日本フォーム工連・技術委員会セミナー記録


パネルディスカッション
「技術トレンドとフォーム印刷業界の進む道」
〜drupa 2004を視察された各位によるパネルディスカッション〜
 前編

パネラー 土井 重寛氏「潟Cセトー 技術部 部長」
     木村 益也氏「小林記録紙叶カ産本部BF製造部 部長」
     大坪 尚義氏「トッパン・フォームズ且謦役」
     藤原 保雄氏「富士フィルムグラフィックシステムズ葛Z術部 部長」
     宮崎 靖好氏「ミューラー・マルティニジャパン鞄結梔c業部 部長」
司  会 山口  実氏(技術委員会副委員長)「トッパン・フォームズ葛Z術企画部長」

(順不同)

平成16年7月16日(金)トッパン・フォームズ本社ビル




司会(渡辺)それでは、定刻になりましたので、後半を始めさせていただきます。

 「技術トレンドとフォーム印刷業界の進む道」と題しまして、5名の方にパネルディスカッションをしていただきます。

 向かって右側から順次ご紹介いたします。

 一番右、トッパン・フォームズ株式会社、取締役、大坪尚義様。(拍手)

 その右側、ミューラー・マルティニジャパン株式会社、東京営業部部長、宮崎靖好様。(拍手)

 そのお隣、小林記録紙株式会社、生産本部BF製造部部長、木村益也様。(拍手)

 そのお隣、富士フィルムグラフィックシステムズ株式会社、技術部部長、藤原保雄様。(拍手)

 株式会社イセトー、技術部部長、土井重寛様。(拍手)

 一番左側、本日の司会をしていただきます技術委員会副委員長、山口でございます。(拍手)

 それでは、よろしくお願いいたします。

司会(山口)ご紹介にあずかりました技術委員会の山口です。

 今日は、お忙しいなか、皆さんお集まりいただきまして大変ありがとうございます。今回は、各企業の皆さんのご協力によって、drupa2004の視察に参加された、さまざまなお立場の方に集まっていただいて、フォーム業界の今後の進むべき方針、また技術の新しいトレンド、について話していただきたく思います。

 会場からもご質問を受けたいと思いますので活発なディスカッションとなる様、ご協力をお願い致します。

 配布致しました資料の最後にアンケート記入欄がありますので、質問時間が足りないところは記入していただいてお残し願えれば後日ご回答を差し上げたいと思います。

 では、さっそく、まず株式会社イセトーの土井さんのほうからお話し願いたいと思います。

 パネルディスカッションをより効果的にするためにも敬称を略させていただきますので、よろしくお願いいたします。

土井 イセトーの土井でございます。さっそくお話を始めさせていただきます。

 与えられているテーマが、「技術トレンドとフォーム印刷業界の進む道」という非常に厳しいテーマでありまして、これにパッパッと答えられるようであれば苦労はないというのが正直な印象です。

 今日は、それぞれ専門の方がいらっしゃいますので、私のほうからは、先ほど大坪様からご紹介のありました内容を少し補足するような部分が出てくるかもしれませんが、お話を進めさせていただきます。

「需要構造の変化」

 これはもう皆さん、先刻ご承知のところです。我々のビジネスフォームの業界がどういうふうに変化していっているのか、変化のない瞬間はないわけで、継続して変化が進んでいるのだろうと思います。

 直近の動きでいきますと、私なりに感じておりますのは、伝統的な伝票と呼ばれるような商品がどんどん減少している。入力方法の変化も激しい。それから必要とされる新しい媒体、この加工技術も非常に多岐にわたってきて、なかでも、パーソナルデータを運ぶという、データキャリアに類するようなメールの技術というものが相当激しく変化をしているのではないかと認識をしております。

 そういった変化のなかで、生産技術がどういうふうに変わってきているのか、あるいは変わろうとしているのか、ということがまず頭のなかに出てくるわけです。そういった切り口からdrupaという展示会の内容を見てみたいと思います。

