■第4回:「チラシ制作初挑戦――その結果は?」
Aさんはいよいよチラシ制作にとりかかりました。 デザインの難しさ、校正の重要性を身をもって体験することになります。
まず、スケジュールです。 チラシを配る日から逆算して、いつから着手すればよいかといったスケジュールを作り、それに沿って着実に進めるつもりでいました。 ところが、自分たちでデザインを始めてみたところ、いろいろな問題がありなかなかうまくいきませんでした。 それでも、Aさんは、奥さんとともに苦労しながらとりあえずデザインを作り上げました。 そのデザインデータを出力サービスセンターに持ち込んでカラープリンターで出力してもらい、それを印刷会社に持って行き、再び相談をすることにしました。
印刷会社には、デザイン専門の人がいて、そのカラープリンターで出したものを見ながらいろいろとアドバイスをしてくれました。
■全体のバランス/コンセプト
まず、全体の構成、紙面の作り方のコンセプトを決めないと、次のステップへと移れません。 商品を何点入れて、各商品をどのように分類し、どういう順番にならべるのかといったことです。
また、チラシのコンセプトも重要テーマです。 チラシでセールの内容を的確に表現して、この店は何をメインに取り扱っているかといった点です。
■目玉商品の見せ方
単に商品を並べるだけでは効果がありません。 そのチラシでメインとなる目玉商品を設定して、それをどのように効果的に見せるかを考えなければいけません。
■色使い
少ない色数で客が目をとめる色使いが必要です。 チラシは新聞折り込みなどで皆さんも普段からよく目にしているかと思いますが、1色のものから、紙の色を変えた1色、2色刷り、3色刷り、4色刷りなど種類があります。 予算に応じて決めるわけですが、そのなかで、全体の色使いのバランス、訴求力などの点から配色を決めていく必要があります。
■価格の文字
チラシの商品価格の文字は独特の文字が使われています。 通常の文字ではインパクトに欠けるためです。 広告主で独自に文字を持っているところもあるくらいです。 通常のDTPで使われる文字のなかには存在しないので、特別に手を打つ必要があります。 価格用の文字の作成、専用文字の購入といったところです。
以上のようなアドバイスを受けたAさんは、再度、デザインを作り直すことにしました。 日程も大分さし迫ってきたので、ミスは許されなくなってきました。 しかし、Aさんも昼間はお店の仕事をしているわけで、なかなか思うように時間が取れません。 結局奥さんに頼りがちになってしまいます。 自分でパソコンが使えるからとチラシ制作に挑戦してはみたものの、想像以上に大変な作業となってしまいました。 次回からは専門家に任そうかといった弱気なことも考えはじめていました。
まず、入稿したフィルムを使って 「校正刷り」 を刷り、それをAさん (発注者) がチェック (校正) し、問題がないならそのまま校正刷りのとおりに印刷を行うし (校了)、必要なら修正を加えて (責了)、直しがなくなった状態で初めて印刷機にかけるとのことでした。 あまりにも直しの部分が多いと、校正直しを行ったあと再度校正刷りを提出する (再校) 場合もあるとのことでした。
ここで、印刷会社の行う校正刷りと発注者が行う校正について、その流れをまとめておきましょう。
■入 稿
まず、印刷会社に原稿やデータを入れます。
■初校出校
印刷会社が第1回目の校正刷りを発注者に出します。
■校 正
発注者が校正刷りを点検します。 発注者が責任をもって行う重要な作業であり、印刷会社は原則的に校正作業の指示どおりにしか作業を行いません。 修正や追加を加えることを赤 (字) を入れると言いますが、この校正が正しく行われないと適切な印刷物もできなくなってしまいます。
入稿時の指示指定どおりに文字や写真が処理されているかといった部分から始めて、写真の再現性、文字の表現 (言い回し)、デザインや色の使い方などすべての部分において、責任をもって点検を行わなければなりません。
■校 了
校正を行った結果、校正刷りの状態でそのまま印刷を行えばよい状態を校了と言い、発注者が校了の印を校正刷りに入れます。 印刷物は校正刷りのとおりに刷られます。
■責 了
若干の修正や追加がある状態の校正刷りで、印刷会社が責任をもって原版を修正して、印刷工程にまわし (下版)、印刷にかかります。
■再 校
