日本フォーム工連・技術委員会セミナー記録


パネルディスカッション
「技術トレンドとフォーム印刷業界の進む道」
〜drupa 2004を視察された各位によるパネルディスカッション〜
 後編

パネラー 土井 重寛氏「潟Cセトー 技術部 部長」
     木村 益也氏「小林記録紙叶カ産本部BF製造部 部長」
     大坪 尚義氏「トッパン・フォームズ且謦役」
     藤原 保雄氏「富士フィルムグラフィックシステムズ葛Z術部 部長」
     宮崎 靖好氏「ミューラー・マルティニジャパン鞄結梔c業部 部長」
司  会 山口  実氏(技術委員会副委員長)「トッパン・フォームズ葛Z術企画部長」

(順不同)

平成16年7月16日(金)トッパン・フォームズ本社ビル




 続きまして、富士フィルムグラフィックシステムズの藤原さんからお願いいたします。

藤原 富士フィルムグラフィックシステムズの藤原でございます。よろしくお願いいたします。

 私ども、drupa2004のトレンドを背景に、実際の展示会で発表させていただいた技術の内容とか商品の内容についてお話しさせていただきたいと思います。

 トレンドとして、「JDFワークフロー」「RGBデータフロー」「新世代スクリーニング技術」の三つをあげました。

 富士フィルムと申しますと刷版材料ということで、先ほどイセトーさんからも期待の言葉をいただきましたが、従来技術とこれら三つのトレンドを踏まえましてお話しさせていただきたいと思います。

 JDFについては、このセミナーの冒頭、大坪様から詳しくご説明がありましたので、簡単にいきたいと思います。

 JDFワークフローということで、今年の2004年のdrupaが「JDFdrupa 」というような言われ方をしておりますが、プリプレス、プレス、ポストプレスというプロセスを統合管理するというようなところで期待が大きいのかなと思います。

 振り返りますれば、drupa2000が「デジタルdrupa」で、どちらかというと、プリプレス製版工程を中心にデジタル化が進展。CTPとかワークフローシステム、あるいはカラーマネジメント・システムというような商品展開はありましたが、どうも印刷から加工まで含めた、プロセス全体の生産性の向上、あるいは品質向上というような観点でいいますと、やはり局所的なところにとどまっていたようで、印刷業界のニーズともいうべき経営の効率化、新規ビジネスの拡大、印刷物の高付加価値化というような観点で、JDFワークフロー、さらにはMISへの展開可能性ということで打ち出されてきたのかなと見ております。

 あとは、重複になりますので簡単にいきますが、業界標準フォーマットというようなことで、ベンダー、メーカー間のコラボレーションがかなり進んだ形で共同展示なされていた。JDFパークというのは、CIP4 Organization 主催の、200社以上の運営母体でありますが、そのうち21社がコラボレーションというかたちで今回展開されておりました。

 クレオさんが呼びかけておりますNGPのパビリオンでは、JDFを具体的に使いまして、「NGP daily」という雑誌のようなものを毎日会場で発行していて、JDFの成果を具体的なもので示しているというような感じを受けました。

  それからアグファさん、マン・ローランドさんはじめとする PrintCity

 もう一つ大きいのは、アドビ(Adobe)社さんが、こういったInDesignでJDFをはき出す、それからアクロバットでそれを受け取るというような、JDFをきちんとサポートするという打ち出しも、JDFが非常に期待の高まる背景の一つかなと思います。

 次のトレンドは、RGBデータフロー。これは、デジカメの普及が非常に著しい状況にありまして、やはりRGBフローのポテンシャルの高さが、かなり期待が持たれるデータ形式ということで改めて見直されているのではないかとみております。

 富士フィルムといたしましては、画像処理技術の総称的な呼び方ですが、「イメージインテリジェンス」というような言い方で、「画像の最適化技術」ということをうたっております。従来ですと、リバーサルフィルムといったようなものをデジタルカラーポジというようなことで、多様なメディアへの展開、あるいは保存、活用といったような場面で、活用しやすいデジタルマスターというような形で扱っていくというようなこと。

 さらに「統一された色基準」を策定することによって、カラーマネジメント、各工程での色確認、最後に印刷の工程にふさわしいようにCMYK変換を行う、というような形で考えております。

 デジカメのようなRGBデータで入ってきたものが、RGBというデータ形式のままで最適化を行う。ここでは、先ほども申しましたように、富士フィルムがいっておりますイメージ・インテリジェンスというような技術で最適な画質に仕上げる。そのものを維持しつつCMYKに印刷工程に向けて変換する。

 それからCMSですが、せっかくRGBの段階で画質の最適化を図ったというものを、いかに印刷工程で維持・再現を図るかというような観点でいいますと、やはり印刷の色基準というようなものを策定する必要がある。

 私ども富士フィルムとしては3,000件ほどの測色したデータに基づいて、世の中の平均的な印刷の色というようなものをデータとして内部に持っております。その資料によってお客さまの印刷で刷られたものとの比較で、ギャップがどんなふうにあるかを報告させていただいて、基準作りを一緒になって考えてつくり上げる。その基準に対応してモニターのプロファイルというような形で色を合わせる。あるいはインクジェットプリンターというようなプルーフ、DDCPのプルーフを定めた基準に合わせるような考え方をとって、より安定的な印刷の仕上がりを目指すよう考えています。

