■第4回:「私たちを守る壁紙」
家のなかで最も広い部分を占める壁。 壁紙にも生活環境と安全性を配慮したさまざまな加工が施されています。 ここではその種類と機能をご紹介します。
ビニール壁紙は、壁紙のなかで最も多く普及している製品で、価格が安く、種類も多く、また色や柄が豊富で、汚れにくく、施工性が良いのが特徴です。 ただし通気性が悪いという欠点があります。
その点、織物壁紙は高価ですが、高級感があり、柔らかくて暖かい感触があります。 色や柄も豊富で、吸音効果、通気性も良いという特徴があります。 現在では、風合いをよくし、防炎加工を施し、価格を配慮した、レーヨン織物の裏に紙裏打ち加工をしたものが主流となっています。
もう一つよく使用される壁紙に紙製があります。 紙壁紙といえば安物というイメージが強いのですが、最近ではデザイン性が重んじられるようになり、場所によっては輸入壁紙も取り入れられ、高級壁紙として扱われる商品も多くなりました。
その他、ガラス繊維を使った無機質壁紙や、天然の木材を薄くスライスした裏にアルミを張り合わせた木質壁紙などが製造されています。 また、時代のニーズに対応して、裏打ち紙に再生紙を使用したり、エマルジョン発泡タイプのエコロジー壁紙も多くなってきています。
壁装材料協会では、平成7年に 「生活環境の安全に配慮したインテリア材料に関するガイドライン」 を設定しました。 これは、室内装飾に用いられるインテリア材料は、物性面だけでなく健康とエコロジーを尊重しようという考えを取り入れたものです。
この中で、環境と健康に悪害を及ぼさないことを確実にするための安全規定が定められています。 それによると、塩化ビニールモノマー、ホルムアルデヒド、各種の重金属についてその適用試験項目と基準値を定め、またそれに使用される安定剤、発泡剤、溶剤、可塑剤の規制を明確にしています。
その他、製造上の制約を含めて、一定の要件を満たすものにISM (イズム) マーク表示の許可を与えています。 この 「ISMマーク」 は、壁装材料協会が健康と環境を配慮したインテリア材料による壁紙に対し、品質検査規定ならびに基準を満たしたものに与えているものです。
また、ドイツのRALマークというものもあります。
展示会場や店舗装飾によく使用される紙壁紙は、中質紙に水性塗料を塗布した加工紙が用いられています。 一般家庭の襖紙にも印刷された和紙が使われています。 その他、紙を糸として平織りにした織物も以前は見かけましたが、最近はほとんどありません。
紙壁紙に、壁紙が持つ機能性をどのように付与させるかということが重要になっています。
■ ビニール壁紙
ビニール壁紙は、価格が安く量産性に富み、色・風合・デザイン・柄が自由にできるところに特徴があります。 特に印刷後のエンボスや発泡などの加工により、特徴あるデザインや風合いを出すことができます。
印刷も単に絵柄をシートに載せるだけでなく、表面の強度を増すために基材表面に透明なプラスチック層を塗布したり、透明フィルムをラミネートする (貼り合わせる) こともあります。
エンボス加工では、凹凸したエンボス版により基材に凹凸をつけたり、発泡剤を含んだビニール材料を塗布することにより凹凸を作る方法があります。
またこれとは逆に、発泡剤を含んだ基材の上に、発泡させない発泡抑制剤を絵柄として印刷させた上で、加熱発泡して、絵柄と同調した凹凸を付けることも行われています。 これは、プレス機械による機械エンボスに対し、ケミカルエンボスと呼ばれています。
防カビ対策は、これまでは防カビ剤を施工時に下地調整剤や接着剤に混入させていました。 最近は、防カビ効果が非常に高い薬品が開発され、ビニール壁紙の製造中に、基材の中に防カビ剤を混入させ、カビへの抵抗力が強いビニール壁紙が生産されています。
その他、抗菌靴下や抗菌下着などが普及しているように、抗菌性能を持たせた壁紙も開発されています。 これはオゾンや過酸化水素のように殺菌作用を発揮する壁紙で、社会ニーズの高いものとなっています。
天然木材の“ひのき”や“ひば”の抗菌効果に注目が集まるように、住居内の汚染を防ぎ、健康で快適な住環境の向上に向けたこのような要求は、今後ともますます強くなっていくことでしょう。 特に病院、老人ホーム等では重要になってきています。
精密部品の生産工場では埃や塵を嫌います。 そのため、防塵壁紙や帯電防止壁紙などを工場や事務所の壁や天井に使用しています。
■ 結露防止壁紙
よく冬場、壁が濡れていることがありますが、これは壁面が結露しているためです。 この結露を防止するには、温度差によって変化する湿度をコントロールする必要があります。 そこで、ビニール基材の代わりに吸・放湿性の高い材料を利用することにより、結露しても水分をコントロールすることで水滴を作らない壁紙が開発されています。
■ 防虫壁紙
害虫駆除材を表面に特殊処理した壁紙で、安全性、持続性に優れています。 壁面や天井の害虫に対して効果があります。
■ 電磁波シールド壁紙
この壁紙は、電子機器の保護や誤動作、映像障害、雑音の防止などを目的に開発されたもので、病院、研究所、医療機関、コンピュータ室などで使われています。
金属箔と難燃性の塩化ビニールをラミネートし、エンボス加工して作られています。 同じ効果のある電子防止壁紙も同様の仕組みです。
■ 放射線飛散防止・放射線散乱防止壁紙
病院のX線室や医療機関、工場の試験所などで、人体に有害な散乱放射線を低減し、危険な放射線の散乱を防ぐ壁紙が開発されています。
これは、何種類かの重金属化合物を塩化ビニールに混合して作られたもので、人体を守るために、放射線エネルギーを取り扱う上での安全基準に基づいて作られています。
■ 消臭壁紙
気密性の高い部屋では、室内に色々な臭いが付着し、不快感を伴うことがあります。 これに対して、壁紙にホルムアルデヒドやアセトアルデヒド分解材料を特殊処理加工した消臭効果のある壁紙が開発されています。
また、これとは逆に、芳香壁紙というものもあります。 特殊加工により壁紙に匂いを付けたものです。 ジャスミンやラベンダーの香りが漂う寝室では、ロマンチックな夢が毎夜見られることでしょう。

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