 BF印刷機の変質ですが、先ほどのお話にもありましたように、前回の2000年のdrupa の時からそういう傾向だったと思いますが、いわゆるBF用の印刷機と称するようなものはほとんどない。今回のdrupaでも、専用機と呼ばれるようなものはほとんどない。数社しかない。しかもその数社も、BFのための機械ではない。BF“も”できる、ということです。“オフ輪の小型版”というような構造に変わってきているということです。

 それから、バリアブルデータを扱うという意味でのノンインパクトプリンター、この内容がどんどん変化している。これも皆さんよくご存じのことだろうと思います。

 方式としては、電子写真を使う方法、インクジェットを使う方法、それぞれのフルカラーとモノカラー、そしてちょっと特殊なノンインパクトプリンターとしては、マグネットグラフィーですとかイオンデポジットというような技術が昔からありますが、今回のdrupaでもそういうものが出ていてなかなか消えません。

 それぞれの特徴を生かした使い道がちゃんと出てきている。そういった意味での、道具としてのノンインパクトプリンターの使い分け、こういう点もポイントかなと思います。

 それから 印字後の加工の多様化です。もちろん我々の目からみれば、ビジネスフォームという範疇に入ってしまいますが、従来のビジネスフォームという範疇からみると、相当複雑な加工技術がたくさん出ていると思います。

 さらにカラーです。我々、当然、昔からビジネスフォームのオフセット印刷を中心に生産活動をしているわけですが、そこにデジタルカラーが入ってくる。印刷の内容がフルカラーに近づけば近づくほど、商業印刷の世界との境界がだんだんぼけてくる。そういった部分での、ビジネスフォームに適したフルカラー処理する技術というのはどういうものなんだろうかという点に大変興味があったと思います。

 先ほどの話とちょっと重なってしまいますが、まず一つは、ビジネスフォーム“も”できる”という意味合いで今回のdrupaに出ていた設備ですが、まずミューラー・マルティニです。インキトレーンを大型化し、インキカバーリングの大きなフルカラーの印刷も対応していこうとする方向性が見えます。これは後ほどメーカーの方からお話があると思います。

 それからドレント・ゲーベル。これは我々の業界にとっては大変馴染みの深い名前ですが、ビジネスフォーム用という出展ではなくて、小型のオフ輪。けれども、そこで使われている技術というのは、我々が従来からビジネスフォームで慣れ親しんできたようなもの、サイズの交換方法とか、UVの使い方とか、あるいは二次的な表面加工とか、そういうものを上手に商印用のオフセット機としても使えますよという提案をしています。なかなか良くできているという印象です。

 唯一、エーデルマン・グラフィクスというところが、コンベンショナルなビジネスフォーム的な機械ということで、4機種ほど展示をしておりました。機械の構造としては格別な注目点はないのですが、ただ、この手の機械においても、UVの表面ニス加工など二次的な加工を組み合わせている。

 こういう点からいきますと、我々が慣れ親しんできたコンベンショナルなBFの印刷機は、なくなることはないと思うのですが、メーカーサイドとしては、あまり注目しなくなってきているのかなと思います。

 でも、そういうニーズは、我々生産側にはまだまだありますよということで、この辺にちょっとギャップがあるかという感じを持ちました。

 それからプリンターです。フルカラー、モノカラーと分けますと、フルカラーのプリンターとしては、方式はおおむね二つです。エレクトログラフィを使うか、インクジェットを使うかということだろうと思います。代表的なメーカーすべて出ていました。先ほどもお話がありましたHP、IBM、ザイコン、ほとんどのメーカーがそれぞれの特徴を持った機械を展示していました。

 なかで比較的皆さまの注目を集めていたのが、Hp indigoのシートタイプです。今年の秋口から出るものです。先ほどもお話がありました。

 装置もだいぶ改良されてきていますが、特にQuarkXPessというソフトウエアが動くようになっていまして、バリアブルのレイアウトが非常に簡単にできるという特徴が出てきています。我々のような業界に、より使いやすいスタイルになっているという印象があります。

 同じく電子写真を使うものとして、コダックのNexpressというのがあるのですが、今回、第5ユニットを増設しておりまして、ただ単にフルカラーのショートランができるというだけではなくて、ニス引き、あるいはグロス、透かし、そういうものを容易に組み合わせることができます。高付加価値ということだと思います。