 私ども、「i-ColorQC」(アイカラーQC)といっておりまして、印刷診断とか、そういうような形で皆さまと一緒にお仕事させていただいております。

 最後に、CMYKに変換するわけですが、ここではガマット・マッピング技術といっておりますが、RGBの持っているデータの広がりをいかにCMYKのデータのなかにマッピングするかというようなことを考えて展開を図るわけです。

 次のトレンドは、スクリーニング技術です。新世代スクリーニング技術というようなことで、こちらも、印刷物の高付加価値化ということで貢献できるものとみておりますが、従来、FMスクリーンといいますと、ザラツキ感があり、改善してほしいところであったと思います。

 それからもう一つ、刷りの現場において安定的に刷れるということも期待されている内容だと思います。

 そういうところを改善するということで、富士フィルムといたしましては、TAFFETAというようなFMスクリーン。従来のAMスクリーンのCo-Re スクリーニングというものと合わせて、お客さまの多様なニーズに対応しうるようなスクリーンの品ぞろえを行っている。

 今回のdrupaでは、前々から出ておりますクレオさんのスタッカート、アグファさんのスブリマ(sublima)、大日本スクリーンさんは、ランドットFMと、フェアドット、ハイブリッド網、ハイデルさんのサテンスクリーニングといったような、いわば新世代スクリーニングといったようなものが出始めたのかなと。一つのトレンドといたしましては、ハイブリッド網というようなものがございまして、AMのよさ、FMのよさ、両方うまく組み合わせたような形での提案もまたあります。

 以上、皆さんのフォーム印刷業界には必ずしもフィットしない話だったかもしれませんが、参考になればということでお話しさせていただきました。ありがとうございました。(拍手)

司会 質疑のなかでもう少しより詳しくご説明をしていただける部分があると思いますが、よろしくお願いいたします。

 それでは、最後になりますが、ミューラー・マルティニジャパン宮崎様のほうから、印刷設備のお話をしていただければと思います。

宮崎 きょうは、こんな場にお呼びいただきまして本当にありがとうございます。

 メーカー側を代表してという話ですが、私どもは、ヨーロッパ、アメリカでは、わりと印刷機メーカーとしては知られているようなのですが、日本ではあまり存在感がないということで非常に恐縮ですが、drupa でハード、特に印刷機を中心とした印刷機の周辺の技術動向がどういう方向に向かっているのかということを、私どもミューラー・マルティニから見た印象でお話ししたいと思います。

 今回のdrupaは、先ほどらいご紹介がありますように、別名「JDFdrupa 」という名称で呼ばれています。JDFというのは、私どもハードメーカーにとりましては、正直いいまして、目に見えないものですので、あまりピンとこないところがあるのですが、一応私どもは、今回のdrupaで、会社といたしましては24製品の新製品を発表いたしました。そのすべてがプレス、ないしはポストプレスの加工機です。この24製品がすべて基本的にはJDF対応という形で発表させていただきました。

 今回の報告会では、特にフォーム印刷業界の皆さんのご興味がある分野に特定し、特に印刷機械、ヨーロッパ、アメリカ での印刷業界、さらに フォーム印刷をやっておられるユーザーから私どもに対してどういう要請が出ており、またミューラー・マルティニとしてどういう方向の機械を作っていくかということについて絞ってお話ししたいと思います。

 今回の drupa2004で私どもが考えている印刷としてのキーワードは、3点あったかと思います。

 一つは「High Volum」。日本語で「大量生産」ということです。これも、通常の大量生産機ということではなく、従来の常識を破るような短時間で大量生産が可能な機械が出現したdrupa であると思います。

 二番目のキーワードとしては、「Adjacent Market」。これは「周辺市場」ということです。従来のビジネスフォーム、あるいは小切手、証券というものを印刷されているお客さまが、それに特化されたお客さまから、だんだん周辺の技術を取り込んで、周辺の、つまり異業種への参入を図られております。ミューラー・マルティニとしても、そういったユーザーさんのご希望、あるいはマーケットトレンドにお応えする意味で、多少なりともお助けをしたいということで技術的な発表を行いました。この「周辺市場の進出」が2つ目のキーワードであると思います。

  最後に、先ほどらいお話がございましたが、「On Demand」、いわゆる極小ロット、在庫を持たない生産という要請が非常に強くあります。それは、先ほどのHigh Volumeとは全く違った観点からのご要請ですが、それについても一応ご提案をいたしました。

  まず第一点目のHigh Volumeです。大量生産といいますと、従来は、スピードをあげようというのが一つの流れでしたが、今回のdrupa では、スピードについてはある程度限界にきているところもあるという認識からか、私どもに限らず、各社、広幅の機械を出してきております。

  例えば、ケーニッヒウント・バウエルアルバート(KBA)というドイツのメーカーさんが、4m幅のグラビア輪転機を発表されました。4m幅というのはちょっとイメージがわかないと思いますが、日本で一番多いオフ輪、いわゆるチラシ用のオフ輪、B縦半裁の紙幅が880mmです。4mということは、それの約5倍近く。通常の書籍ですと、16ページ幅になります。これで何をやっておられるかというと、主に書籍、あるいは雑誌、カタログの印刷物をやられております。従来は、日本にありますグラビア輪転機で一番紙幅の広いのは2.4 mです。それからオフセット輪転機ですが、今回はハイデルベルグさんが2.4m幅のオフセット輪転機を、実演はされませんでしたが、単体で展示しておりました。

