■ページ本文テキスト■

21こうした課題を達成できると筆者は確信している。ランダ社の技術は、同社自身が実践するにせよ、小森コーポレーション、マンローランド、あるいはハイデルベルグといった提携会社を経由するにせよ、市場に大きな影響を及ぼすと考える。ランダ社の技術は、新たに登場した次世代液体トナー式デジタル印刷機という別のライバルにも直面する。液体トナー機が優れていることは、液体トナー機であるHPIndigoの極めて高品質の印刷物によって既に証明されている。しかし、HPIndigoは複数のエンジンで順番に印刷するのではなく、全色を一つのエンジンで印刷する必要があるため、速度の面で重大な限界がある。また、揮発性のトナーキャリアを蒸発させる乾燥(融合)プロセスが必要であり、現在世界のほとんどの製紙工場で利用されている脱墨処理ではHPIndigoで印刷された紙のリサイクルは難しいという課題もある。オセやザイコンの液体トナーに関する新しいアプローチでは、これらの問題は回避されている。ミヤコシは取り組みの概要を示していないため、その取り組みについてコメントすることはできない。こうした新しい液体トナーのアプローチによって、HPIndigoに近い印刷品質と高速インクジェット機並みのスピードが達成されると言えよう。ただし、その詳細や、どの程度優れたものになるかについては、2014年のIPEXを待たなければならない。混乱に向かって走れというのが適切な助言であるある業界に混乱が見られる時、顧客のニーズと競合企業の先を行くために混乱に向かって走るべきであると、私は常に考えてきた。これは「自分を廃業させ得るものに投資する」戦略と呼ぶこともできるとジョー・ウェブ博士は言う。それは、成功報酬で生計を立てる弁護士に関する古いジョークに由来する。彼らは、不幸な状況を探し求めて、警告灯を点けてサイレンを鳴らしながら疾走する救急車をキャデラックで追いかけることから「アンビュランス・チェイサー(救急車の追っかけ)」と呼ばれる。コンサルタントも、時に同様の評価を受ける。何か特定の行動をとらない限り皆の事業が立ち行かなくなると主張しながら、印刷業界をうろついているからだ。お決まりのアドバイスの一つが「変化を受け入れよ」である。その暗に意味するところは、活版印刷からオフセットを経た無数のデジタル機器へのシフトや、組み版から写真植字を経たデスクトップパブリッシングへのシフト、そしてその他諸々の状況にもかかわらず、印刷業界は変化を嫌うという非難である。ここで共通する特徴は、混乱である。技術のシフト、顧客の好みの変化、異なる事業環境といったものは、すべて何らかの市場の再評価と、先を見越した最善の対応の決定を必要とする。混乱したまま走り回ってはいけない。そうではなく、混乱に向かって走り、解決策を提案するのだ。産業が過渡期にある時は常に、その結果として生じる混乱によって、事業の意思決定が一層困難になる。時には、事業慣行を若干変える必要が生じる。改変の範囲が大きく、より大きな措置が必要になる場合もある。経営者が、潔く古いやり方を止めて、効率的に事業の新局面に入る方法を見つけなければならないことも少なくない。自社製品の需要が拡大している時は常に、こうした変化への対応は容易である。しかし、需要が後退している時は、すんなりと撤退したり参入したりすることが許されない状況に直面する。修羅場と化す可能性もある。先行きが不透明な状況、あるいは前途にある課題の重大性を多くの企業が否定している状況で対応策を探すと言う点で、混乱に向かって走ることは、起業家精神の背後にある思考と同類である。私は最近、印刷についての最大の誤解を三つ挙げるとすれば何か!そうした誤解を改めるために業界関係者は何をすれば良いか!という質問を受けた。マーケティングに携わる者として、私は常に、最も重要な誤解は業界の外ではなく、業界の中にあると考えて来た。ずっと以前に「Positioning:TheBattleforYourMind(ポジショニング:自分の心のための戦い)と言う本を読んで、マーケティングのゴールに達するためには、自分がターゲットとする対象が「真実、あるいは重要だ」と信じ