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INFORMATION22る簡易印刷を狙ったビジネスである。サーバーからプリプレスシステムに送信。独自開発されたソフトにより、自動的に面付けされCTPで出力される。一回の印刷運転で100件以上の受注が一気に印刷され、一日あたり約12,000件を生産している。印刷設備はインラインコータ付のMANROLAND700で6色機が主力。VistaPrintの売上げの80%はオフセット印刷で、残りの20%がHPインディゴによるデジタルプリントである。一般の印刷業者で1時間かかる準備時間を1分まで短縮し、ヤレはたったの25枚と驚異的な生産効率である。15分間の印刷稼働で143件の受注を印刷するギャンギングで、常識破りの生産性である。41インチシートに印刷された製品は、CIP4やJDFに対応のPolarカッターで断裁されて、仕分け、集約、梱包され、出荷される。ポストプレス工程は若干人の作業が入るがバーコードにより管理し自動化されている。この自動化された一環生産プロセスにより33%の原価率を実現し、約10%の純利益を維持している。VistaPrintのマーケィング戦略同社のマーケッティング支出を売上げの約22%計上している。印刷業界の常識では考えられない金額でネット印刷通販の中でも突出している。同社はLTV(生涯価値)マーケッティングが基本で、一度開拓した顧客を囲い込みリピートオーダーを確保していく戦略である。主に名刺で顧客を引き付け1社の新規顧客を獲得するのに約22ドルから25ドルを使う。Amazonで購入すると「名刺が無料!」というチラシが入ってくることは前述した。このような積極的なマーケッティング活動により2011年度だけでも740万の新規顧客を獲得している。同社のサイトをアクセスすると、無料で名刺を印刷することができる。送料は別なので、日本で名刺を作成すると送料込みで実際は859円(米国では3.99ドル)となる。オーストラリアで印刷され、シンガポールから発送される。無料名刺の裏面にはVistaPrintの広告も入り、新規顧客の約20%が口コミや名刺の裏面を見た人だという。「名刺が無料!」を中核としたブランドマーケッティング戦術は成功している。同社のウェブサイトの集客数は群を抜き、年間のユニークビジター数は約4400万人である。VistaPrintが無料の名刺にこだわって、顧客を引き付ようとする理由はいくつかある。最も大きな理由は、名刺に記載される情報そのものが貴重な顧客データとなることだ。名前、企業名、住所などがあれば、かなり高度なデータベースマーケッティングが可能となる。もうひとつは、クロスセルだ。名刺に記載される情報は、封筒、レターヘッド、ハンコ、アドレスラベルなどにも使うことが可能。無料名刺を編集したあと、チェックアウト時に、かならず「レターヘッドはいかがですか」「住所ラベルは必要ないですか」などと聞いてくる。新規顧客を獲得した後は、既存客に積極的