 これは、日本にあるオフセット輪転機のなかでは、こんなに広い幅のものはありません。こういう展示があったということです。

 それから、手前味噌で恐縮ですが、私どもも、アルプリンタという小型のオフ輪を発表いたしました。これが印刷幅740mmで、4色プロセスで、1500フィート(450m)/分という運転速度ということで、大量生産にも向いているという位置づけで発表させていただきました。

 アルプリンタのお話にいきますと、アルプリンタの450m/分というのは、実際にdrupaにおいでになった、小林記録紙さんやトッパンフォームズさんにご説明したら、「そんなのは技術的に無理でしょう。ちゃんと乾くのですか」ということを言われたのですが、アルプリンタの4色刷りのインキは、UVインキですが、ちょっと特殊なUVインキになっております。

 日本では一般化しておりませんが、窒素置換方式のUVランプハウスを使いまして、紫外線で反応して硬化させるインキのなかの硬化剤の含有率を下げております。

  下げることによって二つ良いことがあります。一つは、インキの値段が下がる。もう一

つは、乾燥性が上がるのでスピードが上げられる。これが今、ヨーロッパで高速でのUV乾燥オフセット印刷での一つの流れになりつつあります。

 それから2番目のキーワードで申し上げました、周辺市場への進出ということです。今、ヨーロッパではフレキソが大変注目されております。フレキソで何をするかというと、ニスコートです。先ほどご紹介いたしましたが、ヨーロッパ、アメリカ特に西海岸のほうですが、ニスコートが非常に一般的になっています。

 なぜニスコートするのかとユーザーさんに聞きますと、もちろん一つは見栄えがあります。もう一つは、「実はニスコートをする時に、下に入れる4色の重ねの印刷にUVインキを使わない。従来のインキを使ってUVのニスでオーバーコートをする。そうすることによって印刷コストを下げようとしている」というご説明をいただいたユーザーもありました。

 そういうことで、ハードのメーカーとしましては、フレキソの印刷ができるように、二つのツールを用意いたしました。

 一つは、交換胴としてフレキソのユニットを用意したということです。もう一つは、先ほど小林記録紙さんのほうからご紹介ありましたが、通常のオフセットユニットに、外付けでフレキソのカセットを、ブランケットウオッシャーというのをお使いになっているユーザーさんがいらっしゃいましたら判っていただけますが、ブランケットウオッシャーをカチャンと取り付ける装置と共用の孔を使いまして、ブランケットウオッシャーは外しますが、そこにフレキソのカセットをカチャンと入れる。そういうことでフレキソ印刷を簡便にできる。ツールを今回のdrupaで展示いたしました。

 それから二つ目のポイントとしまして、先程紹介がありました可変スリーブ方式です。私どもの可変スリーブ方式は、ドレントゲーベルさんとはちょっと違いまして、交換胴の可変スリーブになっています。

 交換胴の可変スリーブというのは何かというご質問が先ほどありましたが、私どもは、あくまでも紙媒体に対する印刷を基本に機械を開発しております。スリーブ式というのは、軟包装材に対する印刷に対しては十分にいける、ただし紙に対しては、どうしても素材の強度の面で、私どもの社内的な評価としてはちょっとまだ難しいのではないかという判断をしております。

 そういう意味で、いろいろなお仕事をやられるためには、交換胴ごと交換すれば、通常のウエットオフの3胴式の交換胴が入る。交換胴を、スリーブ式の交換胴というユニットを持っておりますので、そちらに交換していただければスリーブ式のシリンダーも使えるユニットになります。これが、私どもが提案しています可変スリーブ式という考えです。

 三番目としては、従来からある技術ですが、特にシーター、それから折丁をつくる折機というのを今回発表いたしました。シーターは、フォーム輪転機、小型のオフ輪という言い方をしていますが、その全体の約60%が、今日シーター付きで出ております。特にフルサイズシーターといいまして、例えば、24インチ交換胴をつけられるお客さまですと、フルの長さのものは24インチまで切れます、というような仕様でシーターが用意できる。 

 それはなぜだろうかとヨーロッパのユーザーさんにお尋ねしたところ、結局、従来のフォーム輪転機の持っている特徴は、UVキュアで、紙伸びが少ない、それからさまざまな後加工がインラインでできる、プラスシーターがあると、非常にお仕事の範囲が広がる。従来、いわゆるオフセットの枚葉機でやられているようなお仕事も、もちろん品質のレベルの問題は競争するという気持ちはないようですが、それでも枚葉機でやられているお仕事の半分くらいまでは十分に取り込めていけるはずだというお話でした。

