■第7回:「さまざまな種類があるチューブ容器」
何気なく使っているチューブ容器。 注意してみると多種多様であることがわかります。 印刷会社で行っているチューブの製造と印刷方法をご紹介します。
チューブには多種多様なものがありますが、おおまかに材質別と作り方別に分けると次のようになります。
[材質による分類]
[作り方による分類]
チューブに限らず包装容器には次の機能が要求されます。
そしてその他にも
チューブの持つ機能の中で最も特徴的なものは、その絞り出し特性。 粘度の高いクリームやペーストを取り出す時、キャップを開けて押すだけで、簡単に必要なだけ、必要な場所に絞り出すことができ、再びキャップを閉じておけば、残った中身は保存可能です。 この機能はビンや袋にはありません。
チューブは、この絞り出し特性を生かせる用途に使われ、さらにその中で、目的に応じて材料を変えるなどして他の機能を付加しながら、多くの用途で使い分けられているわけです。
■アルミチューブ −−−
アルミチューブは口部から尻部まで、アルミニウムで造られています。 そのため、外からの空気はまったく侵入できず、内容物中の揮発性の成分も逃がしません。 また、一度押されて凹んだところは元に戻らず使ったあとチューブ内に空気を吸い込まれることもありません。
プラスチックチューブが登場するまでは、チューブ型容器のほとんどはこのアルミチューブでした。 現在でも長期に保存が必要で、内容物の成分が変化しては困るような物に使われています。
用途としては、医薬品 (軟膏類)、薬用歯磨き、接着剤、目止め剤等があります。
■スズ、鉛チューブ −−−
現在では使われることが少なくなりましたが、材質が軟らかで延びも良いという特徴を持っています。 高価なため特殊な用途に用いられ、絵の具、薬品等の小型チューブに使われています。
■プラスチックチューブ −−−
作り方分類を見てもわかるように、同じプラスチックを原料にしていても、多くの種類があります。 その基本的特徴は 「弾力性・復元性」 があること。 つまり金属チューブのように 「切れたり、割れたりしにくい」 点にあります。 「復元性」 とは、押された後も元の形状に戻る性質のことです。
使用する樹脂に着色することもできるので、口部から尻部まで均一な色に着色でき、デザイン性にも優れています。
多層チューブと呼ばれる数種の樹脂を重ねて作るチューブでは、金属に近い密封性も得ることができます。
用途としては、単層チューブでは事務用糊、氷菓子、絵の具、座薬等、多層チューブではマヨネーズ、ワサビ、カラシ、クリーム等化粧品等があります。
■複合チューブ −−−
複合チューブはプラスチックチューブと同じように、樹脂材料が主原料となりますが、あわせて密閉性の良いアルミ箔や硬さのある紙なども使われます。
このように素材選択の幅が広いため、空気や香りの遮断性を高めたり、弾力性を調節することにより、空気の吸い込みや手触りを調節することも可能です。
また、複合チューブの中でもラミネート方式のものは、シート状のものをチューブにする方式であるため、事前に精密な印刷が可能となります。 しかし筒にするための継ぎ目ができるので、デザイン的には制約を受けることがあります。
複合チューブは使う素材によってさまざまな機能を持たせることができるため、その用途も広いものとなっています。
用途としては、練り歯磨き、練乳、化粧クリーム、薬用クリーム、接着・シーリング剤等があります。
成形方法は、コイン状のスラグと呼ばれる原料を金型の中に置き、衝撃的にパンチングすると一瞬でチューブの形になります。 これをインパクト成形と言います(図1)。
![]() 図1 アルミチューブ 成形の概念図 |
この後、形を整えるために切削加工を行い、さらに熱処理を行って硬さを調節して本体ができあがります。
コーティング・印刷方法については、チューブ内面には、内容物を護る塗料を吹き付け塗装し、表面には印刷の下地となる塗料をロールコートします。
チューブ表面の印刷は、曲面印刷機と呼ばれる、チューブやカップ専用の印刷機を用います。 方式としては、版に樹脂凸版を用いたドライオフセット印刷* 4 方式なのですが、1つのブランケットの上に全色のインキを転移しておいて一度にチューブ表面に印刷します。
未乾燥のインキがブランケット上で混ざり、色がにごりやすいため、色が重ねるようなデザインは極力避けています。 したがって通常、網点を使う写真的な絵柄は使われません。
どうしても精密な絵柄が欲しい場合は、プラスチックフィルムにグラビア多色印刷したものを全面に巻き付けて接着する方法や、他のフィルムに印刷した絵柄を移す 「転写方式」 が利用されます。
![]() 図2 ブロー成形チューブ概念図 |
その際、一種類の樹脂のみを使ったものが 「単層ブローチューブ」 です。
これに対して2〜3台の押出機を使い、何種類かの樹脂を層状 (バウムクーヘンのように) にして筒にすれば、チューブになったときには、何層構造かのチューブが出来上がるわけで、これが 「多層ブローチューブ」 と呼ばれます。
