リサイクル対応型印刷物
リサイクル対応型印刷物


リサイクル対応型印刷物とは


古紙リサイクル適性ランクリストにより、リサイクルにおいて阻害要因となる資材とならない資材が明確にされました。資材ごとの阻害性が明確にされたことにより、リサイクル対応型印刷物は大きく「リサイクル適性A」と「リサイクル適性B」に分類されます。

リサイクル適性A:印刷用の紙へリサイクルできます。

古紙リサイクル適性ランクリストのAランク資材のみを使用して製作されたリサイクル対応型印刷物が「リサイクル適性A」です。古紙になった場合、印刷、情報用紙向けの製紙原料として使用が可能です。
古紙利用率目標64%を達成するためにも、「リサイクル適性A」の製作、分別・回収、リサイクル利用の仕組みの確立は、重要な意味を持っています。

板紙へリサイクルできます。

「リサイクル適性B」は、古紙リサイクル適性ランクリストのAランクとBランクの資材のみを使用して製作されたリサイクル対応型印刷物です。古紙になった場合、「板紙」向けの製紙原料として使用が可能です。
「リサイクル適性B」の特徴は、リサイクルを阻害するCランク、Dランクの資材が、使用されていないことが明確な点です。これにより、古紙としての最低限の品質を確保することができます。


リサイクル対応型印刷物の概念
 

 
では、リサイクルを阻害しない印刷資材とは、どのようなものがあるでしょう
印刷物製作の企画段階からリサイクルに適した印刷資材を選択することができるように、紙、インキ類、加工資材などの資材ごとに阻害性の明確化、リスト化を行ってきました。

古紙リサイクルへの適性、阻害性のランクづけ
下表の古紙リサイクル適性ランクリストとは、印刷物の製作で使われる資材を古紙リサイクルへの適性ごとに、A~Dのランクで示したものです。
Aランク 紙、板紙へのリサイクルにおいて阻害にならないもの。
Bランク 紙へのリサイクルには阻害となるが、板紙へのリサイクルでは阻害にならないもの。
Cランク 紙、板紙へのリサイクルにおいて阻害になるもの。
Dランク 微量の混入でも除去することが出来ないため、紙、板紙へのリサイクルが不可能になるもの。

古紙リサイクル適性ランクリスト (平成21年3月18日改定)
 
【Aランク】
紙、板紙へのリサイクルにおいて阻害にならない
【Bランク】
紙へのリサイクルには阻害となるが、板紙へのリサイクルには阻害とならない
【Cランク】
紙、板紙へのリサイクルにおいて阻害になる
【Dランク】
微量の混入でも除去することが出来ないため、紙、板紙へのリサイクルが不可能になる

普通紙
アート紙/コート紙/上質紙/中質紙/更紙
加工紙
抄色紙(A)/ファンシーペーパー(A)/樹脂含浸紙(水溶性のもの)
加工紙
抄色紙(B)/ファンシーペーパー(B)/ポリエチレン等樹脂コーティング紙/ポリエチレン等樹脂ラミネート紙/グラシンペーパー/インディアペーパー
加工紙
抄色紙(C)/ファンシーペーパー(C)/樹脂含浸紙(水溶性のものを除く)/硫酸紙/ターポリン紙/ロウ紙/セロハン/合成紙/カーボン紙/ノーカーボン紙/感熱紙/圧着紙
加工紙
捺染紙/昇華転写紙/感熱性発泡紙/芳香紙

インキ類
通常インキ
凸版インキ/平版インキ(オフセットインキ)/溶剤型グラビアインキ/溶剤型フレキソインキ/スクリーンインキ
通常インキ
水性グラビアインキ/水性フレキソインキ
特殊インキ
リサイクル対応型UVインキ/オフセット用金・銀インキ/パールインキ/OCRインキ(油性)
特殊インキ
UVインキ/グラビア用金・銀インキ/OCR UVインキ/EBインキ/蛍光インキ
特殊インキ
感熱インキ/減感インキ/磁性インキ
特殊インキ
昇華性インキ/発泡インキ/芳香インキ
特殊加工
OPニス

加工資材
製本加工
製本用針金、ホッチキス等/難細裂化EVA系ホットメルト/PUR系ホットメルト/水溶性のり
製本加工
製本用糸/EVA系ホットメルト
製本加工
クロス貼り(布クロス、紙クロス)
表面加工
光沢コート(ニス引き、プレスコート)
表面加工
光沢ラミネート(PP貼り)/UVコート、UVラミコート/箔押し
その他加工
リサイクル対応型シール(全離解可能粘着紙)
その他加工
シール(リサイクル対応型を除く)
その他加工
立体印刷物(レンチキュラーレンズ使用)

その他
異物
粘着テープ(リサイクル対応型)
異物
石/ガラス/金物(製本用ホッチキス、針金等除く)/土砂/木片/プラスチック類/布類/建材(石こうボード等)/不織布/粘着テープ(リサイクル対応型を除く)
異物
芳香付録品(芳香剤、香水、口紅等)

リサイクル対応型印刷物への取組み

21世紀は環境の世紀と言われ、地球温暖化防止や循環型社会形成といった持続可能な社会づくりに向けて関係各主体が連携し、
一体となった取り組みが求められます。

紙リサイクルの意義と目標

古紙は、日本全体の循環資源の1割を占める重要な資源です。2007年、製紙原料に占める古紙の割合(古紙利用率)は、61.2%で、ごみの減量化だけでなく、森林資源の保全、地球環境の保全に貢献しています。現在、資源有効利用促進法にもとづき、2010年度までに古紙利用率を62%に向上させる目標が設定され製紙業界、古紙業界を中心にその達成に向け、取り組んでいます。(その後、2008年度に62%を達成し、新たに2015年度目標64%が設定されています。)

紙リサイクルの意義と目標


「紙」から「紙」へのリサイクルが求められています

古紙の用途は、段ボールや紙箱(白板紙)などの「板紙」向けと、新聞用紙や印刷・情報用紙などの「紙」向けに分けられます。それぞれの古紙利用率は、「板紙」が92.9%と非常に高く、今後古紙利用率の向上余地は少ないのに比べ、「紙」は39.2%に留まっています(2007年)。 古紙利用率62%(新目標64%)を達成するには、「紙」分野の古紙利用率の大幅な向上が必要です。そのためには、出版物などに使用される印刷・情報用紙をもう一度、印刷・情報用紙向けの製紙原料として回収・利用できるようにすることが大切です。

紙から紙へのリサイクルが重要


リサイクル対応型印刷物の普及が鍵

用紙、インキ、製本や表面加工、シールなど印刷資材の中には、製紙工程でトラブルの原因になるものや、製品(紙・板紙)の品質に影響を及ぼすものがあります。 そこで関係業界が協力して、リサイクル阻害性を克服した資材の開発、評価方法の確立に努め、普及を進めてきました。今後は、リサイクルを阻害しない資材だけを使って、まるごとリサイクルできる印刷物(リサイクル対応型印刷物)を普及させることが重要です。

リサイクル対応型印刷物の普及が鍵


印刷物制作の企画・設計段階から、関係者の協力が必要

リサイクル対応型印刷物を製作するには、企画・設計段階でリサイクルに適した仕様を設計することが、非常に重要です。そのためには、発注者をはじめ印刷物製作に関わる、デザイナー、印刷・製本会社、資材の製造メーカーの協力が不可欠です。 不要になったリサイクル対応型印刷物が、きちんと回収されることで、印刷・情報用紙向けの製紙原料の確保が促進されます。

印刷物制作の企画・設計段階から、関係者の協力が必要



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