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11夏季講演会を印刷図書館との共催で開催8月23日、目白の椿山荘で夏季講演会を開き、メディアデザイナーで著述家の坪田知己氏を迎えて「TheCommunication情報革命とは何か?」と題して、時代が求める情報伝達とコミュニケーションの本質とそのゆくえについて考えた。坪田氏は日経新聞社でマルチメディア局企画開発部長、電子メディア局次長、日経メディアラボ所長などを歴任し、「日経電子版」の基本設計を手がけ、その豊富な経験からメディアとコミュニケーション技術に深い造詣を持つ。以下、講演要旨を紹介する。コミュニケーションとは、人と人とがお互いに声や文字などの情報媒体を通じて意志疎通を図ること。つまり、人間はメディアを使ってコミュニケートする。大切なのは伝える情報の正確さ、コミュニケーションがしっかりと成立すること。メディアは進化し、その技術は今、ほぼ完成の領域に達した。しかし、「ワーテルロー・スクープ」の例に見るように、情報の価値とは、速さではない。ニュースをいち早くキャッチした人が得をするわけではない。インテリジェンスとポジションのある人が手にしてこそ価値がある。時代は積層化する。テレビもラジオもなくならない。過去の文明を下敷きにしながら進化していく。メディアの変遷をたどるとマスメディア独占の1方向型の“1対多”の時代だった。そして1人1台パソコンの“多対多”のWebの時代になり、facebookやmixiに代表される“多対1”の時代に移りつつある。“1対多”は、その人のためのエージェント・メディアの構造といえる。情報コミュニケーションにおけるメディアの形は、ブロードキャスティングからブロードキャッチヘ、1方向型のピラミッド構造から目的志向共同体(MOC)、支配から支援へ、コマンド駆動からビジョン駆動へと変化している。情報化の本質とは感性が基礎であり、結局、人間開発。人間にとって情報力とは表現力である。情報は関係の中を伝わり、情報によって関係が操作される。情報は関係を創造でき、深めることができる。メディアの前提にメッセージという情報がある。すでにメディアの時代は終わった。今の時代は人間がメディアに依存しすぎた結果、あまりにもメッセージが粗末になっている。大量情報の大爆発が起きている。やはり良い情報を得るには人に聞くのがいい。例えば、facebookでは必要な情報が簡単に得られる。その信頼性の担保がこれからの課題である。時代は公的依存社会から共助型社会へと移りつつある。情報環境はマスメディア的秩序からグーグル的な技術至上の秩序を経て、これからは技術を人間が統御する秩序へ、Webから4次元へ進化していく。そうした時代、どうメッセージに磨きをかけるのか。そのために情報の「整流器」を作るのが私の欲望である。日本印刷新聞記事より講演する坪田知己氏関東フォーム印刷工業会