原料となる樹脂材料はポリエチレンが主体です。
ポリエチレンは水分の遮断性が良く、内容物の乾燥を防ぐのに有効です。 また多くの種類が市場に出ているために、製品や加工条件に合わせての選択の幅が広く、安価でもあります。 欠点は酸素や香気成分を透過しやすいことです。
内容物の酸化を避けたいとき、香りが外に出ては困るときは 「多層ブローチューブ」 を使い、その層内に遮断性の高い樹脂を一層設けます。
遮断性の高い樹脂としては、ナイロン、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデンなどがあり、これらの樹脂は比較的高価ですが、性能が良いためごく薄い層で十分目的を達することができます。
このブローチューブでは単層、多層にかかわらず金型の合わせ目の跡が胴部に縦に残ります。 そのため、デザインによってはわずかですが不利になる場合も起こります。
ブロー成形チューブの印刷には、金属チューブと同様に曲面印刷機が用いられます。 非常に小ロットの場合には、ドライオフセット方式ではなく、スクリーン印刷方式が使われることもあります。
その他、金銀の箔押しや、表面保護・光沢付与のオーバーコーティングもしばしば用いられます。
![]() 図3 押出し成形チューブの概念図 |
胴体はやはり押出機を使って、筒状に押し出しますが、この段階で肉厚と直径を調整をしながら、連続的に押し出して冷却していきます。 充分に冷えて寸法も安定したところで、所定の長さにカットして胴体は完成です。
従って、胴体についてはブロー方式と同じく単層も多層もつくることができます。
肩部については、射出成形や圧縮成形と呼ばれる方法で作られます。 この場合はほとんどが単層で作られますが、樹脂の厚みがあるため、かなりの密閉性が得られます。 しかし化学的な安定性が必要であったりした場合など、多層の成形品や貼り合わせ品を用いることもあります。
肩部を胴体部に取り付けるためには、あらかじめ作ってあった肩部材を熱溶着するか、肩部材成形と同時に、溶けた樹脂の熱で溶着しています。
しかし、より高い密封性、適度な弾力性・復元性を得るために、樹脂以外のアルミ箔や紙を使おうとすると、これらは溶かして樹脂類と重ね合わせるわけにはいきません。
そこで成形方法としては、事前にポリエチレン/紙/ポリエチレン/アルミ箔/ポリエチレンというように、シート状に何層も貼り合わせてしまう方法があります。
この貼り合わせ加工のことをラミネート加工と呼び、接着剤を用いて貼ったり、300℃くらいで熱溶融させたポリエチレンを接着剤代わりにして貼り合わせたりしています。
このようにしてできたラミネート原反を、所定の寸法に切った後で筒状に丸め、重なりの部分を熱シールすることにより、胴体部分が作られます(図4)。
![]() 図4 ラミネートチューブの概念図 |
肩部の取付けは前出の 「押出しチューブ」 とほとんど同じです。 あらかじめ作ってあった部材を熱溶着するか、肩部材成形と同時に溶けた樹脂の熱で溶着しています。
印刷については、前に述べたとおり、この 「ラミネートチューブ」 はいったんシートの状態を通りますので、その時点で印刷を行うことができます。
平らな状態ですから、いろいろな印刷方式が可能ですが、通常は凸版印刷方式かグラビア印刷方式が使われています。
凸版印刷方式の場合は、ラミネート加工が終わり、所定の幅の巻き取った状態で印刷され、同時に表面保護のニスもその上に印刷されます。
グラビア印刷方式の場合は、ラミネート加工する前の材料シートの状態で印刷を行い、印刷インキ層の上にもう一層ポリエチレンの層がくるようにラミネートします。 こうすれば、重なり部の熱溶着もポリエチレン同士で問題なく、インキ層の保護にもなるというわけです。
この 「ラミネートチューブ」 の場合は、凸版印刷方式でもグラビア印刷方式でも、一色ずつ原反の上に印刷しては乾燥する方式ですので、網点を使った細かな画像の表現が可能です。 このことはデザイン上からは、かなり有利なことといえるでしょう。
デザイン的に不利な点は、やはり継ぎ目があることです。 この継ぎ目を隠すために、胴体を作る段階で、筒にした後、上から (押し出しチューブのように) 円筒状の樹脂を薄くかぶせてしまうといった方法がとられることもあります。
いろいろな種類のチューブの製造と印刷を一貫して印刷会社が行っていることは一般的に知られていないかもしれませんね。
こうして作られたチューブ容器が内容物を封入するメーカーに納入され、それぞれの商品となるのです。
日頃、何気なく使っているチューブも 「このチューブは、どんな機能を求めて作られているのだろう?」 などと考えながら、チューブをあらためて眺めてみてはいかがでしょう。

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