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26読者のプロファイルは広告主にとって純金並みの価値があった。広告枠とメーリングリストの貸出や、商品のセグメントに合わせたリスト加工能力がなければ、ダイレクトメールは成功しなかったであろう。しかし、インターネットによって始まったデジタルメディアが、こうした状況を根本から変えた。ソーシャルメディアサイトは、過去の収益モデルを進化させるために創出されたのではなかった。フェイスブックやその他のソーシャルメディアサイトを、ブランドや雑誌のように販売することについての誘惑は大きい。フェイスブックのユーザーは、自分が常連であるフェイスブックのページを通じて自分自身をカテゴリーに分類している。雑誌と異なり、ユーザーはフォームに記入したり代金を払ったりする必要はなく、ただページを訪問するだけで良い。これは、心理や行動に基づいて市場区分ができることを理由に、雑誌を信頼していた広告主に歓迎されたはずである。広告主あるいは情報発信者は、もはや印刷媒体スペースの買い手ではなく、ソーシャルメディアサイトの参加者になる必要がある点である。広告キャンペーンの場合、メッセージと画像を作成し、正確にいつどこで発表するのかを決定することで安心感が得られた。かつてはテスト目的以外で、ターゲットとする「情報の受け手」に関与する必要は全くなかった。しかし今コンテンツ制作者の仕事は、「情報の受け手」のニーズを満たすこと、また「情報の受け手」を維持したり育成したりすることである。事業の観点からは、取引に関る「情報の受け手」のリスクを軽減すること、またこうした取引を容易かつ便利なものにすることである。コンテンツ制作者という言葉を使ったが、これはかつて出版社だけの仕事であった。しかし、今はそうではないのだ。記事の見出しは忘れて、現実に起こっていることに目を向けよう。情報発信者にとって、得られた情報を収益化できるか否かは前世紀の問題である。企業の規模の大小を問わず、媒体が「教会の週報」であれ「スーパーボウルのCM」であれ、「情報の受け手」を明らかにして、集約し、捕えなければならないことは今も変わりはない。ソーシャルメディアでは広告スペースを買う必要がないが、他の媒体に比べてはるかに労働集約的であるが、収益は直ちに目に見えるものではなく、情報の発信者は信念と根気が必要である。これはメディアについての話、そして印刷業界の事業機会についての話である。クライアントがターゲットとする受け手が存在し得るところすべてに対応する戦略と努力が求められるため、インターネット以前の時代よりもコミュニケーションの負担は重くなった。物事は複雑さを増している。だからこそ、人々には我々が必要なのだ。先ずは、我々がそれを信じるべきなのである。新聞各社の連携による強力なデジタル折り込み広告の創出大手新聞会社の12社は、全国規模の広告主に対して、新聞の折り込み広告と同様の効果とモバイルと同様の双方向性・利便性を兼ね備えた新しいプラットフォームを提供し、eコマースの拡大を図ろうとしている。「ワンダフル・メディア(WanderfulMedia)」では、全国、地方および地域の広告に、友人やソーシャルメディアからの推奨コメントを追加することで、消費者を地域の商店に呼び込むことを目指している。このデジタルプラットフォームは各メディア企業それぞれの名前で提供され、インターネット、携帯電話およびタブレットから利用可能となる予定で、米国市場の80%以上に接続が可能だと同社は述べている。「消費者は折り込み広告が持つ発