日本フォーム工連・技術委員会セミナー記録


やさしいEビジネス      
後編

―業種別事例に見る印刷業とEビジネスの共存―

講師 堀田和雄 氏 日本ユニシス(株)asaban.com事業部 事業部長

平成12年11月15日 東京・茅場町「鉄鋼会館」

 

 今説明しましたように、日本は日本のサプライヤと日本のバイヤで市場が形成される、北米は北米でつくられる、ヨーロッパはヨーロッパでつくられる、それぞれ勝手につくるわけですが、結んであるメリットって、自由につうつうとヨーロッパも北米も見られることです。それで、日本のバイヤの通常パソコンから、日本市場ではなくて、あっちこっちをのぞき見して、欲しいものを買うことまで発展します。
 そういう中で1つの例が図13で、アメリカのセイバーという業者がいます。これは、アメリカンエアがだいぶ前につくった専門のサイトなわけですが、このセイバーというサイトは、エアラインとか、ホテルとか、レンタカーとか、旅行代理とか、もともとこれをインターネットでやっています。それが、米国のグループに入ったが瞬間、日本のユーザーはここから買うこともできるわけです。ですから、ヨーロッパへ行って、アメリカへ寄って帰ろうなんていったときに、大抵は頼りにしている国内の代理店に相談したり、企業においては常駐させている例が多いわけですが、そこに頼む必要がなく、ばっと買ってしまうわけです。ですから、ポリシーが許すんであれば、比較検討しながら、どんどん買っていくといったことが現実になります。


 さらに、このセイバーがもう1つの人たちと一緒になる。もう1つの人たちは、空港、鉄道、クルーズラインまで巻き込んでいるものですから、これを足しますと、米国の旅行・運輸業界の大きな調達市場までこっちはこっちでつくるわけです。それはそれでつくりながら、こっちはこっちで太っていって、みんなリンクしてくるということで、世の中に、例えばエアラインの予約とか、ホテルの予約とか、こういう業務は普遍ですけれども、プレイヤーが微妙にかわっていく感じがするということですね。
 ここにおいて、日本勢は、まだこれから迎撃するわけです。1歩リードしている米国勢がすごい勢いで入っていますから、やっぱり苦戦しますね。ここで、日本流のよさというものをこれから日本は編み出していく環境に入ります。
 今の延長で、だいぶ前からもう新聞に出ておりますが、この電子調達のウルトラ版で、自動車のビッグスリーが、共同出資で米国にこの(図14)調達サイトをつくったわけです。日本においても、日産から、トヨタさんが始めて、あらゆる車のメーカーに入らないかと誘ったわけです。それなりに今検討されていますが、基本的には入ると言っています。最初につくった会社は、ビッグスリーの年間の調達額の合計なので、28兆円ぐらいの調達額でやるわけですが、これに国産勢が入りますと、やっぱり40兆とかそんなお金になるわけです。そういう中で、共通部材は、この世界中が束になって単品をオーダーしますから、単価当たりがむちゃくちゃ安くなるわけです。そうしますとサプライヤのほうもいろいろ変化するだろう、こうなります。それから、品質には譲れないものがありますから、そういうものはそれぞれ、やはり今まで培ってきたパートナー、国内の部品メーカーと今後もやればいいと。この仕掛けを使って、国内にはトヨタグループがくっついていますし、超越した物品調達は共同でやるといったことになります。この辺が、量の経済と、それからインターネットを利用した利便性といったことで、いいとこだけを抜き出してやってみないかという提案が非常に目立っています。

