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122010年度のデジタルプリントのトップ3品種は、BM、DM、書籍であるが、2015年でもその構図は変わらない。ただ、BMは約1,350億インプレッションから約800億インプレッションまで出力数を大幅に落とし、DPSを主力ビジネスとしている企業にとっては憂慮すべき予想と言える。一方、書籍、DM、ブロシュアなどは共々伸びを予測している。印刷業界の関係者の多くは、アナログ印刷がデジタルプリントに置き換わっていくというが、左下のグラフはデジタルプリントが印刷業界の救世主とは成り得ない事を示している。アナログ印刷は2014年まで毎年5%減少していく。これを産業用デジタルプリントが穴埋めするためには、毎年200%以上成長しなくてはならなく、11.5%成長では話にならない。アナログ印刷が毎年5%減少していく予想は確かに厳しいが、例え緩やかにしたとしても、産業用デジタルプリントがそれを補っていけない事は明白のように思う。唯一、産業用デジタルプリントがアナログ印刷を侵食する可能性を秘めているアプリケーションはDMと書籍である。それでは、アナログ印刷が産業用デジタルプリントと関係なく減少していく先は何処であろうか。ITStrategyでは、小型プリンター(卓上プリンター、事務用ドナープリンター、MFPなど)とディスプレイ(PC、スマートホン、タブレットなど)に流出していくと予想している。特に、アナログ印刷で生産されているカタログや新聞などは、産業用デジタルプリントに奪われるのではなく、消費者の情報消費行動の変化により、ディスプレーに流れて行く。MediaIDEAの調査によると、電子リーダー端末の急速な増加により、雑誌用紙の需要は2010年〜2020年の間47%減少し、100万トン規模まで落ちて行くと予測し、産業用デジタルプリントとして有望視されている書籍さえ、なんと52%減少(2020年では55万トン)するという。このような予想が本当であるなら、多くの印刷業者が産業用デジタルプリンターを導入したなら、小さなパイを奪い合う過当競争に出典:ITStrategyなってしまう事は明白である。米国品種別デジタルプリント出力数(2010年と2015年の比較)北米印刷物規模推移(2009〜2014年)千億ページ(レターヘッドサイズ換算)単位:10億インプレッション(A4)