■第19回:「情報とインキ」
戸津川 晋(東洋インキ製造株式会社・広報室)
毎日の生活の中で私達が得る情報は、意識するしないに関わらず、それらを数値化すると、それは膨大な数になります。
また、それらの情報の大部分は、私達の五感の一つ視覚から得られており、約80%の情報が目から得られているといわれており、その他20%の情報が耳、皮膚、鼻、舌からの情報となります。
現在、私達を取り巻く社会環境は極めて複雑で、どの様な状況下におかれても、好むと好まざるとに拘わらず何らかの情報に包まれて日常を過ごしていることになります。
そして、それらの情報の多くの部分で、印刷インキが深く関わりを持っています。私達が一日の生活のなかでどの位「情報」と接しているか?印刷インキとの繁がりはどうか?を考えて見ましょう。
朝、毎日配達される新聞。「文化構築物」ともいえる新聞は情報の圧縮物で、印刷インキ的にみるとモノクロの文字・写真の部分とカラー写真・色刷り見出しの部分に分けられます。
新聞印刷には大きく「新聞オフ輪インキ」「新聞凸版輪転インキ」の2タイプに分けることが出来ますが、印刷面からさらに分類すると、モノクロ文字・写真情報が印刷される、いわゆるシロ・クロ頁は「本文墨インキ」を用いて印刷され、色文字見出しやカラー写真の頁は「新聞用プロセスカラーインキ」が使用されています。
従来、モノクロ紙面が大部分であった新聞も、5〜6年前頃からエポックとなる記事の色刷りやカラーの別刷が急増し、新聞紙面のカラー化が進んでいます。
なかでもスポーツ新聞のカラー頁化は著しい増え方を示しており、通常的なスポーツ新聞が28貢建てで構成されているうち、カラー刷りが開始された1985〜6年頃に4貢程度が色刷りページであったものが、現在では約半分の12頁が色刷りページとなっています。
毎朝の新聞インキの匂いと新鮮な情報を得ることから「一日の始まり」とする方も多く、印刷インキとの繁がりは身近で生きています。
出勤途上もまた情報が満ち満ちており、電車・バス・車・自転車、はては徒歩での出勤場面からも情報から逃れることは出来ません。
一番情報入手が少ないと思われる、徒歩出勤ではどうでしょう。
自宅から外に出て、最初に目につく情報は信号でしょうか?
印刷インキと直接の繁がりはありませんが、信号も立派な情報のひとつです。
信号の下に付いている補助標識や案内標識は、「単一指向性反射シルクスクリーンインキ」で印刷されていますし、交通に関する多くの標識はシルクスクリーン印刷で行われており「シルグスクリーンインキ」が用いられています。
また、建物には、色々な看板が取り付けられており、看板もまた情報の一部です。
看板はペンキでというのが従来の常識でした。しかし現在では耐候性や耐光性を考慮した塩ビシートや合成紙にグラビア印刷やオフセット印刷の加工物で制作されており、これらに用いるインキも「枚葉グラビアインキ」「枚葉平版インキ」「インクジェットインキ」が使用されています。
電車通勤の場合はどうでしょう。
遅延情報や、新刊本の宣伝中吊り広告をはじめとする各種社会情報、危険行為防止ステッカーなど、電車内には多くの種類の情報が氾濫状態の如くにあり、それらの一つひとつに印刷があり、印刷インキが使われています。
さて、会社内,職場内での情報にはどのようなものがあるのでしょうか?
情報の横綱は、各種伝票類と連絡のファックス、そして各種製品カタログやパンフレットなどでしょう。
最近の販売促進用ツールとしてのチラシやダイレクトメールは、効率と好感を得るために、受け取り人固有の名前を印刷することが増え、情報提供が不特定多数から特定少数へと変化し、これらの印刷にはオンデマンド印刷が優位さを示しており、インキとしては「エレクトロインキ」が利用されます。
印刷・情報・コンピュータ化は、着実にそして確実に結びつき、より速く・より正確に伝票処理を行うため、光学的機能や磁気機能を持たせたインキが既に多くの場面で使用されています。これらのインキは「OCRインキ」「MCRインキ」の名でコンピュータ全盛時代に対応し、OCRインキはフォーム輪転印刷物の印刷色を光学的に読み取り、波長域400ナノメートルから500ナノメートルに感知する特性のあるインキです。
また、これより波長の長い750ナノメートルから1100ナノメートルの波長域を感知する同タイプのインキは「OMRインキ」と言い、ともに連続伝票印刷物に用いられます。
情報に関わる印刷インキは、他にもまだまだ多く存在しますが、現在最も関心と興味を覚える情報と印刷インキの関わりは、テレビなどの画像や音声情報を文字情報として変換する研究で、デジタル技術を用い、茶の間のテレビから映像情報と同時に必要な文字情報も得られると言う画期的なものです。
既に静電印刷や感熱印刷、ジェットインキ、高質サーマルヘッドの開発などが進み、これら未来の情報化にマッチしたインキの出現は、「画像形成インキ」として文字・映像・音声を一つに結ぴ、情報と密接な繋がりを持つことでしょう。

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