 新しいトナーが開発してきたということで、そのトナーを使いますと、色の再現域が従来のNexpressよりも5割ほど上がるというようなことも盛んにアピールしておりました。

  それからインクジェットとしては、Kodak Versamarkということがあります。これも皆さんよくご存じだと思います。

 今回の新しいモデルについては、コントローラーが、CS600というのがつながっておりまして、インクジェットの場合はデータソースが限定されるという欠点があるのですが、今回のCS600になりますと、PPML、VTS、PTF、PS、ほとんどのデータが問題なく入力として扱えるようなお話しです。このへんは大変おもしろいことになろうかという印象があります。

 電子写真としては、コニカミノルタさんのシートプリンター。あまり大ロット、ロングランという用途ではないと思うのですが、小ロットでササッと可変データを打ち出すというような用途に関していうと、意外とおもしろいのかなという印象があります。

 それから先ほどありましたザイコン。白色のトナーとか蛍光トナー、そういうものが使

えるようになって、なおかつロングランができる、というような特徴が出てきています。

  それからミヤコシさんは、600dpi40mということですが、しばらくたてば、1200dpi 60mくらい目指しますよ、というようなこともおっしゃっています。

 それからモノカラーですが、これもいろいろな機種があります。ハイデルベルグ、オーセ、ニプソン、デルファックス、それぞれたくさんありますが、ハイデルベルグ・ディジマスタ、非常に頑丈です。モノクロのバリアブルデータをシートで処理するというような用途に対しては、結構使えるのかなという印象があります。

 それからニプソンです。マグネットグラフィですが、エマーシャル用にこういったプリンターを特化して使うというような提案をしておりまして、こういう使い方もあるんだなという印象を持っております。

 それから後加工ということですが、先ほどもご紹介ありましたフンケラー、バース、こういったところが後処理加工のメーカーとしては昔からあるのですが、当然、プリンターと接続してブッキングをしたりメールを作るというようなことを提案しています。

これは組み合わせ技術ですね。これをどういうふうに組み合わせるかということだろうと思います。

 それから、ビィエロマティック(bielomatik)というのは、我々の馴染みの古いメーカーですが、BF用のコレーターなんて全然提案しておりませんで、カタログ程度は置いてあるということです。一生懸命デモンストレーションをしていたのは、RFIDの加工設備のほうです。

  いろいろなモデルがありますが、日本にも相当台数入っているということですので、こういう機械もこれから目の前に出てくるのかなという印象があります。

 それからあまりメジャーではないのですが、ドイツのヤコブというメーカーが出展しておりまして、これも、フンケラーやバースと同じように、モノクロのプリンターで印字したロール紙を、コレーターという感覚に近いといえば近いのですが、出来上がってくる商品のイメージとしてはブック、チラシ、それから天地サイズとか、左右サイズを任意に設定する約款のような製品、こういうものを上手に作るというようなことで、結構人だかりがしていたという印象があります。

 あと、ミューラー・マルティニさんのインラインシステム。先ほどもお話がありましたが、モノクロのプリンターと接続してブッキングしてしまう。ビジネスフォームの場合、ブッキングまでやるというのはあまりなくて、せいぜいやってチラシくらいだと思いますが、ミューラー・マルティニ社の場合は、完全にフォームを作ろう、と。アメリカなどでよくやっている、ブックオンデマンドに近いのかなと思います。そこにパーソナリティを組み合わせるというようなやり方だろうと思います。

 詰まるところ、「技術変化と課題」ということになるのですが、現在、我々がBFの世界から見た場合に直面している問題の一つは、印刷の前工程という問題があります。これ

は先ほど出ていましたしCIP4JDFですね。これとどういうふうに我々の仕事をリンクさせるのかということだろうと思います。

 なかなかBFという世界は、従来から一般の書類印刷とは違う道筋を歩んでおりますので、どういうような接続をこれからするのか、よく考えないといけないなという印象があります。

