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13夏季講演会「新しい市場のつくりかた」に学ぶ日本フォーム印刷工業連合会は、夏季講演会を8月21日、ホテル椿山荘東京で開催し、定員を超える約150人が出席し、三宅秀道専修大学経済学部准教授が、これまで1,000社近くの企業を取材した経験をもとに書かれた著書「新しい市場のつくりかた」を中心に講演した。三宅氏は、メーカーの商品開発が技術競争に陥りがちな点について問題提起し、「技術はあるのに新しいビジネスを起こせていないメーカーが多い。高い技術こそがものの価値であるという思考がそうさせている。しかし、物の価値と性能は別。技術的に優れているからといって、お客さんが価値を感じるとは限らない」と指摘した。例として三菱重工業の人工衛星用高性能ジャイロセンサーがイタリアの高級クルーザーに採用されたことを挙げ、「クルーザーのメーカーは『港で船上パーティを聞く際にワインがグラスからこぼれないよう、揺れない船をつくりたい』というニーズを持っていた。三菱重工が考えもしなかった用途だった。クルーザーの上でパーティをするという文化がそこにあったからこそ生まれたビジネスチャンスだ」と、技術が業務委員会主催生かされる素地としての「文化」の重要性を強調した。文化に応えられる商品を生み出すヒントとして「問題意識を持つことが大切だ」と指摘し、「問題とは『発見されるもの』ではなく『発明されるもの』。技術者など理系の人は『すでにある答えを探す』という思考になりがちだが、最初のステップである『問題意識は人間のクリエイティビティ』の成果で、科学ではない」と話した。そのうえで、歯ブラシメーカーのファインが開発した「首が曲げられない人でも飲みやすいカップ」の実物を示しながら、「このカップは技術的に特異性があるわけではない。鼻が引っ掛からないよう、単にコップの淵を切り落としてあるだけ。『首を曲げられない人は、普通のカップでは飲み辛らそう』という問題意識が新しい価値を生んだ」と説明した。また、文化を自ら作り出し、新しい市場を生んだ例として、おむつカバーのメーカーだったフィットマークがニーズの変化を読み、小・中学校での水泳教育にスイムキャップを普及させた実績を取り上げた。「このメーカー