 先ほどのMROという、日本で始まっている電子商取引市場、私ども日本ユニシスはその技術指導をしているわけですが、先ほどサプライヤに日本ユニシスサプライが入っているという話をしましたけれども、もう少しこの辺を図15でお話ししたいと思います。大勢のサプライヤ企業は、取り扱っている商売品目を基本的には全部カタログ化するわけです。A社、B社、日本ユニシスサプライとあります。ここがもしバイヤ企業の目にとまれば、これも対象物品に入れてくれる。目にとまらなかったら、しょせんアウツなんですね。そういうことを必死にこれからやっていくわけで、今まで未経験の世界へ、どうやってカタログベースで取引にあずかれるかといったことをこれから挑戦するわけです。バイヤ企業は商品検索をする。キーワードであったり、製造元を調べたり、カテゴリであったり、いろいろ細かくやる。検索結果も、価格順であったり、製造元順であったり、販社順であったり、出てくる、それで選択、発注する。そんなようなものが、注文情報に登録がされておりまして、言った言わないなんていう話は、真ん中の主宰企業が管理をするわけです。支払い方法はそれぞれが決めた方法でやればいいと。ですから、ここでは共同物流、共同決済というのはありませんで、あくまで取引チャンスの提供といったことにとどまります。

 こういうことをした場合に、バイヤが商品比較するわけですが、これによるメリット、デメリットがいろいろ言われています。メリットは、これはサプライヤから見た場合ですけれども、販売チャネルとかビジネスチャンスは今よりも拡大する。生身の営業マンが1日に回れる数というのは、物理的に限られますけれども、こちらは24時間ですから。それから、営業活動の短縮による他作業、ですから、人間が行っていろいろ打ち合わせをするなんていったことが全部ネットになりますから、その分の作業短縮が期待できる。それから、新商品の市場浸透までの時間が、これもやはり目立つようなカタログ搭載をすることによって、浸透時間は短いというふうに期待できる。それから、商品の管理ですね、価格変更、注文状況の把握とか、在庫管理といったものは、ネットでやりますから、リアルタイムにわかります。
 デメリットは、カタログの善し悪し(価格、納期、写真など)で相当売り上げというのは左右されるかもしれない。それから、こういう流儀ですから、星の数ほど競合相手は出てくる、こうなります。ですから、今までは情緒を持つ競争のポイントが、非常にとぎすまされる可能性もありますし、みんな同じになってしまったら、また次のポイントを必死につくるのかもしれなくて、この辺はこれからの話になりますが、しかし、比較に勝つためのカタログづくりといったことが当面言われています。
 そのためのポイントで言われていますのは、まず商品名のつくり方もやっぱり左右されるだろう。商品名に一般的な名前を組み込むことにより、バイヤのキーワード検索において選択される確率というものを高めておこうと。それから2番目に、商品の詳細をわざわざ見なくても判断できるような名前にしようというような工夫が言われています。
 それから、しかし、詳細説明をしないといけないものですから、その場合のポイントが幾つかあります。まず1番が、利用範囲などがわかるように、商品に仕様みたいなものは当然明記しないといけない。例えば、当商品はリサイクルコピー用紙で、古紙含有率が何%とか何とかとこうなります。それから2番目が、カラー写真や動画などにより、見ばえをよくすることで、購入意欲というものを高める、また色、大きさ、形、特徴が購入者によくわかるように見せる努力を、詳細説明のコーナーでもって頑張ってみるかということです。
 これは、1つの画面例ですけれども、これも大きくしてもわからないと思いますが、キーワード検索で、再生紙で、古紙含有率だと、商品説明がぱっと出るわけです。それで、販売元が日本ユニシスサプライというのが上から4つほど並んでいます。
 あと、商品といっても、例えばA4のカラーペーパーを買っていただこうとする場合に、この辺の素材というのは映しようがあまりないわけですが、せいぜい好感度を持つようにしておいて、ここにこの限られた欄に説明がさっと入るわけですけれども、ここのところにあんまりむだなことを言わないようにしておこうと。
 こういうときに、実は企業による個別戦略で、ITぽいといったとこはこんなとこになるわけですが、たまたま図16は、こういうコピー紙の話ですけれども、相手がこのカタログを見たわけです。それをITを駆使しますと、これを見ている端末ユーザーがどなたかというのがわかるわけです。そうすると、何会社の何部というのがわかりますから、そうするといきなり、これを開いた瞬間、この辺(図左下)に、当商品は御社でもって以下のお取引を今やってますよ、何とか部で何セット、何とか何セットとこう書きますと、「お、じゃあこれでいいや」ということもあるかもしれません。そういうことで、この辺の巧みさというのは、人間を置いておくよりは、ぎゅっとつかめるわけです。これもやっておくとヒットする。そうするとみんながやっちゃう、また次のことをやるわけです。この辺にすばらしいというか、うんざりというか、えに言えないものがあるわけですが、この辺の状況にこれから入ろうかという話になります。

