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  「平成26年度夏季講演会」講演録 (平成26年8月21日開催)
「新しい市場のつくりかた――市場創造と新文化開発」
(1)
       講師 専修大学経済学部准教授 三宅 秀道 氏

皆さま、はじめまして。きょうは、よろしくお願いいたします。専修大学の三宅でございます。
講師の三宅秀道氏
きょうは、私、本などを出させていただいて、そのときお世話になっている印刷とは、ちょっとずれるかもしれませんが、でも、ご縁がある業界ですから、きょう入口のところで拙著をお買い上げくださったそうで、本当にありがとうございます。  
あの本、一昨年の秋に出しまして、それ以来、この出版不況の世の中の割にはそれなりにご好評いただいているそうです。東洋経済からときどき褒めてもらいます。本を書く前は、行くと会議室に通されて、「はい、このゲラ直して!」と怒られたのですが、本が出てからは、石橋湛山の銅像がある応接に通していただくようになって、ちょっとよかったなと思っております(笑)。  
お手にとって見てくださっている方もいるようですが、最初のときは、私がお世話になった東大の先生に「本の帯」に推薦の言葉をいただいていたのです。それが、本を出してしばらくしたら、本当にたまたまなんですが、コピーライターの糸井重里さんが読んですごく気に入ってくださったようで、それで糸井さんが気に入ってくださったなら、糸井さんに推薦の言葉をもう一度いただいて、帯をつくり直して、もういっぺん新刊みたいな体裁で出しちゃえと東洋経済が企んで(笑)、だいぶ本屋さんにあった在庫を埼玉のセンターに戻して、アルバイトの人が一生懸命前の帯を取って新しい帯に巻き替えてもういっぺん出したら、なんか本屋さんも新鮮な気持ちでもういっぺん売ってくれて、非常にいいなんていうことで、そういうドロドロした内幕も出版社が聞かせるんですね。だからおまえ、気合い入れて売れよということだと思うんです。
帯も、糸井さんの言葉が入ったので、「気合い入れてカラーでつくったら、何万円か分余計にモノクロの帯よりかかったから、わかっていますね」と言われて、それで一生懸命やろうと思っておりますというのも、ちょっとあれですが……。  
私、あまり一般的なというか、経営学の本流のほうは全然歩けておりませんで、「ちょっと三宅って、変なやつだよね!」と言われながら研究してきました。でも、おかげさまで、この本に書いてあるような研究をしていると、ちょっと、ああ、ユニークなことを言うやつじゃないか、もしかしたらこれからの時代、こっちの方がありかもしれないな、なんていうことをおっしゃる方が増えてきたので、くれぐれもきょうの話が経営学の本流とは思わないでください。ただ、ちょっと変なやつが言う話ですが、おもしろく聞いていただければと思います。
この本を書いている途中でも、おかげさまでいろいろな縁があって、例えば愛知のほうである企業の方たちを前に講演する機会がありました。そのころは、本を書きかけですから、もうこの本に書いてある内容を講演で盛り込んだのです。そうしたら、三菱重工の方が、「いや、きょうは興味深い話を聞けてよかったです」と、名刺をくださったのです。そのときどういうことを聞いたかといいますと、三菱重工の方が話してくださったのは、まさに三菱重工のような名門、しかもその方は愛知県の尾張小牧のところの三菱重工宇宙航空ユニットという部門の方でした。
ということは、昔、ゼロ戦をつくっていたところです。ですから、技術的にはものすごく抜きん出た、そこが持っている技術はもうだれも文句の付けようがない高度なものです。ですから、技術では他の会社に負けるわけがないのです。でも、経営的に課題を感じているのはどういうことかといいますと、三菱重工さんがこのところちょっと新しい事業を起こせていないということでした。  
30年くらい前に、造船の事業部からボイラーの事業を切り出して、それは発電用ボイラーとか、新しい事業になったそうですが、それ以来、ちょっと主だった新しい事業を立てるほどの大きいニュービジネス、ニューマーケットをつくれていないことが悩みだったそうです。今でも悩んでいらっしゃるのだと思います。
三菱重工になりますと、もう百何十年の歴史がありますから、山谷をいろいろ越えてきているわけですから、単に一つのビジネスで食べていけるものではないということも身に沁みてわかっている。だから、ときどきは、今まで全然自社が考えてもいなかったような新しいビジネスも起こして行かないと、長い目で生き残ることはできないということは、もう重々承知なのですが、でも、それがどうやったらできるのか、ということがちょっとわかりにくくなっているときに、私の話を聞いておもしろがってくださったのです。  
でも、そういう三菱重工でも、ときどきは、新しい事業を起こすことでなくても、新しい市場をつくるきっかけになるようなエピソードがあったので、それを聞いたのです。
