■第3回:「環境対応を考えた包装資材への取り組み」(前編)
高まる必要性 … 「パッケージには環境に対するどのような機能が求められるのか」、「エコロジーでないものはエコノミーではない」
消費者の間では主婦層を中心として、「限りある資源を守ろう」 を合い言葉に、牛乳などの飲料用紙パックの回収運動が広がっています。 東京都内で回収を進めている消費者グループは、すでに 500 団体を超えるといわれており、それを応援する自治体の数も着実に増えています。 その結果、全国での回収量は年間3万 5,000 トンを超える勢いで進み、回収率は 20 %にまで達しているといわれています (日本テトラパック社調べ)。
その他にも、家庭用植物油の廃液を分別回収し、粉せっけんの原料として再利用するなど、環境問題やリサイクルの観点から消費者によるさまざまな活動、取り組みが実施されているのはみなさんもご存じでしょう。
一方、環境問題に早くから取り組んできた欧米では、消費者の活動がより活発です。 「緑の消費者革命」 という、企業と共に積極的に地球環境を守っていこうとする運動が盛んで、特にイギリスでは環境を保護しようとする若者の間で、「エコロジーでないものはエコノミーではない」 という意識が芽生えています。
また、アメリカでは、環境保護を目的とした 「バルディーズ原則」を作成した環境重視経済連合会 (CERES)が、自ら企業の株主になることにより、直接、株主総会などでこの原則への署名を働きかけたりしています。
<エコロジー度テスト>
いかがでしたか。 7つ以上該当した方は立派な 「環境人」 といえます。 4つ以下の方は、もう少し環境問題に対して、興味を持つ必要があるかもしれませんね。
結局のところ、環境保全に対してもっとも大きな効果を発揮するのは、一人ひとりの活動や姿勢です。 たとえば、冷房の設定温度を1度上げると、石油に換算して、一家庭で年間約7リットル、日本全体でおよそドラム缶 125 万本の節約が可能になるといわれています。 同様にシャワーの使用時間を1分短くすることで、ドラム缶 350 万本、照明時間を1時間縮めることによって 600 万本の節約ができるのです。
このゴミを削減することが商品を製造するメーカーやパッケージをつくる印刷産業の課題となっており、「パッケージには環境に対するどのような機能が求められるのか」 といったことを再検討する必要性が高まっています。
たとえば、洗剤などかつてはプラスチックや金属缶に入れられていたものが、代わって紙製のパッケージで供給されることが増えています。 紙製のパッケージに対しても、ちょっと考えると 「紙ゴミがふえるだけ」、あるいは 「パッケージなんてなくていい」 という声がでてくるかもしれません。
しかし、丈夫で成形しやすいプラスチック容器などは、燃やすと人体に有毒なガスを発生させる場合があります。 それに対して紙製のパッケージは廃棄しやすく、リサイクルも考えられます。
一方でパッケージの持つ、本来の機能の大切さも忘れてはなりません。 ライフスタイルが変化した今日、かつてのように消費者に、毎日自分でビンやナベ、カゴを持って買い物にいくことを強いるのはおそらく不可能です。
また、手で触ってはいけないもの、腐りやすいもの、使用方法をきちんと説明しなければならないものなど、商品の保護や流通、情報の提供という面からもパッケージの果たす役割は、とても重要になっています。
印刷産業にとってのパッケージとは、これまで、物を包む、内容物・中身を保護する、商品効果を持たせるという機能に重点を置いてとらえられていました。 これからは、これらに加えて、廃棄面などの環境への対応を常に考慮した開発に取り組んでいかねばなりません。
ここでいう環境対応とは、
実際、紙容器はビンや缶などの他素材にくらべ、多くの点で環境適性にすぐれているということで、需要を伸ばしてきました。
たとえば、日本酒も一升ビンから紙容器へと替わってきていますが、これはビンにくらべて、軽くて割れない、遮光性に優れる、輸送コストが抑えられるという利点に加えて、廃棄処理が簡単、空きビンの回収に手間がいらないなど環境面でのメリットが注目されているからです。
このごろ 「地球に優しい」 「環境に優しい」 などとうたった広告や宣伝が増えています。 ただ従来そうした機能について、評価基準があいまいだったことから、その分析・評価システムを見直し、「ライフ・サイクル・アナリシス」 をきちんと確立しようという動きがでてきました。
ライフ・サイクル・アナリシスとは、製品の原料調達、製造から消費、廃棄までのすべて段階を対象に、その環境に対する影響度を評価する仕組みのことで、スイス、オランダ、米国などでは国が中心となってこの手法の開発に携わり、一部実用化されています。
日本でも環境庁がこの分析手法の開発に乗りだし、日本環境協会 (環境庁の外郭団体) が認定する 「エコマーク」 について、審査基準にライフ・サイクル・アナリシスを採用する方針で、すでに検討会をつくり、1995 年中に策定する計画です。
このような動きの中で、日本生活協同組合連合会では紙やプラスチックなど、生鮮食品や飲料の容器・包装材料を中心に詳細なライフ・サイクル・アナリシスをおこない、「容器・包材のエコロジカル・ガイドライン」 の策定に取り組んでいます。
1993 年6月に発表された 「容器包材の環境評価に関する中間報告」 によると、飲料容器の中で紙容器は、環境負荷の点で、ビンや缶、ペットボトルにくらべて、資源やエネルギー消費量が少ない、焼却可能であるため埋立ゴミの発生量を押さえることができるなど、総合的に高い評価を得ています。
このライフ・サイクル・アナリシスという観点からも、紙容器は実際に環境適性に優れているという評価を与えられつつあるのです。

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