 あと3番目として、品質、サービスの向上面においても、新製品カタログの作成を迅速に行うこと。これは、カタログがふえたら、サービス事業者に言えばぱっとつくってくれるということで、即、受け付けるわけです。それから、大口取引先というのは、いろいろな定義で、細かく考え直してもいいだろう。それが、ネットでやりますから、ある機械仕掛けでもって、価格ディスカウントしようと思ったらできますし、これで大口取引の単位と定義もいろいろできるかもしれない。それから、在庫管理、配送業務についても、効率化をしようと思ったときに、今よりもやりやすい。なぜならばネットで集約してくるからだということになるかと思います。
 バイヤのメリットというものもあります。通常ですと、こういうものというのは、普通の膨大なバインダにカタログが入っていまして、それを見たり聞いたりするしかないわけです。そういうことが、汎用パソコンで、ネットスケープのブラウザでみんな見れてしまうものですから、そういう面では、買うほうにとっても、簡素化と人的コスト削減はその分だけできるということになります。それから、24時間発注が可能である。別に深夜に注文するという性格のものではありませんけれども、必要になったときにいつでもできる。相手の人がいらっしゃるかどうか抜きにできるといったことが、やっぱりないよりはあるほうがいいということになります。あと、調達コストの削減とか、これはやっぱり競合が高くなって、品質のぶれが少ないと判断される領域については、安いものしか出てきませんから、安く買えるという理屈があります。それから、それぞれバイヤ企業には自社システムがあります。決済をしたり、棚卸しをしたり、ああいうシステムにこの電子調達をつなぐことができるものですから、バイヤ側についてはさらに連動が進むといったことになります。
 先ほど、特に米国企業には総務部がないと言いましたけれども、この辺がさらに、米国のルールでは、ある売り上げ規模を持つバイヤは、購入の何%はマイノリティから買いなさいとかと決まってるんです。ですから、大きくて信頼できるから100%買うということは許されませんので、いろいろなバリエーションで買うことになります。本来総務部というのは、そういうものを管理するわけですが、そういうパラメータを組み込んだりするところに、米国モデルは必死になっています。日本はそんなのは外すわけですね。
 こういう話を含めまして、こういうルールというのは、実は自由に主宰者が決めるんです。そういうことですから、いろいろ差があるわけですが、いずれにしましても、バイヤのメリットと、サプライヤのメリットと、それから事業をする人のメリットが全然違うところで、合成されて初めて出てくるということになります。ですから、片方に都合がいいといったものは市場になりませんので、その辺に現行世界と、それからサイバーで言わんとすることを、どうしても融合するといった作用になります。
 それから、米国でこの辺のシステムというのは、今既に500〜600できているんです。どうしてこんなものができるかといいますと、例えば1国でもって時差があります。ですから24時間なんて言わなくても、営業時間内でもってものを言っとかないといけないというのはもともとあるものですから、こういうシステムがある分だけ、メリットが具体化だと。それから、あんまり大きな声で言ってはいけないんだと思いますが、人種の偏見みたいなものは依然あるわけです。いろいろな店には入れますが、居心地が悪かったりするそうです。それが、ネットでしたら、得心いくまでカタログを見て買えるわけです。それでお互いメリットがある。それから、やっぱり車社会ですから、人里離れたところのほうが不動産価格が高いんですよね。ですから、化け物しか出ないようなところが一番高くて、滅多にない、駅のほうがやっぱり安いわけです。ですから、そういうところにひっそりと生活する人がリッチなわけで、そうしますと、いろいろな物を買うなんていいましても、この手のものがあったほうが非常に便利だと。日本は、時差もありませんし、同じように共同で暮らしてますから、格別要らないんですよね。だけど、ワールドワイドに手を組むことがあっちこっちから出てきたものですから、おつき合いしないといけないんではないかという側面があると思います。ですから、日本においてこのEビジネスを語るときに、価値観ばかりではどうしてもいかないんです。この辺に日本流のものが今、望まれると思います。
 次に、Eビジネスをご理解いただこうということで、皆様のお仕事から見ますと、建設業というのはどうか知りませんが、ちょっとお話しします。
