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24刷物の将来4)」において、紙の消費量は景気後退時の急速な減少に続いて2021年までの10年間でさらに減少すると、我々は予測している。特に、電子的な方法による置き換えと、今後さらに広まると見込まれる環境的な課題により、紙の利用に対する圧力は激しさを増すであろう。今後の印刷量を考える際には、同じ動きの反対の効果があることも考慮する必要がある。例えば、インターネット広告は成長しているが、多くのブラウザーやアプリケーションは広告を避けるためにポップアップをブロックする機能を備えている。オンライン広告は多くの印刷物の代替手段となっているが、同時に個人や小規模の事業者向けの新たな印刷市場が成長することを可能にしてもいる。この予測を行うに当たり、我々は経済的な予測に加えて人口の変動も重要な要素として考慮している。【ヨーロッパの人口統計】ヨーロッパの人口は、成長することが見込まれている。長期的には、15?59才のグループは減少し、70才以上の人口は増加するであろう。家族が分散化することから、世帯数は増加して世帯は小さくなり、その結果、請求書の受け取り手は増加するであろう。荷物のサイズが小さくなると、荷物とラベルの数が増加する。印刷市場にとって、これは良い前兆を示している。比較的裕福な国々のより多くの潜在的な消費者が、印刷されたものを消費し、包装されたものを購入し、書かれた郵便物を受け取るであろう。高齢の消費者は、書籍から読書用の電子デバイスへの切り替えにそれほど積極的ではない。しかし、インターネットやタブレットコンピュータを使い慣れた世代が消費者の主流になるに連れて、長期的には抵抗感は減少するであろう。裕福な高齢の消費者は、広告主の重要なターゲットグループのひとつなのである。彼らは、パッケージやラベルの需要を押し上げる健康関連製品のようなものを数多く購入しているのである。経済成長率は、印刷物や印刷されたパッケージの市場拡大においてカギとなる要素である。過去4年間における大混乱の結果、ヨーロッパの経済状況を予測することは困難になっている。西ヨーロッパの実質GDP成長率は、2011年から2016年にかけて平均で年率1.5%?2.5%の間となろう。一方、発展している東ヨーロッパでは、多少高めの成長率となることが見込まれる。印刷物は、教育分野の重要な要素である。教科書、参考書、テスト用紙、成績表など、全てが印刷されている。全ての国において、読み書きの出来る教育程度の高い人々は、印刷された広告の利用増大につながる新聞や雑誌、書籍などの消費量を拡大する。物理的な教科書の代わりに、インターネットで教科書が配布されたり電子書籍の利用が拡大したりといった教育における支給品の変化は、印刷物に影響を与える。学校の生徒や大学生が宿題を手書きではなく電子的に提出するようになると、教育分野における紙の需要減少につながる。【広告の動向】物理的な製品としての広告、あるいは新聞や雑誌に掲載されている広告は、印刷量の重要な牽引役である。広告主によるインターネット広告需要の加速は、印刷された広告に大きな影響を与えている。全ての分野で印刷された広告の売上減少が見込まれている。広告費用に対する効果を注意深くモニターすることを通じて、消費者との絆を深める新たなマルチメディアコミュニケーションのテクニックが開発されている。ブロードバンド技術の使えるエリアが広まると、画像や写真を含む大きなデータ量の高速なダウンロードが可能になることから、こうした傾向はさらに加速するであろう。コミュニケーション技術の進展は、コンピュータやタブレット、スマートフォンによって接続された世界の方向に進んでいる。インターネット利用率は、このメディアが着実に広まっていることを示している。これは一般的に、印刷物の読者数に対してマイナスのインパクトを与える結果となる。これらの変化を受けて、広告主は自社のマーケティング戦略全体を考え直し、電子メディアにおける実験により多くの経営資源を投入している。オンラインでの価格見積や、デジタルワークフローの広まりは、印刷業界にとって印刷価格や印刷設備の稼働状況の透明性向上に役立っているが、印刷価格の継続的な値下げ圧力の原因にもなって