■第6回:「ワープロ文字はどうやってできたか」(前編)
今や社会的認知を受けたワープロ文書。 しかしその文字についてはあまり知られていないようです。 ここではデジタルフォントのお話をします。
以前は評判の悪かったワープロで作成された文書も、今では社会的認知を受け、最近では逆に、会社の中でも公式文書はワープロで作成と決められていて、手書き文書では受け付けないといったところも少なくないようです。
ここではワープロ、パソコンのとくに文字に関して、印刷会社との関係を説明することにします。
じつは、ワープロと印刷会社には意外なほど深い関係があるのです。 書籍や雑誌などを作る場合、文字原稿が必要となりますが、出版社などから印刷会社に入ってくる文字原稿は、以前は原稿用紙などに手書きで記されているものばかりでした。
筆者が書いた文字ですから、達筆過ぎたり、くせ字のものがあったりして判読するのに苦労することも珍しくありません。しかし、最近ではワープロで入力された原稿がFD (フロッピィディスク) で届けられることが増えています。
ワープロ自体も、以前はメーカーごとにフォーマットがバラバラで、印刷会社は自社の電算写植機にかけられるようにするため、フォーマット変換作業に大変苦労していましたが、最近はどのワープロもMS−DOSという標準的なフォーマットでFDに書き込めるようになったため、印刷会社も素早く対応できるようになってきました。
その理由は、専用入力機は入力する方法が大変難しく、習得すれば比較的早く作業ができるのですが、習得するまでに時間がかかり、オペレータを育てるのに苦労することがあります。 ワープロなどなら、カナ漢字変換方式で誰でも比較的簡単に入力することができるからです。
ワープロが普及しはじめたころは、印字した文字がギザギザになる、全角文字しか使えない、文字と文字の間隔が不自然、文書作成上での規則 (句読点は行の頭につかない等) がデタラメなどと批判も多かったようですが、最近はそうした組版ルールも組み込まれるようになってきて、かなりレベルの高いものになっています。
また、DTP (デスクトップパブリッシング) といって文書作成にとどまらず、イラスト、写真も入ったページ作成まで可能なワープロ、パソコンが登場してきていますから、自分の年賀状などの作成に重宝している人も多いのではないでしょうか。
こうしたDTP機能を持つワープロやパソコンは、一部は生産機として、印刷関係の会社やデザイン会社においても使われるようになっています。
このように、あるデザインでまとまった文字群のことを 「書体」 と呼びます。 たとえば 「明朝 (ミンチョウ)」、「ゴシック」 などといった言葉は、ワープロやパソコンを使っている方なら、何度か耳にしたことがあるかもしれませんね。
いくらきれいな写真や文章でも、文字が良くないと読みにくいものです。 書体をうまく組み合わせて使うことによって、きれいな書面ができ上がるわけです。
ではここで、ワープロ、パソコンで使われる文字はどのようなものなのか調べてみることにしましょう。
ある書体を、コンピュータで具体的な記録や表示、印刷に利用するために、デジタル化して記憶媒体に記録したものを 「フォント」 と呼んでいます。 一つの書体をフォント化するためには、文章を作るために必要なすべての文字をデジタル化しなければなりません。
しかし、日本語となると平仮名だけでも50文字以上あり、片仮名もあります。 まして漢字となると1万字をはるかに越えてしまうのです。 そのため日本語のフォントを作る作業は非効率的で、なかなか種類が増えず、明朝系1書体とゴシック系1書体の2種類しかない時期がしばらく続きました。
また、文字のデザイン等の権利の問題もあって、使いたい文字がデジタル化されないなど不便な状況がずっと続いてきました。 しかし最近、フォントもかなり増えてきてだいぶ環境が整ってきたといってよい状況がやってきています。
フォントは文字情報をデジタルデータで持っていることになりますが、そのデジタルデータの持ち方にも幾つかの種類があります。 その代表的なものは、「ドットフォント」 「アウトラインフォント」 「ストロークフォント」 などです。

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