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INFORMATION20は、売上、利益、付加価値において平均的な顧客層で、大半がこの層に分類される。問題はクラスXへの対応。この層の顧客は、すべての点で劣り、顧客としてあり続ける理由は表面的には特に問題がなく、少なからず売上に貢献しているためである。業績が頭打ちになってくると新規開拓策としてクラスXが真っ先に注目され、「この顧客にはもっと商売があるはずで、努力すれば開拓の余地がある」と経営陣は考えてしまう。しかし、そこが問題である。様々な対応を試みて一定期間を経ても改善する兆しがなければ、潔くその顧客との関係を絶つべきである。顧客との関係を絶つことについて話すとほとんどが戸惑い、顧客数をこのくらい減らせば、利益がこのくらい改善されると具体的に実績を示しても、意識のバリヤが邪魔をする。しかし、それを乗り越えた印刷業者は確実に業績改善を実現している。VistaPrintのWebToPrintVistaPrintは数年前に米国展示会報告で取り上げたWebToPrintで急成長している印刷会社だ。この会社は米国市場で大半の売り上げをあげているにもかかわらず、オランダに本社を置き、米国に工場がなく、日本には法人すらない。VistaPrintが狙う市場は、SOHOやマイクロビジネス企業を狙いAmazon.comとの共同マーケッティングなどによって、ネットユーザーを中心にその市場を広げている。同社は、2010年度PrintingImpression誌Top10にランクインし、北米で4番目に成長している印刷会社である。2011年度の売上げは8.17億ドルで22%の伸び。Nasdaqに上場していて、印刷会社としては株価が高く、時価総額は印刷業界では6位だ。縮小している印刷市場の中で何故VistaPrintは快挙を続けることができるのかを調べて見たい。ロングテールを狙う2004年にデジタルライフスタイルを提唱するWIRED誌の編集長であるChrisAnderson氏が「LongTail」という題の記事を掲載し大きな反響を呼んだ。AmazonやEbayなどのビジネスモデルがその典型例で、「商品あたりの販管費が安いので、売り筋ではない商品をたくさん揃えることにより大きな収益を生み出す」という論理だ。今までは、統計学の「べき乗分布」の中で、上位の20%が80%の儲けをもたらVistaPrintの売り上げ推移