きに、町の発明家を応援してくれる団体があるというのを知りました。この団体は発明学会といいますが、今も新宿にあります。そこに入会しまして、事業化セミナーという通信教育を受けました。それで、ほかにもアイデアがいくつかあったので、それを順番に企業に売り込んでいったのが、最初のきっかけです。
どういった発明品が売れていたかというのは、会社内容の中にこういった資料が入っています。こちらをご覧いただきますと写真が出てきますが、そのころ、いろいろな発明品がいくつかあって、売り込んでいったところが書いてあります。
発明ということを、最初にご紹介させていただければと思います。
発明というのは、よくテレビに出て、一攫千金とかやっていますが、発明はどうやってお金になるかご存じの方いらっしゃいますか。
あまり皆さんご存じないと思うのですが、発明には、大きく分けて二つ儲ける方法があります。
一つは、自分で特許を取って、企業に権利を貸し出してロイヤリティをもらうというモデルと、自分で発明品をつくって売り出す、この二つのモデルがあります。それを複合的に合わせるような方法もありますが、私は、ロイヤリティを取って企業に権利を売るというのを目指して始めました。
実際にどうやってお金を稼いでいくかというと、ロイヤリティの考え方は、この名刺入れが例えば1,000 円だとしたら、ロイヤリティが発明者にいくら入るかといいますと、卸で500 円だとしたら、3〜5%が発明者に入る。これがロイヤリティになります。ですから、500 円で卸をしていただいて、いい交渉ができて5%のロイヤリティがもらえる場合、発明者に入るお金は、25円になります。500 ×0.05です。
そのなかで大事な考え方は、それを何回転させるかということです。発明品は3,000 、5,000 、7,000 、1万というロットで物をつくります。
これを例えば1回が5,000 ロットだとしたら、5,000 ×25円で、12万5,000 円が発明者に入るロイヤリティの金額になります。これを年間、何回転させるというのが、発明者にとって大事な考え方です。
世の中には、耐久消費材と消耗消費材と呼ばれるものがありますが、耐久消費材というのは、例えば金槌とか鋸、そういう一回買うとしばらく売れないようなもの、そういうものを「耐久消費材」といいます。それに対してストッキング、ヘアバンド、ビニール袋、そういうものはどんどん消耗されていくので「消耗消費材」と呼ばれています。
発明者のねらうのは消耗消費材です。どんどん消耗をして、どんどん回転するもの、いくら自分で頑張って特許を取って出すときに、いろいろな考え方があるのですが、自分で特許を取って弁理士に頼まなくても、最低でも3万8,000 円の特許の印紙が必要です。弁理士に頼むと20〜30万円を取られるので、それで10万くらい儲けてもしょうがないので、それを年に何回転させるかというのは、それが発明者にとってすごく大事な考え方です。ですから、5,000 ロットで年に1回しか回転しなければ12万5,000 円。10回転すれば125 万円が発明者のところに入ってくるわけです。ですから、発明のものをつくるときは、なるべく消耗消費材で回転率のいいものをつくる。ロイヤリティを高く交渉する。というのが考え方です。
それに対して自分でつくって売るというのがあります。よくテレビで、何十億儲けましたといっているのは、大体こちらのタイプの方で、自分でつくって自分で販売します。ですから、この売値を自分で決めることができますので、それは売れなければしょうがないですが、ハイリスク・ハイリターンです。すごく頑張って桶をいっぱい作ったけれども、部屋じゅう桶だらけ。よくそういう発明家がいるのですが、そういう人は自分でつくって売ろうと思って、売れないとそういうことになりかねません。
私が目指したのは前者で、女性の方が多いのは、ロイヤリティを貸し出すというのが割と現実的というか、利益が少ないものですから趣味でやっている方も非常に多いと思います。
発明を保護する知的所有権は全部で4つ種類があります。皆さんご存じだと思うのですが、一つは特許です。あと実用新案、商標、意匠というのがあります。
特許は非常にハードルが高いのですが、実用新案は、テレビショッピングなどで、「実用新案何番」と書いてあったりします。すでにあるものを集めて改良を加えたら、実用新案になります。
それに対して、意匠というのは、デザインです。グッドデザイン賞というのがあります。何か素敵なシューズなんかのグッドデザイン賞、よくGCというのがあります。
あと、最後に商標というのがあります。商標は名前です。これも商売にしている方が全国にたくさんいらっしゃいます。例えば靴下で「通勤快足」とかありました。あと「阪神優勝」というのを商標で取った方もいらっしゃったり、「ホリエモン」が、自分の名前で商標を取られております。「ドコモ」という名前は、商標を持っているのは普通の素人さんです。年間4,000 円くらいの商標料をドコモはその人に払っています。商標だったら、ビジネスをやっている人は多い。
一昔前に「ルーズソックス」というのがはやったのですが、この「ルーズ」というのを全部つけて、「ルーズスカート」とか「ルーズパンツ」とか、「ルーズ」というのを全部抑えてしまっている人がいます。案の定、「ルーズフーズ」という言葉が次の年に出たときに、「ルーズフーズ」という商標を使おうとしても、「ルーズ」という言葉を抑えられていて、何にも使えないということがわかります。
そういう形で、権利ビジネスは意外と身近なところでもあります。商標はそんなにお金がかからないので、自分でどんどん調べてやっていけばいいわけです。
以前「ソニーチョコレート」という会社がありました。あと、ソニー石鹸という会社もありました。ソニーがどんどん大きくなるにつれて、ソニー石鹸とかいう会社のイメージがすごくよくないので、「ソニー石鹸」とか「ソニーチョコレート」という会社の名前を買い上げて使えなくしたりしています。
こういう形で、ユニークな名前や、ちょっと一捻りした会社の名前も、一つの商標で登録しておくと、あとから入ってきた人が使えないということがありますので、こうした権利ビジネスをちょっと知っておくと、儲かることがあります。
|