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24んではならない。顧客が関心を持っているのは自社の事業であって、こちらの事業ではない。印刷物が唯一の選択肢だった時代には印刷会社の能力に関するセールストークが通用したが、今はそうではない。デジタルコミュニケーション分野における我々の競合相手は販売・購買両方の履歴にITを用いている。自分の好きな時間にやり取りしたい顧客にとって便利なことから、セルフサービスは当たり前のことになっている。印刷会社はこの変化に抵抗しているが、これはインターネットでの値下げ競争に巻き込まれるものだと誤解しているためである。オンラインでビジネスを提供することは、提供する製品を変えることでも、消費者と直接取引することでもない。それは、既存顧客に対して、あなたの会社のセルフサービスに適した製品やサービスを、セルフサービスの形でやり取りする手段を提供することなのである。私は何年も前からこのことを銀行のATMに例えて説明している。つまり、必要がないのに顧客にフルサービスのやりとりを強要してはならない。一々、現金を引き出すために窓口担当者と話さなければならないとしたら、我々は苛立つであろう。だとすれば、発注するたびに印刷会社と話をしなければならない理由はどこにあるのだろうか?「監視と測定する能力」コミュニケーションのデジタル化により、マーケティング専門家は全く新しいレベルの責務を果たすことが可能となった。デジタル革命によって実績記録の保存が可能になる以前には、マーケターができるのは予算を使って効果が出ることを祈ることだけであった。売上高が伸びればその功績を自分のものとし、伸びなければ言い訳を見つけ出した。しかし、デジタル化によって状況が一変した。オンラインマーケティング戦略は数えきれない程の異なる方法で集計し管理できるため、何も隠すことができなくなった。マーケターは、営業職と同様に、客観的かつ容赦なく測定管理される対象となったのである。印刷業界は、説明責任がない状況で繁栄した。我々は、かなりの部分が配布される前に陳腐化するだろうと知りながら、何百万部もの注文を喜んで受けた。もし、あなたが今でもそうした注文を受けているならば、顧客のマーケティング担当役員、あるいは顧客の事業自体に残された時間が少ないことを知らなければならない。マーケティングは今や測定の対象となる専門職であり、このことが最高マーケティング責任者(ChiefMarketingOfficer,=CMO)の平均在任期間を短くしている背景である。このように数値化が強く要望されることから、マーケティングのIT化も進んでいる。ガートナー社によれば、2017年までに最高マーケィング責任者(CMO)によるIT支出が、最高情報責任者(CIO)のIT支出より上回る見込みである。マーケティング専門家のIT化競争に拍車がかかれば、印刷の専門家も同じ道を辿ることになる。こうした状況は、印刷物にとって何を意味するのであろうか?我々はできる限り測定可能な要素を印刷事業に多く盛り込む必要がある。単純に製品を発送するような、発送センターで終わるサービスではいけない。マーケティング物流プログラムとして、自社の製品を提供するのだ(別の言い方をするとWebtoprintである)。物流にも参加することで、誰が何をいくつ、いつ発注したかを測定することが可能になる。これが測定競争である。受注がなかった商品は何か?、プログラムに全く参加していない地域はどこか?、これらはすべて、セス・ゴディン氏が「StopthinkingofthePaperastheProduct(紙を製品と考え