 それからデジタルデータの処理ですが、これも、フルカラーの場合、一般の書類印刷と同じような色管理といったところに目を向けざるをえないだろうと思います。

 校正の問題、それから道具がいろいろあるわけです。電子写真もあれば、インクジェットもある。電子写真のなかにも、ドライトナーがあれば液体トナーもあるということになってきますと、再現される品質をどうやって管理するのか、もっと言えば、前データをどうやってそろえていくのか、ということをよく考えないと、作ったはいいが品質はバラバラということになりかねないのではないかと考えております。

 当然、オフセット印刷がなくなるとは思えませんので、そういった部分での合理化、これは後ほど富士フィルムさんからお話があると思いますが、スクリーニングの問題とか、CTPをどうするのか。一般商業印刷向けのCTPはそれなりに良くできていると思うのですが、これをビジネスフォームに転用しようとすると、たくさん問題があります。なかなか版材メーカーの方はそこらへん目を向けていただけないのかなという印象があるのですが、このあたりをどう理解していくのかということですね。

 それから印刷品質の問題があります。これはひとえにCMS(カラーマネージメントシステム)の問題になるのではないかと思います。どうやってカラーマネジメントを確立するのか。道具はいろいろ変化してくる、性能もいろいろいいものが入ってくる、ということになりますが、このへんのマネジメントをきちんとやらないと、一般の商業印刷とは勝負できないかなという印象があります。

 それから印刷の後加工です。これはオフセット印刷という意味ではなくて、デジタルプリントをしたものの後加工も当然含まれます。

 幸いなことに、ビジネスフォームの場合は、紫外線にピュア型の材料をいろいろ使い分ける、あるいは粘着剤をいろいろ使い分けるということを得意としてきていると思います。 これをさらに発展させ、結果としてどういうような製品をつくっていくのかということがポイントになるのかなと思います。

 あとは周辺技術です。製版と印刷と仕上げがあればいいのかという事になると、そうではなくて、出力用の方式がいろいろ多岐にわたりますと、そこで使われるメディアをどうするのかという問題があります。一般商業印刷の場合でしたら、印刷適正のある用紙でいいのですが、ビジネスフォームの場合は、メディアに機能性を求めるということになってきますので、これを上手に用意していかないと、プリントはできるけれどもモノにならないという危険性があると感じております。

 逆にいいますと、製紙メーカーの方から見ると、非常に小さいロットの要求をどう効率良く作っていただくかということにつながるわけです。

 難しいところもあるのですが、我々ビジネスフォームの世界からすると、このメディアという問題も避けて通れないのではないかという印象を持っております。

 あと、補足ですが、先ほどインクジェットのドットマトリックスのお話がありましたが、フルカラーのデジタルプリントという点からいくと、電子写真でいくのか、インクジェットでいくのか、迷うところです。

 インクジェットの場合、なかなか解像力が上がらないというのが欠点ですが、お話がありましたように、例えばアグファのドットマトリックスですと、ハード的には300dpiの突出しかできないのですが、インキをコントロールすることで600dpiが再現できる、しかもヘッドは日本製というような情報ですね。

  同じように、ビザールというところも、やはりオンデマンド型のヘッドですが、これも1600dpiまでやりましょうというようなことを言いだしています。こちらもインキの量をコントロールしまして、3ピコから12ピコくらいまでコントロールする。5段階のグレースケールをつくって、特にグレーバランスが非常にきれいに出せる、というようなことをデモしています。

 こういったような技術をうまく組み合わせながら、ビジネスフォームなりの生産体系をつくっていかないといけないのかなという印象を持っております。

 雑駁ですが、ざっとこんなところです。

司会 ありがとうございました。

 今、技術部門の土井様から技術的な視点でのお話がありましたが、次に、製造現場の第一線を担当されております小林記録紙の木村さんのほうからお話をいただければと思います。

木村 小林記録紙の木村でございます。私は、今回初めてdrupaの視察をしました。多少的外れなことをお話しするかもしれませんが、その点ちょっとお許しいただきまして、私が見てきたものから、興味を持った点について、ポイントを絞った形で簡単にご紹介、報告したいと思います。

 本日お話ししたいポイントは、JDF、MIS、PRESS、POD(プリント・オン・デマンド)、その他の技術、という4つであります。

 前回の2000年のdrupaのテーマは、「デジタルdrupa」ということでした。今回は、JDFdrupaということで、各社とも、さまざまなデジタル・ソリューションの展示がありました。それ以上に、それらをJDFという共通フォーマットで結び、全体最適、自動化、標準化、無駄のないコミュニケーションをいかに作り上げていくかということを全体で訴えていたのではないかと思います。

