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10文明の発達とともに〈タコつぼ〉が多種多様にこの世界の構造を「タコ理論」から読み解いてみよう。文明が発達するにつれ、多くの〈タコつぼ〉が量産された。世の中は極めて活発な知的エネルギーが働き、変化・流動し、複雑化し、多様化している。それに伴い〈タコつぼ〉は数も量も、種類も拡大している。〈タコつぼ〉を操るのがビジネスだ。だから企業は競争する。反面、〈素ダコ〉は変化しない。人類誕生以来変わらない。極めて乏しい心的エネルギーの活動である。〈素ダコ〉的連帯にはきちんとした答えがあるわけではない。3・11で損壊したのは、〈タコつぼ〉的世界では原子力発電所、ライフライン、防波堤、家屋。しかし、〈素ダコ〉的世界でも、被災した人と人との関係性が損壊してしまった。ところが、復興はそのほとんどが〈タコつぼ〉的損壊の修復にいそしんでいるのが実情ではないだろうか。真実は「ミクロ」に存在している「タコ理論」で印刷を読み解いてみよう。印刷の世界も強烈な〈タコつぼ〉的マクロ方向へ圧力がかかっている。多種多様な印刷物が量産されている。印刷の〈タコつぼ〉とは印刷物。印刷物は情報媒体の1つで、情報収集の手段である。情報の中身こそが〈素ダコ〉。情報や知識を得ることで〈素ダコ〉の世界が豊かで幸せになり、悟りがあり、心が満たされる。印刷会社が抱える課題―売上・受注数量拡大、価格競争、新規事業開拓、営業力向上、社内体制の見直し、人材教育―などすべて〈ダコつぼ〉を操る手段である。なぜ、これら手段のために必死に努力するのか、それは〈素ダコ〉の幸せという目的があるからではないか。実は、他人の世界を受け入れることで自分の世界が広がる。他人の夢を支援することが自分の夢につながる。自分の夢をかなえるために他人の夢を支援している。「すべての人のために」という既成概念がマクロな罠となってしまう。エネルギーを集中させるためには、「この人のために」、ミクロに物事を突き詰めて考えることでマクロな既成概念にとらわれた領域を突き抜けることができる。これが「一点突破理論」である。知恵の源泉のありか、すなわち真実はミクロに生息している。そこに創造性がある。「日本印刷新聞」より講演の最後に聴講者全員が、いちばん大切な人に贈りたい印刷物を「YouMEシート」に書いて、ご講演頂いた友成教授に一人一人が手渡した。「YouMEシート」に書かれた文面を読ませて頂いたが、目頭が熱くなってしまう感激の内容もありました。講演会の風景トピックス