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18トピックス自動車保険の米Progressive社では、保険加入希望者に専用のドライブレコーダを車内に設置し、ドライバーの運転状況を分析。加入希望者の運転パターンからリスクの度合いを判断し、そのドライバーの運転状況に合わせた保険プランを提案している。Progressive社は事故を起こしやすい層の保険を引き受けるリスクを低減させることができ、業績を伸ばすことができた。製造業のVestasWindTechnology社(デンマーク)は、風力発電機を設計・製造・販売する世界最大手であり、既に30年以上の歴史があり、67カ国で4万4500機の風力タービンを手掛けている。同社は、運用実績も重ねることで、風力発電を事業として成功に導くためのノウハウも蓄積している。そこで、データを解析し、風力発電事業者の経営に最適な設置場所を提案。発電機の製造・販売だけではなく、設置場所のコンサルティング事業を展開。ものづくりだけではなく「使い方指南」事業も立ち上げている。飲食業の「がんこフードサービス」は、産業技術総合研究所と共同で、仲居さんの動きをITで把握し、動線と人員配置を最適化するために分析システムを開発した。従業員に位置センサー、磁気センサー、ジャイロセンサーなどを持たせ、一人一人の導線を把握。これを元に従業員シフトや、厨房レイアウトの最適化を行なった。結果として利益率を10ポイント以上向上させた。小売業でインストアベーカリーのアンデルセンは、POSデータから過去の販売データを徹底分析して、販売パターンを推測し、このパターンと来店数予測値から、どの製品がどの時間帯に何個売れるかについて、目安を出す仕組みを開発した。欲しい商品をタイミングよく提供できるようになり、このシステムの導入店は1.1%売上が増加した。東大阪市にある中小卸売業の「ツルガ」では、2万種のねじ(既製品、特注品)を取り扱っている。利益率の高い特注品に注力するため、一般品のねじ販売はネット中心で開始した。このネット販売では「何が、どの業種で使われているのか」の動向を分析し、同様の属性を持つ顧客に営業をかける仕組みを作った。この結果、取り組みを始めた2003年度は1.2億円だった売上を2010年度には5億円にまで拡大させ、顧客数も40件から60万件に増加させた。石川県羽咋市では、衛星写真を用いて美味しい米を事前に安価で判別。美味しい米だけをまとめてブランド化して、通常出荷だと一俵1.3万円程度だが、ブランド米として出荷することで、一俵4.2万円で出荷している。そして、ついにはこのブランド米をローマ教皇に献上するまでになった。電子書籍AmazonKindleは、「電子書籍上でハイライトされた箇所」に関する情報をクラウド上に集約・共有し、読者にデータの閲覧(下り)だけでなく、読者からデータを吸い上げ(上り)活用して、「みんなの興味」を集約。そして、ポピュラーハイライトとして提供している。富士ゼロックスはデジタル複合機に搭載された100〜150のセンサーで捕えたデータをメンテナンスセンターに送り異常を発見するシステムを構築した。この結果、故障発生時に的確な部品と対応が取れるようになり、故障予知を含めて対応時間を30分削減している。今までの事例から分かることは、ITを使った(ITを使ったと言うよりは「情報」を使う)変革には二つの方向性が見出せる。その一つは「今の事業を改善しよう」この事例として「がんこ」「アンデルセン」「羽咋市」「富士ゼロックス」が挙げられる。もう一つは「新しい事業・サービスを起そう」この事例は「Progressive社」「Vestas社」「ツルガ」「Amazon」になる。