 印刷業界のこれからのシステムの方向性は、JDFによるワークフローの清流化であるということを非常に強く結論づけていたと思います。その代表的なものとして、大日本スクリーンとか、アグファ、ハイデルベルグ、クレオ等から支給はされていたわけですが、印刷機だけではなく、断裁機、折り機、製本機等の紙加工機までも、JDF対応を強調しておりました。

 それから新しい出展の形態としては、NGPパビリオンですとか、PrintCityといった、異なったベンダーが数十社集まってデータの入稿から最初の印刷物の仕上げまでを、JDFによるオートメーション化されたフローをデモンストレーションして、JDF対応していれば、どんな機器類も、簡単にネットワークに取り込むことができるということを展示会の中で強調していたように思います。

 それから各工程の機器類のJDF対応とか自動化ということだけではなく、工程管理とか実績収集、経営情報管理まで、JDFの流れを統合しようとするMISシステムというものも、各社もとりそろえておりますが、注目されておりました。

 このJDFのまとめですが、私が思った感想ですが、日本国内におけるJDFの動きは、商業印刷、出版印刷、パッケージ印刷、そういったところで急速に入ってくると思われます。ただし、フォーム業界においては、CTPの導入状況からみましても、印刷機、仕上機工程とも、JDF対応がかなりゆっくりしたものにしかならないのではないか、という思いがしております。

 JDFは、印刷生産工程の清流化、コストダウンを目指す上で必要なものであるのは間違いないと思っております。しかしながら、すべての工程の自動化というのは非常に難しいことでありまして、まずは、自社の5年先、10年先、どんな生産システムを目指すべきか、そういった姿を明確にイメージして、どこの部分からJDFを取り入れるかという意思決定がそれぞれの会社で必要ではないかな、ということを感じました。

 今現在、私はMISをもう少しいろいろ調べてみたいと思っております。日本国内でどれだけのMISに対応したベンダーさんがいるのか、どんなものが今、準備が進んでいるのか、そのようなことに非常に興味を持っております。

 それから続きまして、プレスについて興味深かったものですが、まず、ドレント・ゲーベル(Drent Goebel)のVSOPであります。前回、drupaでは、シャフトレスのビジョンという機械があったと聞いております。高性能なサブモーターによる時間の短縮をPRしていったということですが、今回は、版、ブラン胴をスリーブ方式にして、さらなる時間短縮ですとか、コストダウンをPRしておりました。

 実際のデモンストレーションでは、軟包材へのカラー印刷とかパッケージ印刷というものを行って、従来ですとフレキソとかグラビアの分野であった仕事を非常に強く意識して、ドレントのVSOPを使えばスリーブ交換ということで、非常に簡単にサイズ切り換えが行えます。そういうことを強調しておりました。

 続きまして興味深かった印刷機としては、今回パネラーに参加されておりますミューラー・マルティニ社のアルプリンターであります。この機械も、シャフトレスの技術に加えて、スリーブ方式というものをオプションで用意されていたということです。

 現地でお隣の宮崎部長さんにいろいろお話を聞いたのですが、交換胴方式であり、さらにスリーブ方式であるという、ちょっとメカニズム的なこととか、そのメリットがよくわかりませんでした。今日、もしお時間があればお話を聞けたらなと思います。

 それから、写真にありますのは、スリーブ以外にも、オフセットユニットに後付けできるフレキソのカセットというものがありまして、非常におもしろい技術かなと思います。ヨーロッパでは、どうもニス引きというものが非常に重要な要素であるような印象を受けました。後程お話ししますデジタル印刷においても、いろいろニス引きというものが印刷の品質のポイントになっているかなと思います。