皆さま、ジャイロセンサーというものをご存じでしょうか。ジャイロセンサーというのは、物体が高速度回転運動をしていますと、お正月なんかに遊ぶコマがそうですが、一定方向に向く作用があります。それを利用して、例えば船とか飛行機、浮いたり飛んだりする物体にそのジャイロセンサーを乗せると、ずっと同じ方向を向こうとする働きから、方向を指し示すことができる。それを利用して、例えば飛行機が飛びながらでも、今どっちに向いているのかわかるというような機能のセンサーがあって、三菱重工はそのジャイロセンサーを、宇宙開発事業団(JAXA)に頼まれてものすごく高性能のものをつくったそうです。
もう技術の粋をこなして三菱重工が、ゼロ戦以来の技術を使って人工衛星用のジャイロセンサーをつくりました。ものすごい高性能です。それは無事にJAXAにも採用されて、日本の種子島で打ち上げる人工衛星にも乗った。  
それはものづくりとしては成功ですが、事業としてはどうなんだろう、という反省があったそうです。なぜかといいますと、何しろモノは人工衛星ですから、1年に多くてもいくつかしか使わない。そんなにスッポンスッポン打ち上げない。そうすると、ジャイロセンサーの数が出ないわけです。人工衛星の数が出ないから、それを乗せるジャイロセンサーも数が出ない。ということは、巨額の開発費用をかけてせっかくつくったジャイロセンサーが、商品としてはあまり売上にならない、ということになります。三菱重工というのは、伺うと、そういうことが多いそうです。技術の粋をこなして、ものすごくいいものをつくったけれども、それは数が出ないから商品としては、あまりおいしくない。  
でも、このジャイロセンサーの場合には、たまたまちょっと違った出会いがあったそうです。どこかといいますと、イタリアにフェレッティ社という、高級ヨットとかクルーザーのメーカーがあるそうです。ヨットとかクルーザーとかというのは、安いのでも何千万とかします。クルーザーでは億とかします。今、皆さまに「クルーザーをお持ちの方、手を上げていただきたいんです」とやっても、恐らくほとんど上げられないと思いますが、私もそうです。そういう世界にはちょっと疎かったのですが、そのフェレッティ社というのは、世界有数の高級クルーザーのメーカーだそうです。そこが何かのきっかけで「三菱重工がものすごく高性能のジャイロセンサーを開発した」という話を聞いて、引き合いにきたのだそうです。  
「うちがつくっている高級クルーザーに三菱重工がつくった超高性能ジャイロセンサーを乗せさせてくれないか」と。それで、ああ、そういうところにも使ってもらえるなら、人工衛星よりは数が出るだろうから嬉しいなというので、「いいですよ」ともちろん言って、「いや、弊社のジャイロセンサーは非常に性能がいいですから、御社のクルーザーが例えば大海原をカーッとかっきって曳航しているときも横から波が来ても、それをある程度セットオフするくらい、波の揺れを減らせるくらいものすごく性能がいいので、どうぞ乗せてください」と言ったら、フェレッティ社の人が「いや、そういうときにはお宅のセンサーは使いません」と言ったそうです。  
三菱重工の人は驚きまして、「じゃ、うちのセンサーを乗せて何に使うんですか」と聞きましたら、クルーザーが波をかっきって走っているときではなくて、港に停泊しているときに使うというのです。  
どういうことかといいますと、何億もするようなクルーザーですから、オーナーは当然大金持ちです。大金持ちが例えばヨーロッパの地中海クルーズなどをやっていて、ナポリの港に自分のクルーザーを留める。そのクルーザーの中のパーティルームにお友達を呼んでワインパーティかなんかをする。大金持ちですから、当然ワインだって何百万するようなものを飲むのでしょうけれども、船の中のパーティルームでリラックスしてゴージャスな気分でワインパーティを楽しみたいときに、グラスにワインを注いだとき、「注いだワインの水面がピタッと止まるようにしたい。そのときには御社の高性能なジャイロセンサーが必要なのだ」とフェレッティ社の人が言ったそうなんです。  
三菱重工の人は、自分のところのジャイロセンサーがそんなことに使われるとはと驚いたそうです。私もそれを聞いて驚きました。だって船の上ですからね。いくら泊まっているとはいえ船の上ですから、そこまでピタッと止めなくたって、それだったら陸の上で飲んだらいいじゃないかと思うのですが、でも、やっぱりクルーザーでパーティしたい、と。そのときに、クルーザーだからといってゆらゆら揺れているようでは、お金持ちは満足しないのだそうです。泊まるときはピタッと止まってほしい、と。私なんか貧乏性ですから、せっかく高いワインを飲むのだったら、ちょっと揺れているほうが早く酔って経済的ではないかと思うのですが、そういうことはお金持ちは思わない。
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