■第1回:「ミクロの世界を作る印刷技術」
さまざまな分野に利用されてる「ミクロの世界」で印刷は重要な役割を果たしてます。ここでは電気部品やマイクロエレクトロニクスでの例をご紹介しましょう。
印刷技術には、写真など非常に細かなものを再現する技術があります。この技術は、主として電気部品やマイクロエレクトロニクスの分野に広く応用され、その代表的なものが、カラーテレビに使われているシャドウマスクと呼ばれるものです。さらに身近なものでは、電気カミソリの刃や、ジューサーのフィルター、カメラの精密部品などがあります。
その他、最近の技術の進歩に大きく貢献しているコンピュータのICやLSIなどの記憶素子をはじめ、マイクロエレクトロニクスの分野においても、非常に多くの印刷技術が利用され、応用されています。
ここでは、印刷技術がこうした分野で、どのようにして活用されてきたのかについて、説明していきましょう。
印刷物ではこのように、モノクロ写真の明暗の階調やカラー写真の色調などを表現するために、点の集まりを使っています。もちろん、点があまりに大きいと点そのものが目立ってしまいますから、きわめて小さな点を正確に配置することが必要になります。この点を作るために使われているのが、写真製版技術なのです。
この「写真製版技術(フォトメカニカル)」は、金属やプラスチック、ガラスなどの素材に化学的に穴をあけたり、ミゾを切ったりする精密加工技術がもとになっており、加工しようとする素材の表面に写真的な方法で腐食膜をつけ、部分的に腐食していく技術などが含まれています。
また、印刷には、「電着」という金属加工技術も用いられています。大量に印刷を行う場合、使用する版はかなり丈夫でなければなりません。そこで印刷版の表面を強くするためにメッキが行われます。この際使われるのが電着技術です。この電着技術を応用すれば、希望する形状の金属の薄板を作ることもできます。
それではまず、ミクロ技術の発展のきっかけとなったテレビのシャドウマスクを中心に、これに使用されるフォトエッチング技術について説明しましょう。
そのため、0.10〜0.25ミリの薄い鉄板に、数十万個の微細な孔を精密にあける必要があり、さらに開孔部には、すり鉢状の角度をつけて、中央部から周辺部に向けて次第に孔の寸法を小さくしていく必要があるなど、必要とされる条件も非常に厳しいものとなっています。寸法精度も数ミクロンの単位が要求されていますので、印刷で鍛えられた微細加工技術がものをいいます。
では、シャドウマスクの製造に使われるフォトエッチングの技術を、工程を追って簡単に紹介しましょう。
ここで、注目してもらいたいのは、マスクに使うパターンと同じ形の物が金属板上にできることです。つまりこのエッチングという工程では、非常に微細に描かれたパターンを、そのままの精度で金属板に加工することが可能となることです。
フォトエッチング法は孔を開けるという用途の他に、ミゾ加工や彫刻加工にも応用され、集積回路(IC、LSI)用フォトマスクなどのエレクトロニクス製品のみならず、精密製品全般に広く応用されています。
フォトマスクとは、ICやLSIなどを作るために必要な原版のことです。これは、微細で複雑なパターンを、ガラス基板上に精密に作成したもので、その精度は1ミクロン以下という高度な技術が要求されています。
この電着技術は、基板の上に写真的方法により、必要な形の絶縁材料を形成させるだけで、自由に複雑な形状を金属の薄板に作成することができ、量産時の複製手法も容易で、高価な金型や治工具は不要です。
また、寸法精度が良く短時間で加工が可能です。さらに、機械的なエネルギーを使わないので加工ひずみや加工変質がなく、加工したフチもきれいになるなど、さまざまな利点があります。
この技術で作られる製品には、超微細加工部品が多く、たとえば、カメラの絞り板、ライフルスコープ用レチクル、電子顕微鏡用メッシュ、エンドレスメッシュベルト、ドーム状カミソリ刃などのほか、自動車の電装部品、オーディオの部品、コンピュータ用端末配線、医療部品などがあります。

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