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33利用して優位に立てるようにならないといけないのです。統合への挑戦多くの合併や買収が失敗するのはたいてい企業文化の相違が理由です。兵隊が協力して一緒に働かないとものごとは動きません。WorldColor社を買収して分ったことは、生産現場レベルに素晴らしい文化があることでした。それはQuad/Graphic社の企業文化とさほど遠いものではありませんでした。WorldColor社は買収によって大きくなっていった会社なので、各々の工場には元の会社からあった文化が育まれていて、それは製造中心でした。WorldColor社の従業員は、全体を網羅する企業文化を欲していて、弊社の企業文化が、彼らの生産現場レベルがもともと持っていたものと酷似していたことが、大きく幸いしました。ただ、統合は楽というものから程遠いものです。人々を繋げ、システムを統合させ、方針や手順など山積する課題を時間と労力をかけて解決していかないといけないのです。そこで、私どもでは社員教育にかなり投資しております。「Quadの中でのリーダーとなるには」というマネージャークラスの社員のトレーニングプログラムを実施しています。新しいマネージャーと、長年働いてきた人たちを混合させて、社内でどのように仕事が進められていくかを教え、それをこなすにはどうするかを教えます。本当に人中心のプログラムです。社員教育は、そうでなくてはなりません。「私たちは印刷会社です」今日のQuad/Graphics社について私どもは、勝ちたい人、学びたい人たちによって、強い文化を持っています。Quadは、学ぶ会社と言ってよいでしょう。新境地を切り開くため、新しいもののやり方をゼロから築きあげてきたと自負しております。例えば、Quad/Graphics社にQuadMedという医療事業があります。1991年に、医療費がうなぎ登りになっていた時に、私の父は、多くの従業員の健康を自分たちで管理することができないかと考えたのです。これにより、業界内では、かなり安い費用で自社の従業員に医療を提供できるようになりました。今は、Quad社員以外に30万人の患者がいます。私たちは、業界外の企業の従業員にQuad同等の健康管理を提供しているのです。QuadMedは極端な例ですが、私どもが印刷企業であることは、疑う余地はありません。今日、私たちが始めたさまざまな新しい事業は、印刷会社であるからこそ、進出したのであって、脱印刷ではありません。マルチチャネルの世界で、印刷物の使われ方にもっとインパクトを与えれば、全体的に私たちが提供する製品が強くなっていくと思うのです。私どものデジタル事業は、多分印刷事業より大きくならないでしょう。売り上げの差が大き過ぎるからです。けれども、私どものコアの事業を健康体にするには、デジタルが欠かせないのです。両方を扱いながら、必要に応じて、印刷から電子へと移行していけばよいのです。パッケージに進出できたのも、医療事業に進出できたのも、それについて一生懸命に学び、その事業で抜きん出ることができたからです。それは、勝ちたい人、それを継続させていきたい人達によって、文化を持つことなのです。私どもは印刷会社です。ご存知かと思いますが、私は現場の従業員と同じブルーのユニフォームを着ています。CEOが現場の人たちと同じユニフォームを着ていることは、製造の現場主義の文化が、組織全体に根付いていることを意味するのです。PODiJAPAN翻訳協力:MitchellShinozaki