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23「あなたはなぜあなたの仕事(業務)があるのか?」「それは、あなたの上司がキャパシティとしての問題で、自分でできない部分をあなたにしてもらうため、だからあなたの仕事があるのです。つまり、あなたは上司の延長線なのですね」「また、業者と部下の違いはありません。あるのは雇用体系が違うだけです。業者は基本的に言われたことしかやりませんから(笑)。たとえば、清掃をという場合、業者はスペース、時間、人月等計算して見積もりをします。ある日、みんなで集中して1箇所やって欲しいといっても、契約にないからできないといいます。もし社員にしておけば、部下は雇用体系が違う私の延長線ですので、私ができない部分を担ってくれますね」。「業者であれば、そうした契約事項を最初からしっかり契約書に書き込んで、やってもらうことをお互いの了解事項とすることにしなければなりません、それがアライメントです」「私の米国富士通時代の経験をお話しましょう。工場内の清掃を業者へ委託しました。コスト計算だけで十分な契約関係をしてなかったので、私の臨機応変な指示への対応ができませんでした。そのため、仕切り直しをして、ある人をスーパーバイザーとして社員の契約をし、私の延長線として対応してもらったところ、とてもよくやってくれました。廊下などピカピカになり、工場へ来るお客様からこんな綺麗な工場なら作られる商品も間違いないだろうと好印象を得ることができました。同じお金でも、使い方で効果がぜんぜん違うのです」「ただ、業者がだめで社員がいいということではありません。業者とは事前にコミュニケーションを十分重ねます。私の手足となって私の延長線で動いてもらうため、契約書に事細かに私の要望を書き入れて、事前のコンセンサスを得ることです。いずれにしても、目標をきっちり決めて改善するアライメントは、会社の成功にもつながります」「経営概念、アライメント、マイビルディング、MBWA(ManagementByWalkingAround)でチェックはしますが、具体的な情報をフィードバックしてくれる部下や業者を持つためには、コミュニケーションが大切なのです」人事の問題でファシリティ・マネジャーは数値に置き換えて提案していきます「人事問題でのファシリティ・マネジャーの役割も紹介しましょう。企業の経営者は基本的に会社の成功しか考えていません。何をするにしても、どこかで会社の成果へつながることを考えています。1人の従業員が辞めると言い出した場合、新たに従業員を入れるには、その中途でやめた人の年収が600万なら一人前になるまでには同じように600万のコストがかかると言われています。であるならば、辞めようとした人に200万払って辞めさせない方が安くなるのですね。人事問題では、こういう表現をしないと社長には伝わらないのです」。また、「会議にはファシリティ・マネジャーならこうした話し方をしましょう図2