 それから印刷機において、非常に私はびっくりしたといいますか、新技術と感じたものが、この三菱重工のスリーブ方式のオフ輪ということと、そこに使われておりましたリユーザブル・プレート・システムというものがありました。参考出品ということでしたが、BBタイプの印刷ユニットが1ユニット出展されまして、A判、B判の異なるサイズを版胴、ブラン胴、上下、合計4本を交換するだけで非常に容易にサイズチェンジができる。実際デモンストレーションも2分の中でそういったサイズ変えを行っていたというものであります。

 また、版をスリーブにつけたまま約20回位繰り返し再利用できるというシステムであります。三菱重工のポイントは、まず印刷機上でのダイレクトイメージングを選択しなかった。オフラインでのCTP製版装置を使って、このスリーブ方式との組み合わせをすることで画期的な事務時間の短縮、コストダウンを図っているのではないかと感じました。

 プレスのまとめですが、まず、スリーブ技術の確立が一つではないかというふうに感じました。従来の3胴交換方式に比べますと、用紙を切ることもなく、容易にサイズチェンジができて、確実に事務時間の短縮が図れるというものです。

 ただし、スリーブの強度不足とか、ベアラータッチという方式をとれないという点とか、版のスキューが起きたときに、そのスキューに対応することが少し難しいのではないかと、そういった品質についての懸念材料があるのではないかと思っております。

 今後、スリーブの強度改善とか、ダイレクトイメージング(DI)をすることで、先ほどの版のスキューとか、そういった問題がなくなると思いますので、そういったダイレクトイメージングの確立が期待されるのではないかと思います。

 続きましてPOD(プリント・オン・デマンド)ですが、機上製版のDI機は、ここにあげましたようなお馴染みの機種が出展されておりました。FMスクリーン対応ですとか、自動での色彩測定装置といいますか、フィードバック制御の機能を持っていまして、非常に品質の安定性なり向上を強調しておりました。

 また、機上でのDI時間の短縮をPRしていた機種もありましたが、全般的にいいますと、技術的には画期的なものはなかったなという印象を持っております。

 それから、デジタル印刷機のほうも、各社、新機種が出展され、各社独自の特徴を生かしたデモンストレーションが展開されておりました。今までいろいろ報告がありましたが、最高のデジタル印刷機にいろいろなものをインラインでつなげて、パッケージとか、ラベル、製本等の加工ラインをインライン化したデモンストレーションが非常に印象的でありました。

 それから、4色だけでなく、1色とか2色を追加して、セキュリティ印刷とかグロス加工、それからウオーターマーク(透かし)、こういったプラスアルファの機能を盛り込んで、それを強調しているメーカーもあり、また長時間運転での品質の安定性とか、カラーの再現性の技術革新は、各社非常に進んでいるという印象を受けました。

 ただし、デジタル印刷機ですので、メンテナンス費も含めてトータルコストの点はどこまでコストダウンできているのかなということで、現地でいろいろお聞きしたのですが、その点については、展示会という面もあったかもしれませんが、なかなかわかりやすい回答はいただけなくて、ちょっとコストの面では判りづらい印象を受けました。

 それからその他の技術ですが、いろいろおもしろいものがありましたけれども、フォームに関連した技術ということですと、これも今までも出ておりますが、フンケラー社のVARiweBという機械です。ラベルだけではなく、RFタグの貼り付けとか、フォームにいろいろ新機能なりを付加していく技術としては非常に注目していきたい機械かなと感じております。

 これもすでに皆さまの注目したい技術ということで出ていたのですが、デジタル印刷機の新技術に分類されると思いますが、Dotrix社からUVタイプのインクジェットということで、6色のヘッドを持っております。UVのインキということでメディアを選ばないということから、今後の応用が非常に期待できるかなと感じました。

 以上、まとまりがない、偏った報告になりましたが、drupaに関しまして、印象的だったことについて報告させていただきました。どうもありがとうございました。(拍手)

司会 どうもありがとうございました。

 今回のディスカッションに際しては、それぞれのパネラーの方々と内容に付きましては一切打ち合わせを致しておりませんので、それぞれがそれぞれの印象で語っていただきました。

 そのため 同じ項目についての繰り返しにもなっておりますが、そこは皆さんが注目されている事項、またバラバラで意見が分かれているところは各様 捕らえ方が違うのかなという印象を踏まえながら、お聞き願えればと思います。              (次号へつづく)






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