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12トピックス無事を確認できたが、広域被害を想定し、web上の災害伝言板などの活用を検討する必要性を感じた」と佐久間社長。また、ガソリン不足が表面化したことも「想定外だった」と語る。緊急時持ち出しリストを作成していたにも関わらず、ほとんど実行されなかったことも反省点として挙げた。佐久間社長は震災の経験から「災害時は脊髄反射が必要」、「緊急時は平常時の事しかできない」、「データのバックアップは平常時から行っておく必要がある」と訴える。「緊急事態が発生した時、人は普段の行動を基にした対応しかできない。だからこそ日頃からの備えや訓練が重要になる。当社の自慢は人。原発問題も解決しておらず、まだ依然として不安定な状況にあるが、今回の震災被害では福島の一体感を感じた」と述べた。最後に、今回の震災によって大規模災害が現実のものとなり、企業の事業継続に対する考え方は大きくシフトしようとしている。「BCPに完璧なものはない。経営者が自ら考えてこそ有効なBCPになる」と、熱く語る眞崎達二朗氏の講演を紹介する。リスクマネジメントからBCPへ眞崎氏は「この20年ほどの間に、法改正や各方面からの主張によってリスクマネジメント周辺の事情も変わってきた。企業がリスクマネジメントに取り組むにあたっては、リスクを企業活動にどう活かすかという前向きな考えで取り組むことが重要になる」と語る。「リスク」という言葉は、「損失」に置き換えて考えることが多い。しかし、現在は「リスクそのものの捉え方が変わりつつある」と指摘する。「リスク」を「不確実性」と定義し、「損失だけでなく利益につながる不確実性も考慮していくべき」という考え方だ。企業にとって不確実な利益と損失を含めた全体の事業リスクに対し、全社的リスクマネジメントを推進して企業価値向上を目指す。この取り組みの延長上にあるのが、企業の継続的発展に資するBCPとBCM(事業継続管理)である。BCPの基本的な考え方について眞崎氏は「緊急時(自然災害、大火災、感染症などの発生時)に中核事業を継続・早期復旧させるための備えである」と説く。そのためにも、策定時には従業員の生命と会社の財産を守ることが第一であり、企業を倒産から守るだけでなく、復旧後の企業価値の維持・向上までを想定していくことが求められる。BCPが事業継続に向けた「計画」であるのに対して、その「運用」に焦点をあてたものがBCMだ。眞崎氏は事業継続の考え方が広まった背景を次のように述べた。「2001年にアメリカで9・11同時多発テロが発生した際に重要性が認識されるようになった。日本でも経済産業省が2005年に事業継続に関するガイドラインを策定しているが、他の先進国と比べ普及は遅れている。しかし、日本国内でも東日本大震災の発生によって認識が変わった。各自治体もBCPの普及活動に力を入れており、東京都ではBCP策定支援事業として中小企業や中小企業団体などを対象に3ヵ月間の無料コンサルティングを実施している。このほかにも、静岡県や三重県、徳島県などで研修事業や防災ガイドラインの策定などによって企業のリスクマネジメント支援が行われるようになった」佐久間社長