■第3回:「自然を演出する家具・調度品」
家具や調度品に使われている化粧板は、表面に加工を加え、より本物らしく仕上げられています。 印刷と気づいていない人も結構いるのではないでしょうか。
特に意匠性は、そこに住む人達が常に目に触れるものであり、心和むものである必要性があります。
かつて人々は自然を愛し、自然の中で生活していました。 しかし、現在では、狭い庭やマンション、アパートなど庭と無縁の生活も少なくありません。 今こそ自然との触れ合いが何よりも大切なものであるといえます。
このように、家具や調度品、電化製品を意匠という視点で捉えたとき、自然の再現という大きな命題が浮かび上がってきます。 印刷技術を駆使して 「自然」 に挑戦する姿がそこにあります。
天然木などの感覚を印刷技術によって再現することは前節で触れましたが、たとえ木目調に印刷されていても、印刷紙の状態ではやはり紙であり、本物の木とはかけ離れています。 これを如何にして本物の木と同じ感触に仕上げるかが、印刷技術の課題です。
ここでは、化粧板を中心に意匠性や家具、調度品への加工技術について説明します。
ポリエステル化粧板の製造方法には大きく分けて2通りあります。 一つはフィルム法といい、合板 (ベニヤ板) などの基材の上に印刷した化粧紙 (チタン紙) を貼り合わせ、その上にポリエステル樹脂を塗った後、表面をフィルムで覆い樹脂を硬化させて成型する方法です。
もう一つは熱圧成型法というもので、これも印刷紙にチタン紙を使います。 チタン紙は、熱硬化性樹脂の含浸性が良くなるよう原紙に細かい穴があいています。 また樹脂を含浸した後も隠蔽性を持つよう、チタンを主とした着色顔料が10%〜30%混合されています。 このチタン紙に印刷後DAP (ジアリルフタレート) 樹脂を含浸させ、乾燥させておきます。 これを上から、鏡面板、含浸ポリエステル印刷紙、基材の順に重ね合わせ、高温、高圧でプレスして積層板を作製します。 これがダップ化粧板です。
テーブルの天板などに使用される硬い化粧板は、メラミン化粧板というものでこれも市場に多く出ています。 メラミンという樹脂を使用し、フェノール含浸紙を裏打ち材としてDAP樹脂よりさらに高圧熱プレスによって作られています。
ポリエステル化粧板をフィルム法で成型するとき、鏡面仕上げ (テカテカにする) しないでフィルムにエンボスフィルムを用いると、表面がエンボスされたポリエステル化粧板ができます。 さらに意匠性をよくするため、エンボス板のエンボス凹面部に着色を施し、天然木に酷似した化粧板を作ることができます。 これを 「ワイピングポリエステル化粧板」 と呼んでいます。
このワイピングポリエステル化粧板は天然木の持つ木質感があり、特に意匠性に優れています。 したがって、従来のポリエステル化粧板に比べて使用用途が幅広く、さらに、化粧板を切削して組立てた後に塗装を行うといった後塗装ができるため、加工性にも優れています。
この化粧板は、家具、デスク、建材などに使われ、また、この技術を塩化ビニールシートに応用したワイピング塩ビシートと呼ばれるものもあります。
塩化ビニール化粧シートなどの熱可塑性樹脂シートは、印刷を行った後に熱エンボス加工を行い、表面に凹凸の感触を付けることができます。 この場合、印刷されたシートだけだと表面の性能が劣り、また意匠的にも深みがないことから、印刷シートの上にさらに透明な塩化ビニールなどのフィルムを熱融着させ、同時に熱エンボス加工を行います。 これをダブリングエンボスと呼んでいます。
最近では2層ではなく3層に熱融着させたトリプリングシートも開発されています。 この場合、印刷される層の部分により、意匠性に変化が出て、また違った応用展開が可能となります。
また、塩化ビニール以外のフィルムとして、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィンフィルムを使用した化粧シートも開発されています。
また、ワイピング加工は、エンボスされた部分に印刷インキを詰め込み、余計な部分のインキを取り去ったもので、たとえば、木目の導管部分 (窪んだ部分) に木目色のインキを埋め込むことにより、立体感のある本物そっくりの木肌が再現されます。
テレビやオーデオ製品の箱物などに多く利用されており、ワンタッチで板状のものが立体的な箱物に組み立てられる特徴を有しています。
化粧材に使用される原紙は、絵柄の印刷だけではその表面が弱いため、ほとんどの場合表面に樹脂加工が施されて使用されています。
また、天然木の風合いを出すために、天然木の導管部に同調した凹部をシャープに再現し、天然木にせまる同調エンボスプレコート紙も最近開発されています。 実際に凹凸があり、絵柄と凹凸が同調したシャープな凹凸が得られるのが特徴です。
これは、インキに特殊なハジキインキを使用し、表面にコーティングする樹脂 (OPニス) を部分的にハジかせて凹凸を作ります。 耐摩耗性、耐溶剤性、耐熱性など物性的にも優れています。
また、ハジキ印刷以外にも導管部の艶を消したグロスマット仕様もあります。

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