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17ろう。PitneyBowes社がHPの新型プリンターを扱うようになったことは、その流れを顕著に表している。印刷だけではなく印刷と隣り合わせになっている領域の周辺機能を取り込むことで、印刷企業の成長の余地が残されていると思う。プリントマネージメントサービス周辺領域への拡大として、ドキュメント・プリントマネージメントサービスがある。GraphExpoでは機械ベンダーまでもが、そのコンセプトを提唱している。Xerox社は昔からドキュメント・プリントマネージメントを提唱してきたが、2010年にAffiliatedComputerServiceを買収したことにより、その色彩をいっそう濃くしたと言える。メーリング設備を提供するKernもXeroxに習って、EDGEというドキュメント・メーリングマネージメントプログラム、コンサルティング、そしてSaaSを掛け合わせて提供しはじめた。コニカミノルタもオフセット印刷とデジタルプリントの融合をテーマにドキュメントマネージメントコンサルティングを提供している。このように、ドキュメント・プリントマネージメントを鍵に、他業種を含め、様々なプレイヤがこの領域に参入してくることが予想され、従来の印刷企業やディストリビュータの主戦場は拡大していくであろう。GraphExpoを通して見る印刷の未来今回の展示会を見て未来をどのように予測できるであろうか。確実に言えることは、新しい市場や技術に拡大していくためには、パートナーシップを組むべきことである。従来、印刷業界でパートナーシップというと、親元業者と下請け業者との関係を意味することが多かった。しかし、これからは情報、人材、資本を共有することが、新しいパートナーシップ形態になって行くと思う。今回のGraphExpoでは新しいパートナーシップとして、機械メーカーやソフトウェアプロバイダーの間で形成され展示している。これに習って、印刷業界の新たなパートナーシップの姿を形成することができるように思う。WebtoPrint(W2P)印刷物の受発注や生産で、W2Pが今後主流になって行くことは間違いない。一般消費者や特定の企業に向けた印刷物のデザインテンプレートをウェブに掲載して、顧客が容易にパーソナル化や発注をできるようになる。ウェブで受けたプリントデータは、IT技術でグループ化や面付けを自動処理したものを、ギャング印刷するといったプロセスフローになる。このようなフロントエンドのIT技術が印刷業者の競争力を左右する大きな要因になってくる。鍵は自動化、生産性、技術の統合印刷業界の多くの企業は、自分の得意とする分野を形成し、商売してきた。それが厳しくなってきたために、周辺事業へ拡大しようとしている。しかし、他の分野へ進出さえすれば、業績が改善するというわけではない。肝要なのは、事業の土台となるプロセスのワークフローがオートメーション化されているか、機器の生産性が改善されているか、技術が適切に統合されているかである。それさえしっかり押さえていれば、得意分野に特化し続けても競争力を維持していくことができるはずである。GraphExpo2011は、印刷業者が今日必要としている課題のソリューションを見つける宝庫であったということができる。