■ページ本文テキスト■

19もので、その直後から4年間印刷不況が始まった」と、ゴスインターナショナル社のヨーケン・マイスナー社長兼CEOは述べた。2008年の“drupa”は、輪転機メーカーである同社にとって独立系企業としての最後の出展であった。2年後に同社は上海電気グループに買収された。しかし、ゴス社が米国で唯一の輪転機メーカーであることに変わりはなく、ニューハンプシャー州ダーラムの工場では新しいサンデーVpak3000およびサンデーVpak500パッケージ輪転機を生産している。“2012年drupa”の記者会見で、政治哲学者の最も有名な発言のひとつ「ある妖怪がヨーロッパを徘徊している」というカール・マルクスの共産党宣言の冒頭が引用されるとは、誰も夢にも思わないだろう。これを引用したのはコニカミノルタIJの大野彰得社長で、“drupa”における印刷の将来に関する多くの議論の中に、インクジェットが落としている影響について示した。大野社長は会場でプレビューを行ったカラーインクジェット印刷機KM-1によって「産業インクジェット革命」の最前線に打って出ると述べた。drupa2012におけるデジタル印刷設備“drupa2012”におけるデジタル印刷設備の展示において、市場と関連付けて考察したい。主なトレンドは、B2枚葉デジタル印刷機市場、次世代液体トナー機、ランダ社のナノグラフィックプリンティング技術とその印刷設備である。ある意味、これらはすべて同じ市場をターゲットにしている。B2デジタル機の分野では、ベンダー各社が我先に最新トレンドに飛びつこうとしているような状況を目の当たりにした。新しいB2デジタル機はすべて技術展示であって、発売はある程度先になるとみられた。これら製品の大半が出荷可能となり市場が実際にスタートするのは、2014年のIPEXの後になるとみられる。富士フイルムと大日本スクリーン製造の製品以外でIPEX以前に運用可能になると筆者が予想しているのは、HPIndigo10000だけである。ただし、これら多くのB2デジタル機に対して、大きな市場があるかどうかは疑問である。大半のB2デジタル機に見られる問題は、これらが真のデジタル印刷機ではなく、実際にはインクジェットヘッドを搭載したオフセット機のようであることだ。真のデジタル印刷機は、生産ユニットの統合化が可能でなければならない。例えば、複数のフィーダー(給紙部)から様々な種類の用紙を同時に取り扱うことや、インライン後加工システムとの統合、自動両面印刷が可能であることを意味する。これらの機能なしではパーソナライズした印刷はできない。実際のところ、準備時間短縮に対応した無版印刷機や、アナログ印刷機は既に存在している。新しいB2枚葉デジタル印刷機の中では、HPIndigo10000とデルファクス社Elanだけがこうした条件に適合しているようである。もう一つ考慮しなければならないのは、B2(デルファクスElanの場合はSRA2)が本当に必要なのか、それとも新しい36インチロングシートフィーダーのオプションを備えたコダックNexPressSX3900の拡張フォーマットがニーズを満たすのか、という点である。同機種は、本当の意味で高品位のデジタル印刷機である。B2デジタル印刷機を既存のオフセット印刷機の本体を基に構築することは、優れた用紙搬送と精度の高いレジストレーションを実現する上でも、更に、新しく本体を開発する必要がないという点でも極めて良いアプローチであるが、デジタル印刷機として必要な機能に関しては、諦めなければならない点が多々あると考えられる。もし、新たなサプライヤーが富士フイルムJetPress720の状況を見ていたならば、こうした限界について多くを学べたはずである。こうした理由から、小森コーポレーションImpremiaIS29、およびコニカミノルタKM-1、リョービとミヤコシが共同開発したデジタル印刷機は、富士フイルムのデジタル機よりもはるかに高速ではあるが、機能が不足していることの理由で、市場では苦戦すると予想される。デジタル印刷機が真のデジタル印刷機として機能するならば、保有することに意義がある。もし準備時間がゼロだとしても、同サイズのハイテクなオフセット印刷機よりもランニングコストが高いのであれば、メリットが余りないと筆者は考える。例えば、新しいハイデルベルグSMXL75