 ここで挙げているのは、我asaban.comでやっている事業の1つになりまして、建設会社さんの経営については相変わらず課題が多いようですが、日本全国に建設現場というのはたくさんありますし、今後もあるということで、建設現場自身で望んでいることをEビジネスにするという話になります。そこで言う建設現場ですが、日常管理としまして、発注者とかいろいろな人がいて、ジョイントベンチャーで、書類のやりとりというのはさぞかし多いわけです。さらに、担当者は、マニュアルや帳票の作成とか、改定とか、参照とか、自治体への登録とか、ごった混ぜにあるわけです。そういう現象において、現場は必ずオーナーという発注者がいて、コンサルタントがいて、設計事務所がいて、ゼネコンがいて、サブコン・サプライヤがいて、協力会社、規模の差はありますが、こういう構造にみんななります。それぞれの本社管理部がさらに見ているわけです。土木であり、建築であり、それぞれ少しずつ違いますが、建設現場というのは概ねこのようになってます。それぞれの世界にいろいろな図面を持ったり、いろいろな写真を持ったり、いろいろな文書、それぞれ持ちます。
 今、日本中の建設現場で、70%ぐらいはパソコンはもう持っていますし、その中の半数以上はEメールというのはやっているんです。最初の1〜2回のEメールというのは添付ファイルが非常にいいわけですが、そこからが大変になっているわけです。それぞれいろいろなものがありますから、自分のところにメールと添付ファイルが来たときに、これは最新版かどうかとか、自分以外にだれが見ているかとか、むしろ混乱を助長するのが多いわけです。したがって、だれが最新版を持っているか、それから、添付ファイルが読めないとか、設計変更の指示は徹底されているかどうかといったあたりは困っている。これに対して、それぞれ、添付なんかやめなさいと。きっちりとあるところに図面がある、あるところに写真があるという、棚を割るわけです。ですから、発注者はここを見なさい、コンサルタントはここです、ゼネコンはここです、列を決めて、最新版を置くわけです。ですから、コピーをしないわけです、見にいけばいいと。そうしますと、話がぐんとすっきりするわけです。こういうあたりが、ここで言うEビジネスを必要としているわけです。
 現場には、そもそもこういう物理キャビネットがあって、この中には背表紙がついて、項目が書いてあります。これを同じように、本能的に使えるような格納方法をとっているわけです。したがって、これにかわるようなものとして、ほかに中身として、関係者一覧、文書管理、図面管理等々あったりもするわけです。その中で、文書管理のところを見ますと、いろいろ書いてあって、ここには見えませんけれども、履歴というのを見ますと、自分が今見てると同時に、だれのだれべえさんが見た、それについてだれかが承認したなんていうことも書いてあるわけです。それから議事録だと、議事録も出ている、さらに履歴を見ると、承認されたかどうかが出ている、こうなります。
 さらにいろいろな、工程表もパソコンから見られるし、設計事務所がかいたスケッチも、確認まで見れるし、進捗管理のデジタルカメラで撮ったのが、また見られるということになって、コミュニケーションサービスができるということになります。さらに、こういうことから一番大事なのは、CAD図面についても、設計事務所が変更依頼をしてきた、現場で見た、まずい、取り付け位置を変更願いたいなんていったことも、マークして関係者に返します。こういうように不便であったものが、非常に便利になりますね。あとは、関係者の中でもって、決まった質問、回答とか報告とか、こういうものは宛て先も、それからフォーマットも決めておいて、変更分だけをちょっと書けばいいよ、そんなふうにしてあげるわけです。
 あと、こういう中で、全部、今、電子のサービスで、現場の問題点をクリアしていくわけですが、やっぱりきちっとした大きさのCADは、プロッタみたいなものってしっかりと紙に起こさないとだめなんですね。今、米国では、こういう建設現場向けのサービスをやっている傍ら、大型のCAD図面の印刷サービスというのがものすごくはやっています。これをサービスして、何らかの方法で現場に持っていくわけです。これは非常にもうかっているようです。私どもはまだやっていません。
 次に、インターネットを利用した印刷受発注のサービスが幾つかあります。これはインターネット上ですから、私どもasaban.comの中に置いてある機能ですが、図17の左側が印刷を発注する一般企業です。右のほうは受け手の印刷会社、そのリセラーになります。このプロジェクト管理という機能を両方に提供するという仕掛けです。ですから、ある印刷業務を起こした場合に、そのプロジェクトの管理をします。その管理を、このシステムで管理をしてくれますから、印刷会社はそれに基づいて、今ここまで来たという判断ができます。発注企業は、これをのぞくことによって、人手を経ないで、自分が頼んだのが工程図の中でどこまで来てるかがわかるようになるといったことが売り文句の1つです。

