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27マーケティング・ミックス*における印刷としての役割の変化は、印刷産業に重大な影響を与えています。印刷がマーケッターのために、重要な構成要素であった間にも、印刷は「予算的な配分」と「心情的な支持」の両方を失っています。たとえばNPES**による最近の調査・研究では、北米のビジネス・情報伝達経費の中での印刷の役割は、2007年の60%から、2015年には35%に減少する」と述べています。マーケティング・ミックスが変化したように、印刷発注者の仕事も変化しました。多くの企業で印刷物について発注の権限を持った「印刷発注者」が今も存在しています。しかし、組織の中で主要な機能の存在ではなくなっています。印刷物の発注という仕事は、大きなプロジェクトの中で小さな一部分を担当する部門になり、外注先等の専門家であるマーケッターの仕事になりました。さらに、印刷物の発注方法も変化しています。印刷物のオンライン発注は、直接印刷企業に発注するのと同じように、企業のポータル・サイトを利用して発注されています。これまでのセールスポイントは、価格(料金)、品質、そして配送でしたが、今日の印刷発注者にとって、もはやこれらの事項は重要性を持っていません。これは既定の事実です。長年の関係と経験が貴重であった顧客にとって重要であっても、新しい顧客は同じようにこれらの事項に関心がないのかもしれません。この新しい環境で成功するためには、印刷企業はこの転換を理解して、順応しなくてはなりません。これからの新世代の印刷発注者が求めているものは何でしょうか?「付加価値サービスに興味を持っているのでしょうか?もし、そうであるなら、どんなサービスですか?」「発注者は印刷関連の仕事にどれだけの時間を割いて使っていますか?」「発注者は、印刷物の発注のほかに、どんな責任を持っていますか?」「発注者が扱っている印刷物の予算は、これまでの3年間でどのように変わり、これからの3年間で変わろうとしているものは何ですか?」。新世代の印刷発注者に:印刷発注者とは「何者」であり、求めているものは「何」か、印刷企業がやるべきことは「何」か等を探るために、印刷物の発注を担当している315人の専門家にインタビューしました。印刷企業での仕事の仕方調査した、殆どの印刷発注者にとって、印刷物の発注に関わる仕事は重要な位置を占めています。調査対象の半分以上の人たちは印刷物を作成する印刷会社の選定に、また、20%の人たちは、発注価格(料金)の交渉に責任を持っています。さらに、大半の印刷発注者は複数の印刷会社を担当しています。ある時には、これらの印刷会社に仕事を分担して発注するといったタイプの仕事もしています。調査対象者の中で担当する印刷会社の社数は6社〜10社で、多くは3社程度を担当しています。求めているものは「何」か私は「紙に記号を印す」ような印刷会社から、マーケティング・サービス・プロバイダーと呼ばれるようになるために、印刷企業が変身する必要があることを、数年前から多くの著作で主張し続けてきました。そこで、調査対象の印刷発注者に尋ねました。価格(料金)、品質、納期などが類似したとき、次に求めるものは「何」ですかと。それは「啓発」の姿勢でした。「どのように印刷(物)を使うべきか」について、印刷会社は新鮮なアイデアを顧客に提供することによって、顧客とのビジネスを盛り上げる必要があります。このことは、印刷会社が顧客の取り組んでいるビジネスについて気にかけていることで新世代の印刷発注者とは!訳注*:MarketingMix;マーケティングの構成要素(エレメント)を有機的に統合することである。マーケティングの構成要素として、E.J.マッカーシーは4P(product,place,price,promotion)を指摘している。訳注**:NPES;母体は1933年に設立された、NationalPrintingEquipmentAssociation。現在はTheAssociationforSuppliersofPrintingTechnologiesという。