 ということで、シータ付きが一つの流れになっているのではないかということです。

 それから最後、三つ目に、オンデマンドというご要請があります。これは、基本的に在庫を持たない、受注生産志向の印刷加工をしたいということです。

 従来、ビジネスフォームの欧米のユーザーさんは、どうしてもある程度まとまった量を作っておかないとコストダウンにならない。それで、ご自分の工場を倉庫のようにされまして、印刷されたものを在庫されて、お客さまからオーダーがあるときに、その部分だけ納める。生産はいっぺんにやって、在庫して納めて、生産コストを下げて、それで何とかしようという発想がありましたが、今後はそれではもう立ち行かない、と。だから中間製品、あるいは在庫をゼロに極力近づけたいということで、オンデマンドというご要請が非常に強くなってきております。

  これにつきましては、私どものご提案としては、一つは、先ほどらい出ておりますJDFのコンパチブルな機械にするということです。

  JDFのメリットは、先ほどからいろいろ議論がありますのであえて私のほうからご説明しませんが、メーカー側の視点でいいますと、まず機械が自動装置であれば、自動セットがすべて紙に書かれた仕事表なしにできる。それからもう一つ管理サイドからみますと、機械の状況確認、エラー履歴、あるいは生産効率等のデータがリアルタイムで、工場内のいろいろな機種を問わず、JDFのフォーマットに対応している機械であれば、吸い上げることができる。そういうメリットがあるのではないかと思っておりますので、基本的に、JDFすべて対応という形の機械を発表させていただきました。

 それからデジタルプリンターの高速化。これは私どもの守備範囲ではございませんが、私どものほうからお願いして、数社のデジタルプリンターのメーカーさんには、我々と一緒にラインを組むという前提で、高速化したデジタルプリンターを出してくださいというお願いをしてあります。

 高速化というのは、単に高速で回転するということだけではなくて、先ほどお話がありましたように、いわゆる産業ベースで、24時間ベースで回せるプリンターでなければだめですよ、と。我々の装置とつないで、いわゆる工場ベースで、町中のプリントショップベースではなく、工場内で24時間体制で回せるプリンターを作ってください、というお願いをしておりまして、一つの提案として、今回、シグマラインというのをお出ししました。

 これは、デルファックスさんからOEM供給を受けまして、ミューラー・マルティニでプリンターも含めてすべて一元的に面倒見るというシステムになっております。

 ですから、このシステムは、デルファックスさんのプリンターを使っておりますが、アンワインド、カッター、フォルダー、くるみ綴じの製本ライン、中綴じの製本ライン、すべてミューラー・マルティニの名板がついておりまして、私どもで一元的にアフターサービスをするという形の提案になっております。

 これまでは、デジタルプリンターと接続したり、いろいろなインラインの完成品のシステムにつきましても、複数のメーカーが寄り集まってやるということが多かったので、ユーザーさんのほうで非常にいろいろなサービス、あるいは取り合いの関係とか、ご苦労されることが多いとお伺いしていて、今回こういう形でミューラー・マルティニですべてをまとめたラインを一つ提案しようという形で実演させていただきました。

 インラインシステムは、先ほどの説明とちょっと重複いたしますが、基本的には無人運転で、JDFですべてデータを取り込んで、白紙から完成品まで一つの流れとして作ってしまおうという提案をさせていただいております。

 私どもがdrupa2004で発表しました印刷機は2機種あります。一つは、アルプリンタ。先ほどご紹介いただきましたが、多目的オフ輪ということで、紙のみならずプラスチックフィルム、アルミホイル等への印刷も含めて、最高毎分1500フィート、スリーブシリンダーにも対応しているという形の多目的オフ輪です。

 それから可変サイズオフ輪としまして、CONCEPTA。これは、従来のビジネスフォームの香りを色濃く残した機械でして、これは、最高毎分1000フィート。今回のdrupa では、コダックさんのブースで、Kodak Versamarkと連結して300mで実演させていただきました。

 以上、大変簡単ですが、High VolumeAdjacent MarketOn Demandという三つのキーワードがメーカー側から見た今回のdrupa の印象、技術トレンドではないかと思っています。ありがとうございました。(拍手)

司会 どうもありがとうございました。

 今までさまざまな分野のさまざまな立場のところでお話を願いしましたが、これから少しディスカッションのほうに移っていきたいと思います。

 特に今回のdrupaでは、JDFワークフローということが非常に話題になっていますが、まず、ビジネスフォーム業界にとって、このJDFワークフローをどういうふうに導入して、今後どういうふうに進めていくべきか。さまざまな温度差が見えますが、そのへんのお話から進めていきたいと思っています。

 大坪さん、このへんをどのようにお考えでしょうか。最初の基調の報告で詳しく説明があったのですが、実際にいざ、わが社でやってみようといった時にどういうふうな事から始めたらよろしいでしょうか。

大坪 先ほどの説明でも申し上げたのですが、やはりJDFというのは、MISがないとJDFは運用できないということになります。よって、MISのインフラをまずつくるということが大事なことかと思います。

 今、スクリーンのほうに印刷工程全体が書いてありますが、「MIS」と最上段にあります。このMISがなくてはまず動かないということが大前提です。

 どういうふうに進めるかというのは非常に難しいと思いますが、これは、BF業界というとらえ方ではなくて、JDFは、印刷工程全体としてとらえたほうがいいと思います。

 先ほども申し上げたように、今の業務の内容をもう一回整理していく、それでMISをどう構築するかということになるのですが、個々の会社ごとに皆さんすでにお持ちだと思うのです。

