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INFORMATION21すことが常識であった。しかし、ネットの時代になると、「取引コスト」を低減することができるようになったため、これまで見過ごされてきた80%の小さなニッチ商品を効率よく販売することが可能となり、大きな利益を得られるようになった。Anderson氏は、書籍、DVD、デジタル配信音楽、など商品を事例にあげ論理を展開しているが、印刷産業に当てはめるとどうなるであろうか。印刷産業のビジネスモデルが大量生産のために組み立ててあるため、「長い頭」の部分の約650億ドル規模の市場のみである。しかし、大きな案件の数は少なくなり、「長い頭」の部分はますます短くなる。一方「長いシッポ」の部分は比較的に過当競争にさらされていなく価格単価も高い。だが小ロットの仕事を掻き集めて社内の生産設備を満足させるには効率が悪い。VistaPrintは、W2Pに特化することにより、通常の印刷業者が見過ごす「長いシッポ」の部分を狙ったビジネスモデルを展開している。VistaPrintが狙う市場は、従業員10人以下のSOHO事業で、その中で特に力をいれているのが、従業員一人のマイクロビジネスである。欧米では、従業員10人以下のSOHO事業が約5000万社以上ある。日本のSOHO市場も大きく約500万社あるといわれており約1500万人が従事し、この市場は年間4%成長しているという。この市場の1社当たりの年間印刷物発注金額は約500ドルで、一回の発注金額は約30ドル〜70ドルと極めて少額である。しかし、潜在市場規模は非常に大きく約200億ドルに及ぶと推定されている。今までマイクロビジネスでの印刷物は、卓上プリンタを使うか、OfficeDepoのような事務用品店やプリントショップに原稿を持ち込み、印刷するしかなかった。しかし、VistaPrintはネットによりW2Pが可能となったため、飛躍的に顧客の「作業コスト」の軽減に貢献したのである。VistaPrintの生産システム同社独自の「ClicktoShip」ワークフローシステムを開発し、デザイン、プルーフ、発注、プリプレス、印刷、断裁、梱包、出荷などを管理するための一環システムを構築した。そのプロセスの特徴は、@ITとネットによる集約化、A一環化されたシステム、B標準化、C自動化、である。受注の全てが同社で用意されたテンプレートベースで、数量、サイズ、用紙、画像、フォントなどが予め用意されている。一日あたり約12,000社から約300,000件のデザインが処理される。あくまでもSOHO市場が必要とす