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39.日本フォーム印刷工業連合会のアンケート調査では、新規事業の立ち上げ時に取り組むべき項目について聞いている。この回答から「人材の育成」や「社内新組織の立ち上げ」などの「短期対策」は見てとれるが、業務提携や、合併や、買収などの「長期戦略」を取り上げている企業は多くありません。ウエブ博士も述べておりますが、新規事業は社内組織ではなく別会社等、独立した起業意識で臨むことがもっと必要と思われます。日本フォーム印刷工業連合会主催のセミナーでも一部紹介致しましたが、欧州印刷産業連合会であるIntergrafと欧州印刷関連労働組合が、欧州印刷産業に於ける市場状況を改善するために共同で取り組んだプログラムを2010年に出版しています。社会・市場環境を見つめ直し、必要な業態変革や企業のスリム化を推進するためのガイドライン等の作成が、日本の団体でも求められているように思います。次に、新しいビジネスの取り組みで重視すべきことは、印刷市場の現実をしっかり見ないと、新しい需要は見えてこないと思います。同じ物を見ても、問題を発見する人もいれば、問題を問題として捕えることができない人もいます。同じ物差しや、いつも同じ仲間との交流では、「問題の改善」はできても、「問題の発明」は難しいように思います。商品やサービスや技術開発の前に、何が問題かを発見し、商品やサービスを通じて、新しい文化を創造すること。そして商品やサービスの機能に注目するのではなく、顧客にとって価値ある提案を重視すべき、と「新しい市場のつくりかた」の著書で経済学者の三宅秀道氏は述べています。次に私たちが身に付ける必要がある事項として、ナレッジファシリテーションによる「見える化」への取り組みを紹介したい。各人の持っている暗黙知を共有化して、市場や顧客の状況、さらに自社の状況を「見える化」し、ものの本質を捕え、アライメントを取りながら、まとめていく能力を身に付けることは、重要であると思います。ここで質問です。WebtoPrintの本質はと問われると、貴方はなんと答えるでしょうか。……「安売り印刷通販」?いえ「印刷会社としてのセルフサービス」と捕えるべきと思います。ウォシュレットの開発への取り組みは……改善や技術の開発に留まらず、問題を発明して、お尻を洗うという文化を作り上げたことにあります。図20図21図22図23図24