 それから、図の中央左下に1つのカタログ機能がありまして、これは発注者側が使うためにつくられています。発注、カタログ商品というタイトルで、発注申請、発注そのもの、それからカタログに対するリピート情報、こういったものがここに入ります。したがって、ここの吹き出しでありますように、インターネット上で完成物の図面確認、印刷進行の確認、仕様の指示、完成物のダウンロードなどが可能になりまして、発注企業の業務効率化がこの分だけよくなるということがメーンになります。それから、印刷会社のほうも、こういう共通機能を使って、受注をした後、受注処理、工程検索、作業指示等々、一連の通常業務が電子化されることになります。これによって、ここにありますように、インターネット上で電子受注、印刷データのダウンロード、印刷管理業務などが可能になり、ミスの軽減とか、印刷コストがこの分だけ下がっていくのではないかという期待がされています。これは、秋からぼつぼつと施行されていまして、今後どんなふうに育つかはわかりませんが、これも米国では1つのニーズをつかんだということで、発展してきているビジネスの1つになります。
 次は、これも私どもがやる1つですが、取扱説明書とか保証書というものが、ものの製品についていますが、こういうたぐいをインターネットで世話したらどうかという話です。最初の思いつきみたいなものをちょっと書いてありまして、あなたのおたくは幾つ家電製品が故障しましたか、マニュアルはどこに保管してありますか、保証書はどこにと。家庭電気製品でも小型の物は、見てはいけないような八つ折りになってて、小さな字でみな書いてあるわけですけれども、あれはなかなかたまらないわけです。そこを解決しようと。おたくの家電製品のマニュアル、保証書、全部インターネットにありますよ、保証書が必要なときに取り出せますよというような感じでどうだろうかと。
 そういう面で、消費者向け製品情報サービスみたいな仕事をしてみるかということがあります。図18の左のほうが消費者です。右のほうが製品を送りだしているメーカーサイドになります。真ん中の機能が、私どものような、ここで言う仲介主宰企業になります。当然、対応メーカーからは、必要なもの、カタログも登録してもらったり、新製品登録、情報登録、データ、必要なものを契約して載せてもらいます。消費者のほうは、この趣旨に賛同した場合には会員になっていただきます。なった分だけ、自分の、マイページというコラムを持ちます。ですから、自分で持っている物を登録するものがマイページの意味ですね。そこでは、もう細かいものではなくて、登録した製品の情報というのは大きな画面に出てくるということになります。さらに壊れたとか、新製品についてといったものがわかりやすくなるということで、量販店とか、町の電気屋さんが対応するようなことも、かなり肩がわりするかもしれませんし、メーカーからしますと、どこへ行ってしまったかわからない物が、最後の工程でもって、お客が出てくるところまで、今後については足取りがわかるというメリットがあるかもしれません。こういったたぐいの話が、やはり一方では進みつつあります。これがどのぐらいもうかって、何が残るかというのは、まだこれからの話ですが、試みとしては近々これも出されます。