 具体的にJDFにリンクしようと思った場合は、今、ホームページで、CIP4のところからJDFインターフェースを、英文で数百ページだと聞いていますが、ダウンロードできます。それで自前でやろうと思ったら、インターフェースをつくればつながるということになります。

 だけど、それはかなりのスキルが必要ですし、経験がないとできないと思うのですが、もう一つの例としては、JDFに対応したオリーブ社のプリントサピエンスというのがすでにありますので、これを調べていくのも一つの手かなと思います。

司会 どうもありがとうございました。

 後ろのスクリーンには今週おこなっているJGASで実際にデモを行っているもののパンフレットで、クレオさんのシステムと、リョービさん、ホリゾンでMISを構築して、JDFのワークフローで稼動しているというふうなデモです。

 もうご存じかと思いますが、JGASでの展示は明日までですので、もう少し詳しくと思われる方は、見に行って頂ければと思います。

 土井さんは これに関してどうお感じでしょうか。

土井 CIP4、JDFというのを、先ほどお話がありましたように、印刷という仕事全体、グラフィックアートの仕事としてみると、そちらの方向しかないのだろうと思うのですが、ことBFというところに落とし込んでくると、結構苦しいところがあるんですね。

 一つは、MISという言葉が度々出るのですが、今ご指摘にもありました通り、そこそこの規模の会社さんであれば、自分たちなりに持っているんですね。つくってしまっているわけです。一般商印の世界は、仕事の内容が比較的共通性がありますから、市場としての規模も大きいということもあります。設備的にも、プリプレス、印刷機、製本含めても、そろえやすいのではないかと思うのですが、BFは、まだインフラがそこまでいっていないのではないか。ですから、MISを一生懸命合わせ込んでも、設備のほうのインフラがなかなかついてこれないということになると、片手落ちかなと思います。

 逆もありますね。例えば、ミューラー・マルティニさんのように、印刷機のほうはすでに対応していますよ、CTPのほうも対応していますよ、じゃ、あとは何が問題なんですかということになってくると、今度、仕上げなんですよね。

 BFの製本というのは、一般商印の製本と全然性格が違いますので、このあたりのインフラをどういうふうに揃えていったら良いのかという所が、工夫といえば工夫のしどころです。と同時に、機械メーカーのほうがどこまでこのインフラに乗ってくれるのかというところがポイントかなという印象があります。

司会 ありがとうございました。

 なかなかBFの加工製本設備の対応として難しいと思う とのお話でしたけれども、部分的に 生産工程の前側のところですとか、今、ミューラー・マルティニさんのご紹介ありましたが、JDF対応のプレスまでできている。こういうことですので、方向性としてはありますが、その進み方はどうかというところですね。

 フォーム工連の技術委員会として、BF標準のMISを構築するなんてことを要望されると非常につらいところがあるのですが、BF業界としての一つのMISというのも求めていくことも必要かなとは思います。

 JDF対応のことをまとめてみますと、一つは、今後設備導入時には、JDF対応の設備を検討すべきであり、もう一つは、JDFが扱えるベースとして、大なり小なりMISを構築していかなければいけない。この様な事が今日のお話からわかると思います。

 このへんでJDF関連の話を閉じたいと思います。

 次に、カラー印刷品質のことがかなり語られています。特にBF業界がカラー化に向けてかなり変化している。一般商業印刷と台頭していかなければいけない。そこでは いろいろな障害があり、BF印刷機の問題ですとですとか、インキ材料がUVを使っているとか、そのへんのさまざまな状況がありますが、木村さん、どうでしょうか。

木村 品質という面では、先ほどのカラーマネジメントということもありますが、CTPも非常に重要な要素かなと思っております。

 BFで、なかなかCTPの普及率が低いということですが、UVインキに対応したプレートが開発されてこないということがその背景にあると思います。ヨーロッパのほうでも、UV対応ということでいいプレートも出てきていますし、そういうところからCTPは国内でもビジネスフォームに使えるものがかなり近いうちに出てくるのではないかと思っております。

 そこからデジタル化が浸透していって、校正等も、カラーマネジメントも、いままでのアナログ処理、そういうものから一気に変わってくるのではないかと感じております。

司会
 実際に作成している印刷データ自身は、すべてデジタルでできているが、最終的な印刷になった時点で、デジタルからアナログにどこで戻ってしまうか、問題はその辺だと思うのですが、どうやってビジネスフォーム業界に
CTP化を推進するか 耐刷力のある版の供給は、そのへんを藤原さまお願い致します。

藤原 いい答えになるかどうか難しいのですが、それは、CTPは商印のほうが進んでいる状況にあるかと思いますが、従来、BF業界ではネガの版で皆さんお仕事されていたと思うのです。商印のほうでポジということが、バーニングですとか、そういったものが工程的に組まれ、耐刷というような観点でいうと、それほどロングランの版材がないのが現状です。

 今後とも研究を続けて、CTPになったからといって、エクスキューズが許されるとは決して思っておりませんので、従来のコンベの版でできていたことは、当然CTPになってもできなくてはいけない。この課題は富士フィルム本体のほうは既に取り組んでおりますし、それを的確に富士フィルムグラフィックシステムズではサポートしていくという考えでおります。

