということで。ですから、我々に参加する、利用するお客様は、自分の名前でもって仕事をしますから、日本ユニシスなんてくっついては困るわけです。したがって、得体が知れない名前にしようということから、asabanという名前にしたわけです。欧米ともやりとりするものですから、絶え間なくやるので、ナイト・アンド・デイということを基本にしてたんですが、朝から晩まで商売繁盛ということですから、.comも日本語表示にしようということで。本当はさえた名前にしたかったんですけれども、締め切り日までにこれ以上のものが浮かばなかったので、登録をしてしまったわけです。今は、おかげさまで、不思議な名前も作用しまして、一回聞いたら忘れないということで、ご愛顧いただいていますが、この名前になっています。

 次に、幾つかの個別のケーススタディをご紹介することによって、
Eビジネスとか何とかというさっきの話を、もう少し具体性を持っておわかりいただければと思います。
 図
11は、これは7月から商用サービスをしているものですが、企業のオフィスにおきまして、MROという名前の市場があります。これは、日本には適切なわけがないんですが、米国では当たり前になっていまして、メンテナンスのリテア及びオペレーションズという名前なんです。企業が経費でもって払って調達するような物品サービスを指します。ですから、オフィスの消耗品とか、あの辺が全部入るわけです。これを一網打尽で電子市場で売買するかというテーマです。真ん中に事業者がいまして、日本のこのテーマは、NTTコミュニケーションズさんが胴元をやっています。バイヤ企業がずらっと並ぶ中に、私ども日本ユニシス自身も、バイヤとしてこのメリットを受けるべく入っています。そして、サプライヤが、今いろいろな会社が入っていますが、その中に日本ユニシスサプライも入っています。こういうことで、我々自身も実感をしていこうということで、本番をやっています。

 それで次の図
12は、真ん中にコマースなんていう米国の版元がいまして、日本はNTT中心に、私どもを含めてつくっています、欧州は、ブリティッシュテレコムで、米国がMCIといったような、通信キャリアが比較的お好みなものですから、それぞれ胴元をやって、3極を結んでいるわけです。

 それで、右のほうの中身ですが、企業の経費で調達するということなものですから、サプライヤのほうは、備品とか家具・什器、文房具、サービス、トラベル、この辺の商品群がメーンになっています。このサプライヤがきめ細かく入れば入る分だけ、バイヤの充足率も高まりますから、調達市場の面積は上がっていくといったことになります。
 どういうルールかといったことをお話ししておきますと、先ほどいったような性格の供給者がいるわけです。各サプライヤというのは、こういう市場があることを予想していませんから、お客様に見せるカタログというのは思い思いの形なわけです、美麗なものもあれば、ワープロのまんまもあったり、いろいろです。いろいろなものでは、インターネットで共通的に見れませんから、真ん中の胴元が定義する全部共通の仕掛けにつくり直すわけです。これは、1点幾らということで、実費でもってつくってもらうわけですが、そういうことでもって、日本中の参加するサプライヤの分だけ、日本ユニシスサプライカタログなどがざっと並ぶわけです。そういうものを、バイヤ企業はこれを総なめにするわけです。
 基本的には、そのテーマの購買責任者が、日本中に入っているこの各サプライヤのカタログをざっと見て、自分のポリシーに合うものはどれかということで引っこ抜くわけです。抜いた後、バイヤとサプライヤのしかるべき人たちで、うちが買った場合には、どういう条件でどういうルールで納品するかといったあたりを決めるわけです。決めたら、ビジネスルールごと、決めたものをバイヤ企業は真ん中のサービスプロバイダ企業に伝えるわけです。そうすると、翌日からその条件つきで、日本中にあるカタログの中で、自分のおめがねにかなったものだけのカタログが1個存在します。そうしますと、そのバイヤ企業の社員は、普通のパソコンに入っている、ブラウザで好きなようなものがさっさと買えることになります。
 わけあって、こういう市場にはなりますけれども、今までおつき合いしているサプライヤさんとも一緒に来たいといった場合には、連れて入ってくるわけです。ですから、今までの習慣を利用することもできるし、あるテーマはそんなことを言っちゃおれないと。ですから、製品について、品質のばらつきがあまり起こりそうもないものについては、どうしても価格優先になるわけです。その辺でしのぎを削るわけです。ですから、製品が洗練されているようなものについては、安くないと買ってくれませんが、しかし、新たな営業コストを追加させないでも、新しい取引先に遭遇するわけです。ですから、この辺のいい悪いというのはお互いさまになるわけですが、そういうルールでもってこういうものが営まれます。

(次号へつづく)

 

to セミナー・座談会記録TOP 戻る

to Main to Main