修正が多く、このままでは直し作業に問題があり、発注者が再度確認を要する場合の校正刷りを再校と言います。 修正作業を行ったうえで再度校正刷りを発注者に提出します。 このことを三度、四度行えば三校、四校となっていくわけです。
■念 校
発注者からは責了の状態で戻ってきたが、直しに不安がある場合は、印刷会社内部で再度校正刷りを出して、内部的に確認を取ったうえで印刷工程にまわします。
このように、修正や追加 (訂正) が加わると、当然コストに跳ね返りますし、期間も必要となってくることが解るかと思います。
今、この訂正料金の削減のために、DTPをうまく使えないかといった試みが多くの印刷発注サイド (出版社やパンフレットやポスターなどの印刷物を作る企業) で行われていますし、印刷会社の方でも、そうした主旨の提案を積極的に行っています。
Aさんは校正刷りに修正を加えようとしましたが、どのような形で書きこめばよいのか解りません。 印刷会社の人に電話で質問したところ、校正刷りをチェック (校正作業) して再度指定を加えるには、専門の記号があるとのことでした。 これは校正記号と呼ばれていて印刷業界では標準的に使われているとのことでした。 そういった細部のことまでは理解していないAさんは、仕方なく印刷会社に出かけて行き、営業の人に立ち合ってもらいながら、営業の人に指示をして校正記号を入れてもらうことにしました。
一通り校正を終え、これですべて完了だと思ったAさんでしたが、印刷会社の営業の人が、「チラシは価格が生命であり、絶対に間違いは許されませんよ。 もう一度確認してはどうですか? 私も一緒に見ますよ」 と言われました。
Aさんは確認の意味もあって印刷会社の人と再度チェックしたところ、価格が980円のところが98円になっていたり、商品の名前が一文字違っているところが発見されて、冷や汗をかきました。 印刷会社の営業の人に感謝して自宅に戻りさっそくデータを直し、次の日再度出力したフィルムを印刷会社に渡して、いよいよ印刷となりました。
しかし、実際に印刷の現場を見て驚きました。 印刷は一枚ずつ印刷されているものと思っていたものが、複数枚を一枚にした版によって、大量にどんどん印刷されているではないですか。 また、大きな印刷機械が自動化されていて、オペレーションの人はコントロールパネルのところにいるだけでした。
聞くところによれば、以前は1台の印刷機械に数名のオペレータが必要だったが、今は随所にコンピュータが取り入れられて自動化が進んできており、以前のようには人手がかからなくなってきたそうです。
インクの量は予めコンピュータに記憶させておくことができ、さらに印刷途中でも印刷物を見ながらパネルで調整ができるようになっていました。 以前のように、インクと油にまみれることは少なくなってきたという話です。
また、印刷が終わったものは、印刷機械から出てくるとき、自動的に決められた大きさに折られたり、断裁されて出てくるようになっていましたし、その印刷物を今度はロボットが待っていて、ある一定の量にまとめて束ねてパレットに山積みしていました。 Aさんは、印刷会社への認識を改めざるを得ない結果となり、感心して印刷会社をあとにしました。
写真を取り込むのは素人には難しいと言われていたので、今回は初めてのことでもあり最初からあきらめていたのですが、やはり他のチラシ、特に大型スーパーの写真をふんだんに使ったチラシとは印象度が違うな、と思わざるを得ませんでした。
次回は印刷会社の人とよく相談してモノクロでもよいからなるべく写真を使うようにして、もっとインパクトのあるチラシを作ろうと決心しました。
■2回目にむけて
DTPでなんとかチラシを作り上げて、その効果はそれなりに上げることはできたのですが、研究熱心なAさんは、2回目のチラシ制作にむけてどのようにしようかと、また印刷会社に相談に行くことにしました。
Aさんは今回の反省点を以下のようにまとめました。
以上の点で印刷会社と時間をかけて次回の制作方法の検討を重ねていきました。 印刷会社の方も、以前から準備していたDTPへの対応の環境が整ったので、再度Aさんのチラシの制作方法を検討する約束をしました。
■印刷会社のチラシ制作
その結果は、
以上のような取り決めを行い、2回目以降のチラシを作ることになりました。

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