司会 ご参加の皆さんのところでいろいろと製版技術を進めていると思うのですが、なかなかCTPまで進まない、最終的にデータでなかなかお仕事がいただけないという状況もあると思うのですが、そういうようなBFの色管理につきまして会場からご提案とか、ご質問があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

質問(小林記録紙(株)・岡本壮司)小林記録紙の岡本と申します。今の品質に関するお話で、質問になってしまうかもしれませんが、先ほどの富士フィルムさんのほうから、FMスクリーンのお話があったと思うのですが、今後、かなりの品質を上げていく上では、当然避けて通れない技術なんだろうと思います。今回のdrupaでもJGASでも同じように感じたわけです。

 当然FMスクリーニングという技術が、網点一つの大きさがかなり小さくなってくるので、そのへんの技術は商業印刷の世界では再現することが可能な技術であろうとは考えられますが、かりに点1個が10μとか、そういった大きさになってきた場合に、ビジネスフォームの印刷機で再現できるのかどうかという懸念があって、それで今回、より高品質のものを狙うという意味では、材料面からとか、ミューラー・マルティニさんのハード面から、どのようなお考えになるか、ちょっとご質問したいなと思うのですが、いかがでしょうか。

宮崎 難しいご質問ですが、機械の製作の時の考え方として、印刷品質に対する定義というものが、先ほどもちょっとご指摘ありましたが、メーカー側の考えている基準とユーザー側の印刷品質を評価する基準がたぶん違っているのだと思います。

 ですから、私の説明は答えになっていないと思いますが、例えばミューラー・マルティニの場合ですと、結果的にできる製品の総合評価ではなく、単体の品質評価、例えば印刷ユニットが二つあったとしますと、印刷ユニットの間に紙を通します。それで単色を、黒と青でもいいのですが、刷ります。その状態で、機械の性能速度の80%まで上げます。それから50m/分まで下げます。また80%まで上げます。そして下げます、ということで、見当のズレを取ります。そういった機械的なテストで再現性と精度の保証を決めています。

 今のご質問は網点の再現性の問題ですが、網点の再現性の観点から機械的にお答えできるのは、私どもの装置は、基本的にベアラータッチになっております。ただし、オーバーベアラーの量とか、ブランケットの種類の選択というのは、ユーザーのほうに委ねていますので、網点の太りの問題については、私どもの工場出荷の基準はありますが、今ご質問になったように、20μが最後にできますかというのは、非常に答えにくい質問なんです。私の言いたいことをお解かりいただけますか。

質問(岡本)できることでしたら、FMスクリーニングのデモなんかを見せていただくと、マンローランドの印刷機で刷りましたとか、そういった場面が多いのですが、ビジネスフォームも印刷機でこれくらいのFMスクリーニングの再現ができますとか、そういった、ビジネスフォームに適したFMスクリーニングの技術が確立できていただけるとありがたいなと思いました。どうもありがとうございました。

司会 技術的確立の今後の参考に致したく思います。

 どうもありがとうございました。

 各社、FMスクリーンの取り扱いについては、それぞれがそれぞれテストをなさっているのではないかと思います。BF印刷機でどこまでできるかということを求めて行く必要はあると思います。ですから、ぜひ各社でチャレンジしていただければと思います。

 では、その次に、生産性の向上という話が少しありました。従来のビジネスフォーム印刷機ではなかなか生産性を上げることができない。先ほど宮崎さんのほうから、常識を取り払ったような生産の体制を整えなければ、なかなかコストダウンができないという話がありましたが、製造部門の木村さんはどうお考えですか。

木村 宮崎さんのほうからは、機械の大型化といいますか、幅の件、スピードの件がありましたが、UVインキの窒素置換というか、そこでのスピードアップは、印刷現場では非常に実現したいという思いがあります。インキのほうも安くなるということですので、非常に共感を持てたお話でしたが、印刷機を大きくするとか広幅のものに対応するというのは、日本の市場のなかではどうかな とちょっと感じております。

 私の報告したなかに、スリーブですとか、より準備時間を画期的に短くする、損紙を小さくするといった技術とか、自動化が盛り込まれる機械が印刷現場としては是非手に入れたいなと感じております。

司会 私どもの工場もそうですが、工場現場ではいろいろな施策をもって改善活動を

進めているのですが、なかなか画期的に生産性を上げることができない。

今回のdrupaの提案では常識を破ったような生産設備が出てきたということを視野に入れながら、今後の設備対応を検討していく必要があると感じています。

 最後に、加工製本機(ポストプレス)の話題がいろいろと発表されましたが、各社さまざまな加工機械を導入して市場の差別化を図っていくという事だと思います。

ビジネスフォーム業界が低迷するなかで、自社の独自ポイント、自社しかできないようなそれぞれユニークな製品を求めていかなければならないという必要性がありますが、土井さん、設備的にどうお考えでしょうか。

土井 今ご指摘あったとおり、まさにこの部分ですね。

 加工製本機(ポストプレス)は、汎用機。印刷機も、とんでもないものができるというものはない。後は、加工でどういう工夫をしてお金を稼ぐかということになると思うのです。今、山口さんがご指摘になったように、何をやるのかということありきから始まらないと、加工設備は導入出来ない。印刷機とか製版の装置を買うようなわけにはいかないだろうと考えています。

