■ページ本文テキスト■

26■2012─2013年進路の設計PIA(米国印刷連合会)特別報告書より印刷企業にとっての印刷市場は数十年間にわたって劇的に変わってしまいました。「プリント・オン・ペーパーPrint-on-Paper紙への印刷」は印刷産業の「要石keystone」として存続した状態ではありますが、「印刷企業」は次第に「情報伝達コミュニケーションサービス提供者」であるプロバイダー(communicationserviceprovider)に変化し、そして、統合インテグレイテッドメディア業(integratedmedia)へと進化しています。印刷市場の拡大は、新しい印刷業のビジネス環境を創出し、挑戦の機会を拡張しました。マクロレベルでみると、印刷産業の経済実績は大規模で、多様性に富み、そして起業家精神と成長性、収益性の機会に満ち溢れています。同時にこの競争的な環境の中で、印刷企業間同士で、さらに印刷メディアと他のメディア間で、熾烈な挑戦が続いています。PIAの「印刷業」の定義には「印刷業・同関連産業:CommercialPrintingandRelatedSupportActivities;EconomicCensuscode323」と、「印刷関連メディア業:Print-RelatedMedia;EconomicCensuscode511」を含んでいます。また、印刷関連メディア業は、新聞業、定期刊行物出版業、書籍出版業、ディレクトリ(名簿・住所録)発行、DMリスト制作、グリーティングカード発行等、直接的に印刷と関係がある分野を含んでいます。2011年米国印刷業の合計の経済実績として、年間出荷額は1,580億ドル強、事業所数は約48,000事業所、従業者数は100万人弱です。そして、年間に新入社員を約50,000人雇用しています。印刷産業は、米国内で最も地理的に分散した産業であり、50州のすべてにおいて重要な製造業として存在しています。さらに企業規模についても、大、中、小と多様です。直近の2年間を振り返ってみると、印刷業・同関連業(NAICS323)の出荷額は2011年に+0.4%と微増しましたが、印刷関連メディア業(NAICS511)は、2011年に4.9%の減少となりました。事業所数と従業者数は、両区分(NAICS323と511)ともに低下しました。事業所当たりの従業員数は、印刷業では増加し、印刷メディア業では減少となったが、全印刷業でみると変化はありませんでした。2012年は国政選挙のプロモーション用DMが数億ドルも印刷市場を引き上げました。しかしながら経済の低成長とデジタルメディアの猛烈な競争によって、印刷市場の成長は押しとどめられました。雑誌と新聞が、特に大きな影響を受けています。2012年、デジタル広告費は初めて印刷広告費を上回りました。たとえば、Newsweek誌はすべて電子版とすることを決めました。2010年会計年度は、年間を通じて景気が回復した最初の年でした。2011年は回復を加速しつづけ、高い利益率をはぐくみ続けました。その結果、景気後退の「二番底」といわれる、景気後退に逆戻りする危機を追い払い、景気の下降に終止符を打ちました。2012年の経営指標で報告されたように、調査に参加した企業の税引前の営業利益率は1.8%でした。この数値は、前年の平均1.4%から0.4%の増でした。調査に参加した全企業の11年間の平均利益率は1.76%ですから、今年の利益率は過去11年間の平均を超えたことを示しています。また、NAICScode323で定義された印刷業・同関連産業の2011年会計年度での利益総額は約15億ドルで、前年の約12億ドルを超えています。経営指標調査に参加した企業のうちで「欠損」と報告したのは33%でした。2010年の38%、2009年の55%から改善されています。規模別収益性収益性は企業の規模によって大きく変わります。一般的な傾向としては、規模の小さい企業よりも、規模の大きい企業の方が、収益性は高いといえます。年商・規模別に注目してみると、年商1,000万ドル以下の企業では、税引き前営業利益率は2%以下です。主要コスト項目の考察印刷企業の総製造コストは77.9%で、前年よりも