■第9回:「しあわせの緑」
戸津川 晋(東洋インキ製造株式会社・広報室)
フィトンチッドという言葉が日常的に用いられ、森林公園や市民の森など名称は異なりますが、多くの人が緑豊かな森林浴を求めて集います。
緑は、目に優しい色であることは、古くから知られていましたが、近年さらに生理学上からも詳細が判明し、緑は健康と密接な関わりのあることが裏付けられました。
「色彩生命論」野村順一著によれば、緑は生理的に副甲状腺に相当し、休息を与えるところから、ウイルス感染の症状に有効とのことです。化学的には緑は窒素に相当し、血液の循環を助け、壊疽や麻痺などに使われ、また、緑は腎臓や肝臓に活用され、汚れた空気や食べ物、さらには水を中和する力を持っており、一般の治療や健康の回復バランスを促進すると述べています。

アメリカ・ノースカロライナ病院での治療例です。沸騰する澱粉バケツに3歳の子供が落ち、3度の火傷を負いました。医師オウエンズ博士が、「電球に緑のフィルタをかぶせ、火傷の治療を行った」ところ、苦痛は僅か30分で軽減し、その子は泣き叫ぶことをやめ、1週間後には足の上部の深い火傷を残して、他の火傷が治ったとのことです。
その後、火傷の部分は被れを起こすこともなく、また跡も残らなかったということで、同じような症例がニューヨーク病院でも証明されているようです。
さて、緑と一口に言っても黄色が混ざった緑や青が混ざった緑もありますが、緑の仲間で、色相の違による興味深いデータがありますので少しまとめてみましょう。
若いエネルギーの象徴でもある幼稚園児への質問でも、緑系統のうち好きな色は「黄緑」です。緑は以前にも述べましたが、波長ではちょうど500ナノメートルの中間に位置し、すべて健康であることを表しています。
緑は喪失感を克服する安息の色です。草木の葉など自然の中での植物の色で、登山家が山に登るもう一つの理由は、「山がそこにあるから登る」ことの他に、頂上を極める途中の木々の緑との会話により、体力的な疲労とは別の「安息」を求めているからかも知れません。
緑は健康と深い関わりのあることを述べてきましたが、緑の不思議と遊びの体験を実際にしてみましょう。
皆さんの家庭の食卓やお鮨屋さんと緑のはなしです。 よく体験することに、同じ色を視点を動かさずに見ている時など、視点を急に移動するとまったく違う色が出現することがあります。これは見ている色の補色を残像として感ずるからですが、他の色に比べ緑は見えやすい色と言えます。
真っ赤な林檎をジッと見つめ、白紙に目を移すと、薄ぼんやりした緑が見えてきます。実際にやってみてください。林檎がなければ赤い紙でも結構です。
緑と赤は補色の関係にありますから、網膜の特定の視神経が緑を感じ、光化学物質が変化し順応します。それを急に視点を変えることにより元の赤に戻りますが、これが戻るスピードにより少しオーバーランします。この時に補色の位置にある緑を感ずるのです。
食卓に並んだ鮪、赤身に添えられた緑の海藻や鮮やかな緑の紫蘇は、ただ単に置いてあるわけではなく、より美味しさを増すための工夫です。
健康と美味しさ、私たちが幸せと感ずる二つの要素を兼ね備えた「緑」。バスケットに、緑の野菜をいつもより少し多めに詰めて、緑豊かな森へピクニックに出かけてみませんか?きっと昨日と違う、活き活きとしている自分に気づくことでしょう。

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