 何をやるのかということになると、それぞれの会社さんの過去の経験ですとか、現有の設備の体系ですとか、これからどこにお金を使うのかという方針とか、そういうところにつながるのだろうと思います。

 これは個人的な印象ですが、コンベンショナルなビジネスフォームというのも決して捨てたものではないと考えています。

商品形態として従来型のビジネスフォーム。ただ、従来型の形態でも従来型と同じようなつくり方ではたぶんだめだろう。

 個人的にはデジタルプリントの技術と、従来型のオフセット印刷によるビジネスフォームの加工技術が、いったいいつ頃になったらニアミスしてくるのかなという点に非常に興味があります。

 これから先 ユーザーニーズ、市場ニーズに合わせた商品をどう作っていくのかということになろうかと思いますが、ご承知のとおり、商品サイクルといいますか、商品ライフが非常に短い。5年も10年も、毎年のように年契でドンとお仕事をいただけるというようなことは非常に難しい状況だと思うのです。

 ですから、そこの部分にどういうふうに自社のオリジナリティを入れるのかということになるのですが、このオリジナリティというものは、たぶんユーザーの希望ということになっています。

 ちょっと話は横にそれますが、お集まりの方のなかにもお聞きになっていると思いますが、JGASの始まる前の日に、大日本スクリーンがレディバードクラブというユーザー会のセミナーをやっています。その席で印刷業界のお客さまに相当する方の意見を求めていらっしゃいました。

 私は、直接そのお話を聞くことはできなかったのですが、例えば平和堂という会社さんは、「ただ単に印刷物を注文したら、作ってくれる。短納期で低コストで作ってくれる。これはもう評価しない」とおっしゃっています。

 何を評価するのかということになると、打ったチラシの反応がどうだったか、こういうデザイン、こういう印刷方式、こういう作り方をした印刷物に対してユーザーの反応はどうだったか、それを持ってきて欲しい。それを印刷会社に求める。

 電通の方は、これはちょっと過激だと思うのですが、印刷デザインをやるのに、グラフィックアート的なデザイナーの発想はもういらない。インパクトがないとおっしゃっています。では、だれのデザインがいいのか。建築家とか、音楽家とか、まったく印刷を知らないような方の発想、あるいはプレゼンというものが大変今おもしろいのです。それをどう具現するか。

 我々のビジネスフォームの世界と商業印刷の世界というのは、こういう切り口でいくとちょっと違うのかなという印象もあるのですが、突き詰めてみると、ユーザーが何を求めているのか、それをどういう形で作ったらいいのか、という点から非常に示唆に富んだ内容であると感じております。

 具体的にこういうもので、こういう商品を作ったらいいですよ、というお答えはできないのですが、何かそういったような切り口を持っていかないと、我々、ビジネスフォームも生き残れないな、と。最後までつきまとうのは、商業印刷との競争になるのではないでしょうか。

 普通のオフセット印刷とか、オフセット製版とか、そういうレベルで競争したら、たぶんBFは負けだと思うのです。そこを乗り切るためには何をしたらいいのか。商業印刷にないテクニックでビジネスフォームが、今一番先に進んでいるのは やはりデジタルデータ技術、それも可変データ技術かなと思います。そこと、印刷品質との折り合いといいますか、そういったところをどうやって追いかけていくか。

 私は営業ではないので、商品イメージとしたこととお話ししたことが結びつかないのですが、そんなようなイメージです。

司会 ありがとうございます。レディバードクラブのセミナーも、パネルディスカッションでしたが、このセミナーも2回目で非常に好評であったということの報告を受けていますが、マーケティングの状況も踏まえて大坪さん お話しいただけませんでしょうか。

大坪 マーケティングのほうもかなり動いていまして、印刷屋さんは印刷をしているだけではだめなんだということをひしひしと感じています。だから、その印刷物を使って何をお客さまに提供するか、その結果、お客さまにどんなメリットがあるんだというところまで、わかりやすくご説明しないとなかなか売れない時代になったなと感じます。

 それからもう一つは、やはりカラー化の動きはありますね。これはBF業界と、商印業界のなかからみると、BF業界ならでは、といいますか、要するにコンピュータのアウトプットというビジネスフォームのところから発生するようなカラーものという新たな領域があると思うのです。

 これは、商印業界の人たちが考えるアプリケーションでないものをユーザーに提案出来る。そこらへんは我々のメリットだ。今日の報告会でdrupaの新しい技術とか設備が紹介されましたが、そういうものをいかに活用できるか。それをお客さまにどうアピールできるか、ということがこれからのポイントではないか、という気がしました。

司会 ありがとうございました。

 プリプレス部門から、ビジネスフォーム印刷の今後の差別化というところで、何か提案をいただければありがたいのですが、どうでしょう。

藤原 ちょっと難しい質問だと思います。

 いままでのお話ですと、商業印刷とビジネスフォーム印刷の境界線がかなりオーバーラップしてくるようなトレンドもあるのか、そういう動きのなかでどういうふうにビジネスフォームとしての高付加価値化などを確立するか、という話かなと聞いておりましたが、では、それをプリプレスのほうから見たらどんなことかといわれたとき、やはりアプリケーションとしては異なった見え方をするかもしれませんが、その根底にある技術というのはかなり共通的なのではないかと思っています。