 今まで述べてきたのは、全部インターネットと汎用パソコンをベースにした話です。さらにEビジネスといいますか、IT革命を今後見たときに、デジタル衛星を含んだテレビのほうにその主役が移るという人が非常に多いといったこともご紹介しておきます。テレビの普及率は、パソコンの比ではないというのは言うまでもないですね。Eビジネスは、インターネットではなくて、テレビがとってかわって、決済はコンビニになると予測する調査機関が外国にあります。それから、欧州のEビジネスは、インタラクティブデジタルテレビ事業というものを国が進めていまして、この結果、このテレビ事業がインターネットを抜くという予測を持つ調査機関もあります。現在の加入者が、ヨーロッパで700万世帯で、5年しますと8,000万になるというふうに言っています。そうなりますと、メリットは、テレビのチャンメルと同じ操作でパソコンが使える、ここで言うパソコンですね。それからテレビを見ながら、Eビジネスでやってることを受け取ることができそうだと。それから、こういうEビジネスの消費者になるために、パソコンですと立ち上げていくわけですけれども、そういうものが要らない、インターフェイスを覚えないでもいいといった利便性もあるので、こういうものも、インターネットとパソコンによるEビジネス以外の拍車要因として考えられるという話があります。
 それからもう一方は、どうせこのインターネットとパソコンがある以上は、インターネット電話を活用しようという話がかなり本物になってきています。今インターネット電話というのは、これはこれで1つ、お金をとってるわけですが、世界市場で6億ドル、ですから600億ぐらいのまだ小さな市場です。今の電話市場というのは、65兆円ぐらいあるわけです。だんだんこれがシフトしていくだろうと。見方としまして、パソコンの技術競争というのはかなり一段落してきまして、IT競争は今後新次元に向かってくると。そう見たときに、例えば、ある事業者がオンライン販売をやるようなホームページをつくる。質問とか申し込みというのは、Eメールでやるのではなくて、同じ、使ったり、インターネットを利用して、電話にしようと。ですから、画面に相手先が特定されますと、電話ボタンというところがあって、そこでぴょっと押すとつながるわけです。それと話をすれば、パソコン同士のやり方に加えて、肉声の電話で情緒性ある、非定型のことができるじゃないかと言われています。さらに、これは無料になっていく傾向になっていますから、相当ビジネスは加速するという期待があります。証券会社の例ですが、5,000台のインターネット電話を専門の業者から買っています。
 余談ですが、パソコンとインターネットがあった場合に、インターネット電話というのは、今のパソコンにスピーカーというのが組み込まれているものはあります。そうすると、レシーバーはオプションを買えば聞けるわけです。それをもって、インターネット電話もできますし、普通の卓上電話みたいな形式で、交換機につないでしまうようなものもインターネット電話と言うわけです。ですから、専門にやるほうはこっちのインターネット電話というデバイスを買うわけですけれども、いずれにしましても、パソコンのためにつないだインターネットを通じて、会話でもいくかと。こっちのほうが何か臨場感が大きいんですね。この辺がどういう作用になるか、今後の話だと思います。
 ちょっと時間をオーバーして恐縮でしたが、EビジネスとかIT革命、情報革命という幅広い言葉をわかりやすくというつもりでやったわけですが、どのくらいおわかりいただけたかといったあたりは、あまり自信がありませんが、わかっていただこうとしてお話ししたつもりです。
 それから、印刷メディアと電子メディアのかかわりというのは、私どもよりも皆様のほうの話だと思いますけれども、先ほど言いましたように、例外なく融合していくといったことは事実なので、それぞれが影響しあうことも事実だし、補完しあうことも事実だと思うんです。その中に何が見えてくるかというのは、個人の戦略でしかないと思います。一番ややこしいのは、こういう時代なものですから、業種・業界を挙げて抜本問題を直さないといかんなという動きと、企業戦略を一緒にしてしまいますと、難しい話だということになりますけれども、実はそんなに難しくはないんじゃないかと思っています。この辺は、いろいろディスカッションすることが必要なのではないかと思いますが、よって1時間半きょうやらせていただきましたけれども、小さな結論は用意してはいけないということで、かなり言いっぱなしの感がありますけれども、思い思いのご理解しかないというふうに思います。いずれにしても、ここに出した話は進んでいることなものですから、これが進んだときに、次にどんなことが見えてるかは、見え方次第だと思うので、皆様なりにごらんいただければと思います。
 以上をもって終わらせていただきます。

(了)

 

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