■ページ本文テキスト■

14う趣旨の運動である。「年間一人当たり1万円」の寄付運動および、日本の学校で不用になった机や椅子、パソコンなどの備品、学校の教材などの支援もあり、2000年の秋に新モンゴル高校は開校した。この学校はモンゴル初の3年制高校である。モンゴルの高校は通常は2年制で、小学校4年、中学校4年、高校2年、合計10年がモンゴルの教育制度である。これでは受験資格が得られず、海外留学ができない。新モンゴル高校ができたため海外の大学での受験資格が得られるようになった。その意味でモンゴルの教育改革にも大きく貢献している。新モンゴル高校は、日本の高校をモデルとしてカリキュラムを導入した。そのため全員が制服を着て、給食もある。部活動もある。日本では当たり前のことだが、モンゴルではこれが人気の的だそうだ。初年度入学生徒数は105名教師数8名で発足したが、現在は1,000名近くの生徒が在籍し、約80名の教職員が勤務している。新モンゴル高校の教育理念は、国際的なレベルに見合うカリキュラムを導入して、卒業生に世界のどこの国の大学にでも入学できる学力を身につけさせ、将来は国際的舞台で活躍できる人材に育てることを目指し、実際卒業生の6割が海外の大学に留学している。留学先は圧倒的に日本が多く、ロシア、中国、アメリカ、トルコなどへの留学も少なくない。卒業生の中にはマサチューセッツ工科大学を出てFacebook,Inc.に勤めている人や、東京大学への留学生も複数いる。映画監督を目指している人や国連事務総長になるという夢を持っている人、将来ノーベル賞を取ると言っている人もいる。このようにたくさんの学生が、夢をもって勉学に励んでいるそうだ。新モンゴル高校には銅像の台座のみがあり、そこにはこのように書いてあった。「新モンゴル高等学校の卒業生の中で将来ノーベル賞を受賞した者、あるいは国際連合の事務総長となった者、モンゴル国の大統領となった者、またオリンピック優勝者となった者の名誉を永久に伝えるためにこの記念碑を建てました。常にこの世界を意識している本校卒業生のあなたはその1人になることを待ってます。頑張ってください」この文章が滑稽に思えないほど、実際に出会った卒業生達は皆未来への希望にあふれ、「○○大学で○○学を学び、将来モンゴルのために○○の仕事をしたい」というはっきりと具体的な夢を話していた。目標を見失いがちの日本の若者に比べて、その意識の高さに驚きを覚えた。9月1日には新モンゴル高校の入学式に来賓として招かれた。入学式は非常に華やかなもので、モンゴル各地から集まった新入生たちの喜びと希望に満ちあふれていた。日本大使館の参事官やモンゴルでは有名な俳優、与党の政治家などが来賓として招かれていた。入学式の間中、卒業生数名が我々のために通訳をしてくれた。在校生によるバンド演奏や歌の披露(なんとAKB48の曲!)、モンゴルの民族楽器「馬頭琴」の演奏等もあり、非常になごやかで楽しい入学式であった。ADMON印刷会社見学8月31日にADMON印刷会社を訪問・見学した。同社はモンゴル国で最も大きな印刷会社であり、印刷だけではなく出版も手がけている。設備としてはKBA社のRAPIDA105B全4色機や大日本スクリーン社のCTP装置が目立つ程度で、目新しいものはなかったが、同社の社長の話ではとても利益を得ているそうだ。世界の有名な本をモンゴル語に翻訳し、印刷・出版するのを大きな事業として展開していた。日本の有名な絵本「100万回生きたねこ」も翻訳したいと、社長は話していた。設備や技術に関しては日本の企業に及ぶものではないが、とても意欲にあふれ希望に満ちた会社だと感じた。工業会だより