 やはり重要点はカラーマネジメントへの取組、網点の再現の安定性、あるいは画質が向上する施策とか、そういったようなものを基盤にしながら、どう応用するかというようなことかと思います。ちょっと私としてはそのくらいしか答えられません。すみません。

司会 なかなか難しい質問だと思うのですが、差別化設備という視点で宮崎さんのほうから、機械まわりについてご提案をいただけたらと思います。

宮崎 私のほうでは、ユーザーさんの声を聞きながら機械をつくっていくという形で、特に差別化ということのご要請は非常に大きいものがあります。機械の宣伝ばかりしていても叱られますので、私どものユーザーさんの事例を何点かご紹介してみたいと思います。

 ヨーロッパのユーザーさんですが、ビジネスフォーム専業でこられておられたのが、約8年前に、ビジネスフォームについての将来性に若干疑問を持たれたという経緯があって、その時に、自分のクライアントさんのところに正直にお話しにいきました。クライアントさんに「他に自分のところでサービスできることがありますか」と尋ねたわけです。そのときに言われたのが、「薄紙ができませんか」と。薄紙は今、枚葉機でしかやれない。このクライアントさんはたまたま製薬会社だったらしいのですが、「薄紙ができて、オフ輪で回せるのだったら頼んでもいいよ」という話があって、薄紙については、当時のミューラー・マルティニの7年前の機械では、最低70gまでしか保証していなかったのです。

 それでそういうご相談があって、「40gができませんか」と。40gというのはかなり薄い紙なのでちょっと大変だなということだったのですが、結果的にそれは開発できて、現在、スイスの製薬会社さんの薬箱に入っている中の効能書きが印刷してある薄い紙、小さく折った紙が入っていますが、あれは100 %、私どもの印刷機でやられています。細いリボンにスリットされて巻き取られて、特殊な折機で折って封入されている、という事例が一つあります。

 それからもう一つの事例をあげますと、これもまた枚葉機の仕事をとったという話ですが、私どものユーザーさんで、これまでに枚葉機をお持ちでビジネスフォームをやっておられたお客さまがあって、インキのカバレッジの多いやつですが、厚紙の写真のネガを入れる袋がありますね。これをビジネスフォームの輪転でやれないのかというご要請がありました。

 これも7、8年前の話ですが、こんなにインキの盛れるビジネスフォームの輪転機なんか世の中にありませんよという話だったのですが、やはりインキを盛りたいというご要望があって、ローラー列を増やしたり、あるいは水の管理も非常に厳しくしなければいけないということで、すべて連続給水方式のフィルムダンプリングといわれている、日本では、ダールグレン方式といったほうが通りがいいですね。その水方式に全面切り換えをして、それでそういう機械をお作りしたところ、今のところ、ヨーロッパのほとんどの写真の封筒は私どもの印刷機で、ロール・ツー・ロールですが、ベタのコダックさんの真っ黄色のものとか、富士フィルムさんの真緑のものとかは、ほとんど私どもの印刷機で刷っているという現状があります。

 二つの事例をご紹介しましたが、そういう形で、ご要望がありましたら言っていただければ、できるだけ技術的にご相談に乗れる対応を図って参りたいと思っております。

司会 どうもありがとうございました。

 だいぶ時間も進んでしまいましたので、ご質問につきましては、アンケートの最後のところに書いていただきたいと思います。次回の新たなテーマにしたいと思いますので、ぜひご協力していただければと思います。

 では、今日はどうもありがとうございました。(拍手)

司会(渡辺)長時間、「技術トレンドとフォーム印刷業界の進む道」ということでディスカッションをしていただき、パネラーの皆様ありがとうございました。

 ご参加の皆さまには、きょうの講演内容を再度よく吟味をいただきまして、ぜひ今後の業務にお役立ていただきたいと思います。

 それでは、最後に、技術委員会の委員長の瀬戸より、閉会のごあいさつを申し上げます。

閉会挨拶 技術委員会委員長
(株)昇寿堂 常務取締役 瀬戸良教氏

瀬戸 ただいまご紹介いただきました技術委員会の委員長を仰せつかっております瀬戸と申します。

 本日は、大変お忙しいなか、大勢の皆さまにお集まりいただきましてありがとうございます。

 実は、今回のセミナーは、緊急セミナーというような形で、準備期間が大変短くて、今日ご出席のパネラーの皆さんにも大変に短い間の準備をお願いしました。しかし、結果的に、今日 皆さんお聞きになったように、大変中身の濃いお話を伺いまして、私ども大変感謝しております。

 そしてまた皆さまにとっても、こういう示唆に富んだ内容のお話をお聞きになって、次の経営戦略のために大変参考になったのではないかと思っております。

 改めまして、5名のパネラーの皆さん方には感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

 それから、最後になりましたが、きょう、当会場をご提供いただき、会の設営、運営にお助けをいただきましたトッパンフォームズ様に、改めまして皆さまとともに感謝いたしたいと思います。

 本日は本当にどうもありがとうございました。(拍手)

司会 では、以上で散会といたします。ありがとうございました。(拍手)






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